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2017-02-12 2月の告知

さて、今月の「せんだい文学塾」と「山形小説家(ライター)講座」の告知をここで。
せんだい文学塾
◆中村文則(なかむら・ふみのり)氏
1977年、愛知県東海市出身。2002年、「銃」で第34回新潮新人賞を受賞しデビュー。2004年、『遮光』で第26回野間文芸新人賞、2005年、『土の中の子供』で第133回芥川龍之介賞、2010年、『掏摸<スリ>』で第4回大江健三郎賞を受賞。
ミステリ的な要素を含みつつ、人間性を見据えた純文学作家として注目されている。英訳された作品も多く、2014年には、ノワール小説への貢献により、アメリカでデイビッド・グーディス賞を受賞している。2016年には、『私の消滅』でBunkamuraドゥマゴ文学賞(選者は亀山郁夫氏)を受賞した。

- 作者: 中村文則
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/06/18
- メディア: 単行本
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- 講座テーマ:「何を書く、どう書く。過去の作家から学んだもの」
- 会場:仙台文学館(仙台市青葉区北根2丁目7−1)http://www.sendai-lit.jp/
- 定員:90名(先着順、定員に達ししだいしめきり)
- 受講料:一般2000円、学生1000円、高校生以下無料
- お申し込み/お問合せ:せんだい文学塾運営委員会 sendaibungakujuku@gmail.com TEL080-6013-5008
山形小説家(ライター)講座
◆中島京子(なかじま・きょうこ)氏
出版社勤務、フリーライターを経て、2003年『FUTON』で小説家デビュー。
2010年、『小さいおうち』で第143回直木三十五賞受賞。2014年、『妻が椎茸だったころ』で第42回泉鏡花文学賞受賞。2015年には、『かたづの!』で第3回河合隼雄物語賞・第4回歴史時代作家クラブ作品賞・第28回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞、『長いお別れ』で第10回中央公論文芸賞・第5回日本医療小説大賞をそれぞれ受賞。

- 作者: 中島京子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/04/06
- メディア: 単行本
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- 会場:遊学館(山形市緑町1-2-36) 3F研修室 http://www.gakushubunka.jp/yugakukan/
- 受講料:一般2000円、学生1000円、高校生以下無料
- お申し込み/お問合せ:山形小説家(ライター)講座 事務局 sakka.naro@r7.dion.ne.jp
この講座について
- 文芸評論家の池上冬樹先生が、アドバイザーとしてご指導されています。仙台と山形で運営母体は異なりますが、進行や雰囲気はほぼ共通しています。
- ゲストとして、大手出版社の編集者が参加することもあります。
- 「山形小説家(ライター)講座」からは、「このミス大賞」出身作家の深町秋生さん、大藪春彦賞作家の柚月裕子さん、日経小説大賞を受賞された紺野仲右ヱ門さん、怪談作家として各所で暗躍中の黒木あるじさん、小説現代長編新人賞でデビューし、男性的で骨太な小説が好評な吉村龍一さん、徳間書店より『谷中ゲリラアーチスト』を刊行されデビューした織田啓一郎さんを輩出しています。
- 「せんだい文学塾」の受講生からも、各種の文学新人賞で最終候補まで残った方が出ています。
- 受講生から提出されたテキスト(短篇小説、エッセイなど)を教材として採用しております。一流の作家や評論家に自作を読んでもらえる、めったにない機会です。 創作をされる方は、いちど提出してみては。
- プロ作家志望の方から、読書の楽しみを深めたい方や、ベストセラー作家の人となりに興味のある方まで、どなたでも気軽に参加できます。すでに本を出されている方も歓迎します。
- 講座の進行としては、まず受講生にテキストを読んでの感想・作者への質問などを求めます。ついで作者による解説、それから講師による講評という流れで進めます。無言で参加することもできますが、なるべく発言したほうがより楽しめます。
- 講座終了後には、講師の先生を交えての懇親会も開催します(会費は4000〜5000円ていど)。こちらへも参加されると、より深く楽しめます。
- 近郊にお住まいで文芸に興味のある方、土日に東北へ旅行される方、ついでにワッシュ手作りのお菓子に興味がおありの方は、どうぞご参加ください。
2017-02-07 2017年のUWF

