一杯の鴨南蛮

twitterfacebookで、こんな記事が回されておりました。


http://the5seconds.com/twogirls-helped-785.html

ある2人の女子学生がカッコ良すぎて痺れた話

その日はやけに肌寒く、
温かい飲み物を求めて最寄のスターバックスは長蛇の列。
一人の女性がそこに並んでいると
見知らぬ人が話しかけたことからエピソードは始まる。
http://kokorodo.netより

2人の女子学生

都内の某有名お花見スポットにお花見に行ったときのこと。
その日は前日とは打って変わってやけに気温の低い日だった。
温かい飲み物を求めて、最寄のスタバには客殺到。
私も店外に伸びた長蛇の列に加わって並んでいた。
暫く並んで、お店の入り口ももうすぐというところまで来た時、肩を叩かれた。
振り向くと、
シロガネーゼ(古)風の巻き髪お化粧ばっちりの女性。推定35歳。
「これお願い。一緒に買ってきて」
と紙を差し出す。
紙はぐっちゃぐちゃに書かれた飲み物のオーダー。
しかも「低脂肪乳で」「ホイップ追加」など注文がうるさい。
事情が飲み込めず、
ていうか誰この人?
などと頭が混乱して固まっていると、
「だから!これを買ってこいっていってるの!」
と追い討ち。
え??
女「だからぁ!子供が小さいから!子供って体が繊細なの!風邪引いたらあなた責任取れるの?」
私「…?」
女性が指差すほうを見てみると、
同じようなテイストの女性が数人とちびっ子たち。
どうやら「ママ友」たちとお花見に来た模様。
女「あなたどうせ並んでるんだから一緒でしょって言ってるの!」
私「……?」
女「メモ早く受け取りなさいよ。…あなた日本語通じる?日本人じゃないの?」
呆気に取られて声が出なかった私だが、ここでようやく一言発することができた。
ただし大いに混乱していたため、
「どちらさまですか」
という間抜けた一言。
我ながら(ノ∀`) アチャーと思ったところ、
すぐ後ろから若い女の子が爆笑する声が聞こえた(手叩き付き)。
振り向くと、
私の後ろに並んでいた派手目なギャル2人(以下仮名Aちゃん・Bちゃん)が、
腹抱えて大爆笑していた。(ちなみに二人ともモデルさんのような美人だった)
「ちょw他人に命令とかありえねぇw」
「日本語通じるとかwそれおめえだし、どんだけだよw」
「いや、マジ意味わかんねえしwてかマジどちらさまだしw」
箸が転んでも可笑しいお年頃のギャルたちは、
およそこんな感じでとにかく大ウケ。
女性の表情がみるみる般若のように変わり、
私からギャルたちにロックオン対象変更。
顔を引き攣らせながらギャルを睨みつけると、
吐き捨てるように一言、
「下っ品な…親の顔が見てみたいわ」
どの面下げて親とか言ってんだよと私もさすがに頭にきて、
「あなたねえ!」
と言いかけると
Aちゃんが私を軽く手で制した。
その後の彼女たちが、かっこよすぎて痺れた。
Aちゃん「確かにうちらチャラいけど、うちの親はウチが寒いとか文句言ってても
寒いのはみんな一緒だから、お年寄りとかウチより辛いんだから、我慢しろって言うわけ。
ズルとかしないの。絶対。
親がそんなだからウチはあんたのことありえないっつってんの。」
Bちゃん「うちの親、ウチが人にもの頼んで頭も下げなかったら、マジ100%ぶん殴るけどねウチのこと。顔見たがるのは勝手だけど、あんたも超怒られるよマジで」
女性は顔真っ赤にして、
眼球が飛び出るんじゃないかと思うような壮絶な表情で、
メモくしゃくしゃに丸めてギャルたちに投げつけて、
ガツガツと去って行った。
ギャルたちは自分たちのことそっちのけで、
女性に向かって
「てめぇお姉さん(私のこと)に謝ってけよ!」
と怒ってくれた(女性は無視して行ってしまったが)。
私のせいでイヤな思いさせちゃってごめんなさいね、
と彼女たちに謝ると、
Aちゃん「え、お姉さん被害者なのに謝るとか意味わかんないし!」
Bちゃん「てかマジ頭おかしいすよねーあのババァ。気にすることないと思う」
と逆に口々に励まされてしまった。
彼女たちの後ろに並んでいたおばさま方も、
「あなたたちやるわねえ!」
「いい親御さんなのねー」
「でももっと女の子らしく喋りなさい。てめえなんで言っちゃダメ!」
などと話しかけ、
彼女たちは照れくさそうに笑っていた。


