カナダのHMVの全店閉鎖と日本の状況のこと

HMV、カナダの全店舗を閉鎖へ CD販売不振で約50億円の負債

102店舗が一気に逝く恐ろしさよ。
これでHMVという屋号の店舗が残っているのは日本・香港・イギリスのみ。記事内ではシンガポールで展開中とありますが、実際には2015年に撤収完了しています。

2004:アメリカ撤退
2012:オーストラリア撤退
2015:シンガポール撤退
2016:アイルランド撤退
2017:カナダ撤退
※アイルランドはオンラインストアのみ存続中。

発祥の地UKでも2013年に一度経営破綻したものの投資会社ヒルコ・キャピタルに拾われて元々240店近くあった店舗網をおよそ半分にまで縮小して事業継続、4年近くたった今では更に20店舗以上閉店していて現在100程度。それでも何とか生き延びていますが、今回一気になくなるカナダのHMVも同じくヒルコグループなので、UKの店舗もどうにもならんと判断されれば今回のように速攻で逝くということでございます。ヤバい。

翻って日本を考えた場合、日本CD販売チェーン四天王(タワー・HMV・新星堂・山野楽器)のうち一番リスキーに見えるのはやはり新星堂。本当に傾きかけていたのをすんでのところでWonderGOOを展開しているワンダー・コーポレーションに拾われ、本社機能を荻窪からつくば市の外れに移転して生き延び中ですが、ワンダー・コーポレーション自体が中堅スーパーマーケットチェーン、カスミの傘下であり、さらにカスミは持ち株会社ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの傘下。新星堂は企業グループの中では下の下の下。
要するに特に音楽とかに思い入れのない上の方の判断が下れば、新星堂今回のHMVカナダのように速攻で全店死ぬ可能性だってあるわけです。

言うても新星堂は全国に100軒以上の店舗網を持ち、特に都市部の郊外や地方都市では貴重な実店舗だったりします。TSUTAYAのCD販売店舗の縮小が続き、ゲオも2年前頃からCD販売縮小傾向、もちろんそうなっていくことは不可避な世の中であることは承知ですが、それでも日本でも街のCD店的な店が100店舗以上一気に死ぬような事態となればレーベルも購買者も私も相当にキツいわけで。

「CD 閉店」等のキーワードでTwitter検索して見てみる分には、近所の個人経営を含むCD店の閉店を各地で嘆いている方の多くはジャニーズかK-POP属性の方々であり、実際今ある店舗の運営と、そして日本ではまだ何とか生きているパッケージ文化は、そこらのジャンルの人が複数買い上等でがんがんお金を落としてくれるからこそ成り立っていて、その結果として他のジャンルの人たちもCDを買える環境が郊外・地方にも残っていると言ってもいい状況なので、みんな女子オタの人たちを大切にしよう。愛してます。DVDボックスとか単価高いのを買うアニオタの人たちも大切にしよう。愛してます。