柳澤健のプロレス史探訪シリーズ(オレが勝手にそう呼んでるだけ)最新作『1984年のUWF』を読みました。

- 作者: 柳澤健
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2017/01/27
- メディア: 単行本
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- 作者: 柳澤 健
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2017/02/03
- メディア: Kindle版
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(電子版もあります)
男子プロレスを扱った過去作の『1976年のアントニオ猪木』『1964年のジャイアント馬場』には、いずれも神話解体という作用がありました。『猪木』では、主としてモハメド・アリ戦における「アリ側から理不尽な要求を受けたが果敢に戦った猪木」という神話の解体。『馬場』では、「ショーマンスタイルで実力では猪木に劣る」という猪木が作った神話と、「篤実で有能な経営者」という主としてターザン山本が作った、正負両面における神話の解体。

- 作者: 柳澤 健
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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そして『1984年のUWF』では、主として第1次UWFの興亡を描いていることもあり、佐山聡が不在となって以降のUWFを、ファンやマスコミや文化人が作り上げた「真剣勝負」「クリーンなスポーツ」「空前の大ブーム」というイメージに乗っかり、佐山のアイディアを模倣しただけの空虚なムーブメントと断じることで、「格闘王前田日明」の神話を解体する作用を生んでいます。
猪木や馬場より時代が新しく、読者として想定されている世代がちょうどリアルタイムで体験してきた神話だけに、その解体には反発も少なくありません。「前田の妥協なきファイトスタイルを恐れ、猪木が陰謀をめぐらせてドン・中矢・ニールセンやアンドレ・ザ・ジャイアントを刺客として送り込んだが、前田はことごとく勝利し、手に負えないと解雇され、第2次UWFで時代の寵児となった」という神話を「ニールセン戦は通常のプロレスだったが、前田が勝手に疑心暗鬼になっていただけ」「アンドレがセメントを仕掛けてきたのは、前田がアンドレ配下のレスラーを負傷させたことへの制裁」と、説得力がありつつミもフタもない神話解体が続くので、あのころの熱にうかされた自分を覚えている身としては「もう勘弁してください」と言いたくなるところもしばしばでしたよ、ええ。
とはいえ、この本には一種の叙述トリックが仕掛けられている、ということを念頭に置いておいてもいいでしょう。
UWFの試合が、真剣勝負のスポーツと偽ったショープロレスだったのは事実ですが(プロレスはどれも真剣勝負を模したものではあるが、UWFのそれは度を越していたと言わざるを得ない)、そこでの対比で出てくる格闘技関係者が、ジェラルド・ゴルドーや石井和義、堀辺正史といった、相当ナニな人物ばかりなので「イヤそう言うけどアンタらだってそんな立派なスポーツマンじゃないやろ」というツッコミは、いつでも入れられる構造になっています。当時の格闘技にある程度くわしい人なら説明不要のメタ構造ですが、そこを踏まえて読む必要はあるといえるでしょう。
そして、UWFが真剣勝負の格闘技を模したプロレスをやってきたことで、その影響を受けて本物の総合格闘技が花開いた、という結論が導き出されるわけですが、UWFが果たした歴史的使命は、決してそれだけではない。プロレスの面白さを広げることに寄与した点も、決して無視はできないでしょう。
地味で見栄えがしない、とされて単なるつなぎに堕していた関節技を、本当に効く、殺しの技として復権させたのは、間違いなくUWFの功績でした。
それがこの試合にも表れています。
http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201702050003-spnavi