ここからは余談。
彼女たちが
「小腹減った」「ケーキやばい超うまそう」だけど「新歓とかあるし金ヤバめ」なため
「じゃあ今日は我慢だね」
と話しているのを小耳に挟んだので、
御馳走させていただくことにした。
自分の順番が回ってきたとき、
小声で「あの、後ろのお二人にケーキを…」とオーダーすると
店員さんは一瞬怪訝そうな顔をしていたが、そこに別の店員さんが登場。
彼は一連の騒動の時に外の清掃をしていた人で、
レジの店員さんに事情を伝えてくれたらしい。
レジの店員さんは「あーなるほど」という表情に変わり、
「かしこまりました」とオーダーを受けてくれた。
ギャルたちのトレーにケーキが運ばれ、
「え、頼んでないですけど?」と戸惑う彼女たちに、
店員さんがニヤリと笑って私を指し、
「あちらのお客様からでございます」
と伝えた。
彼女たちはこちらが恐縮するほどあたふたして、
Aちゃんは「何で?何で?」と繰り返し、
Bちゃんは「払いますっ」と言うが早いかバッグの中を大慌てで漁り始めた。
私「だってさっき助けてもらったんだから、これくらいのお礼はさせてもらわないと」
Aちゃん「お礼とかほんといいですから!」
Bちゃん「うちらそんなつもりでアレしたんじゃないんで!」
私「それはわかってるのよ?でも…」
押し問答になりそうだったところ、
さっきのおばさま方が
「あなたたち、社会に出たら年上の人には御馳走してもらうのも礼儀のひとつよ」
「そうよー、ここはいただいちゃいなさいよ!」
と援護射撃をしてくれて、さっきのやりとりを見ていたらしい
店内のお客さんから小さな拍手なんかも起こって、
彼女たちはようやく承服してくれた。
「ありがとうございます!」と言われたので、
「そんな、こちらこそありがとうございました」と言って店を出た。
なんかもう本当にいい子たちだった。

なんというか、2ちゃんまとめサイトでよく見かける、子持ち女性へのヘイトがあふれる内容ですね。リアリティが希薄だなーと思ったのですが、そもそもこれは「kokorodo.net」というサイトからの転載で、このサイトの人が書いたものではないようです。んで、kokorodo.netのほうも「感動する話をWEBから拾い集めてまとめている」サイト。大元は2ちゃんねるからのコピペで、調べると初出は2009年に遡るようです。
http://ayacnews2nd.com/archives/51424601.html


んでkokorodo.netは、主に家族が死ぬ話を「感動する」と称してまとめていますが、中には「知っていますか? 日本民族の真の姿を(第二次世界大戦東日本大震災)」というネトウヨ御用達動画の紹介ページもあったりするので、まぁお察しくださいというところですね。


転載した5secondsのほうも、運営しているのは若い人なのか、晦日の感動エピソードとして『一杯のかけそば』を紹介しているのが味わい深い。


http://the5seconds.com/omisoka-episode-769.html

一杯のかけそば』は、バブル真っ直中の1989年に「実話」という触れ込みで紹介され、「拝金主義の日本人が忘れた美徳」だと日本中を巻き込んだブームとなり、赤塚不二夫小林よしのりといった漫画家もネタにするのですが、タモリが「笑っていいとも」番組中にて「当時、150円あればインスタントそばが3個買えたはず」「涙のファシズム」とその胡散臭さを批判。それに加え、作者の栗良平が経歴詐称や寸借詐欺を繰り返す非常に胡散臭い人物だったことが発覚して、ブームは急速にしぼんでゆきました。



バブル景気の真っ最中だからこそビンボ臭い話がもてはやされたと思っていましたが、貧困が世間を覆い尽くそうとしているこのご時世にも『一杯のかけそば』を求める人がいるんですかね。より悲惨な貧困を見ることで安心したいんでしょうか。


ちなみに、最近のインスタント麺食品は味の向上が著しく、下手にそこらの店で食べるよりおいしかったりします。


ぼくのイチオシは、日清のどん兵衛「冷凍鴨南蛮」です。
http://www.nissinfoods-frozen.co.jp/products/products.html?pid=2506

ちゃんと具も入っていて、鴨が4切れ、太いねぎが2本。いずれもしっかり炭火焼きの香りがあって、つゆにもその香ばしさが溶け込んでいます。

商品の入れ替わりが激しい冷凍麺であり、地域や店舗によって価格も異なりますが、だいたい実売価格200円前後で手に入ります。お近くのスーパーで見かけたら、ぜひいちどお試しください。