オカダがみのるのヒザ攻めを耐えIWGP王座死守
謎の覆面男タイガーマスクWとの夢対決を熱望
5日の新日本プロレス「THE NEW BEGINNING in SAPPORO〜復活!雪の札幌決戦〜」北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる大会では、4大タイトルマッチなどが行われ、超満員となる5545人を動員した。
メインイベントのIWGPヘビー級選手権試合では、40分を超える死闘の末、王者オカダ・カズチカが鈴木軍大将・鈴木みのるを退け3度目の防衛に成功。試合後は「戦いたい相手」として、正体不明の謎のマスクマン・タイガーマスクWの名前を挙げ、一騎打ちを熱望した。
この日は、2年余りNOAHに出向していた鈴木軍が、提携解消により新日マットに復帰してきて、本格的抗争を開始する試合でありました。結果としては、NOAHでは瞬く間に全ベルトを奪取した鈴木軍が、新日ではひとつも取れなかったため「NOAHより新日が格上」という序列を見せる効果を狙っていることがわかりましたが、まぁそれはこの業界では常套手段だからとやかく言うことではありません。
オカダは、1.4東京ドームではケニー・オメガを相手に40分を超える激闘を演じ、世界的に高い評価を得ました。目まぐるしい攻防がひとときの休みもなく続く、まさに現代プロレスのひとつの到達点といえる試合でした。
しかしおとといの試合では、鈴木の寝技・関節技テクニックが存分に発揮され、1.4とはうってかわった、正反対ともいえる展開となりました。
鈴木は前日のタイトル調印式でオカダを急襲し、ヒザにダメージを与えるという伏線を張り、当日の試合でもひたすらオカダのヒザを攻撃し続けます。
序盤の場外乱闘における、カメラマンの三脚まで使った凶器攻撃は、さすがに「世界一性格の悪い男」ギミックにふさわしいクレイジーさでしたが、場外フェンスを用いたクロス・ヒールホールドも、悪役としてのアクの強さと、関節技の名人というテクニカルさを両立させる、うまい攻撃でした。そしてリングに戻ってからは、ひたすら寝技。ヒザ十字固め、アキレス腱固め、ヒールホールド、クロスヒールホールドとU殺法のフルコースです。逃れたオカダがツームストン・パイルドライバーを狙うと、鈴木は身体を反転させてビクトル投げからまたヒザへの関節技攻撃。この辺のテクニックも、UWFがなければ日の目を見なかったであろう技術です。
気位が高いキャラのオカダに、関節技でギブアップをさせることはないだろう、と予想するようなすれっからしのプオタも、セコンドの外道がタオルを持ってエプロンサイドに上がってくるのを見て「その手があったか」とうならされました。「オカダのヒザが本当に壊れるかもしれない」という危機感を、観客に持たせる演出と、鈴木のテクニックがしっかり結びつき、説得力を生み出しています。フィニッシュに至る流れも、鈴木が何度も出してきたパイルドライバーの切り返しを、オカダがさらに切り返すという、それまでの伏線を活かした展開になっていたのが印象的でした。
前田日明や高田延彦が新日マットに上がっていた時代は、これらのテクニックがまだ新日式のプロレスとうまく結びついておらず、ギクシャクした試合ばかりが続いておりましたが、それから30年を経て、UWFのテクニックがプロレス本来の面白さの中にしっかり組み込まれた、これもひとつの完成形といえる試合になったといえるでしょう。
(問題は、オカダの名勝負はいつも相手のテクニックに頼る部分が大きすぎることなんだよなぁ……)
鈴木みのるvsオカダ・カズチカの試合は、ある意味『1984年のUWF』に対するアンサーファイトのようにも見えました。プロレスから生まれた活字があり、そこからまたプロレスが生まれる。このサイクルこそがプロレスの面白さというものです。だからプロレスはやめられないんだよ!
2017-02-05 ワッシュ流カレー2017

ネット上には数多くのレシピ記事があり、いかなる料理にも賛否両論うず巻くのが定例であります。もっともシンプルな料理であるビーフステーキにも焼き方で数多くの宗派が存在し、それぞれのドグマをぶつけあう悲しいマラソンを続けております。あとすき焼きとかも鬼門です。

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小林銅蟲の『めしにしましょう』でも、すき焼きがいかにめんどくさい人々をひきつけるかという不都合な真実から目をそむけずに描かれていました。
小林氏のブログ「パル」への反応を見ても、ああいった肉料理をネットで扱うことにより、いかにめんどくさい人々が集まってくるか如実にわかります。お得意の低温調理はとくに先鋭的な反応を引き起こすことで知られています。
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(ちなみにワスはこんな高いもの持ってません)
というわけでカレーです。
おそらくカレーぐらい宗教論争を呼び起こす料理もほかにないでありましょう。インド風にするか欧風にするか和風にするか、肉はチキンかビーフか、サラサラかトロトロか、それぞれの教義を信奉する使徒たちがセントラルドグマに集い、ほとばしる熱いパトスで思い出を裏切り続けているのが21世紀の地獄インターネットなのでありますですよ。
最近はタモリカレーの覇権もすっかり確立していますが、2時間煮込んで各種のスパイスやヨーグルトやチーズを駆使するあのレシピですら「簡単」と称されるこの阿修羅地獄。そこに、フライパンひとつで、台所に立ってから食卓まで1時間でできるこのレシピをぶち込むというのは、風車の巨人に立ち向かう蟷螂の斧というそしりを免れないでありましょう。でもやるんだよ!
ワッシュ流ポークカレーの材料(4人分)

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(ハウス食品のカレーパートナーシリーズは、いつだって強い味方である。なお省略してもできることはできる)
- 砂糖と塩:大さじ1ずつ
作り方
- 玉ねぎをできるだけ薄くスライスし、大きめの耐熱ボウルに入れて塩で揉み、電子レンジで12分ほど加熱する
- その間に豚肉から脂身を切り取り、中火のフライパンで焼いて油を出しておく
- 油がたっぷり出たフライパンに、レンジから取り出してしんなりした玉ねぎをぶち込み、にんにくとしょうが、そして大さじ1ほどの砂糖を加える
- 15分ほどかき混ぜながら炒め(ヘラやお玉より菜箸のほうがやりやすいぞ!)、あめ色になるのを待つ
- 豚肉を加え、あめ色玉ねぎをまぶすように炒める
- 火を弱め、バターと小麦粉、カレー粉を入れてよく混ぜる
- 4カップほど水を加え、カレーパートナー3種を入れる
- よく混ぜて、とろみがつくまで煮る
【緊急事態】宇宙一おいしいカレー爆誕 pic.twitter.com/XvW3MLEQlY
— ワッシュ (@washburn1975) 2017年2月5日
ヨーグルトやトマトを加えてもいいけど、今回は玉ねぎと豚肉の旨みを味わうためのカレーにしました。前日から肉をスパイスに漬けこんでおく、とか肉と香味野菜を2時間ほど煮込んだスープを濾す、とかそういう手間はかけなくてもいいです。ぜひ一度おためしください。
おまけ:ワッシュ流大根とまいたけの混ぜご飯
手順
これだけで立派な一食になるので、最近はよく作っています。この季節なら大根の葉っぱを加えても乙な味です。こちらも超簡単なのでおためしください。
2017-02-03 コマイぬよみ芝居「あの日からのみちのく怪談」

2016年7月30日(土)に、東松島市の蔵しっくパークにて初演された、コマイぬよみ芝居「あの日からのみちのく怪談」のもようが、劇団コマイぬの芝原弘さんの手によりYouTubeにアップされましたので、こちらでも紹介いたします。
https://honto.jp/netstore/pd-book_27985537.html
東北怪談同盟編『渚にて あの日からの〈みちのく怪談〉』より、11篇を選んで朗読劇に仕立てた演目です。ぼくが原作を書いた「水辺のふたり」は全篇会話体だったので、これだけ朗読劇でなくふたり芝居に仕立てられており、黒木あるじ・小田イ輔・根多加良らほかの執筆陣から「お前だけズルい」「狙っていたんだろう」「だいたいお前の顔が昔から気に食わない」「毎日カップ焼きそばばかり喰ってるからこんな話しか書けねえんだよ」などとつるし上げを食いましたが、まったくの偶然です。動画の32分あたりから、10分ぐらいがぼく原作の話になっております。女優陣の好演により、原作者が観てもホロリとくる仕上がりになりました。ぜひご覧ください。
プロレス・格闘技界の歴史についてひととおりの知識を持っている人が読む分にはとてもおもしろい本だと思いますが、後追いで興味を持った人が最初に読む本としては、ちょっとおすすめできない感じです。