教祖の文学、眼にて言ふ

  だめでせう
  とまりませんな
  がぶがぶ沸いてゐるですからな
  ゆふべからねむらず
  血も出つゞけなもんですから
  そこらは青くしんしんとして
  どうも間もなく死にさうです


  けれどもなんといい風でせう
  もう清明が近いので
  もみぢの若芽と毛のような花に
  秋草のやうな波を立て
  あんなに青空から
  もりあがって湧くように
  きれいな風がくるですな


  あなたは医学会のお帰りか何かは判りませんが
  黒いフロックコートを召して
  こんなに本気にいろいろ手あてもしていただけば
  これで死んでも文句はありません
  血がでてゐるにかゝはらず
  こんなにのんきで苦しくないのは
  魂魄なかばからだをはなれたのですかな
  たゞどうも血のために
  それを言えないのがひどいです


  あなたの方から見たら
  ずいぶんさんさんたるけしきでせうが


  わたくしから見えるのは
  やっぱりきれいな青ぞらと
  すきとおった風ばかりです

何年かぶりに読み返した。
全く内容とは別に、いま思い当たった事。「岡崎京子『Pink』のハルヲ君の最後にもそういう事あったね」という事。あれはカークラッシュだが。カークラッシュで死ぬ人物の内面を描いている作品を集めて読んでみたい。1990年代に多かったりするのだろうか。
そしてまたフロックコート色川武大の「名医」にも似るか否か。

4838701071Pink (MAG COMICS)
岡崎 京子
マガジンハウス 1989-09

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4167296047怪しい来客簿 (文春文庫)
色川 武大
文藝春秋 1989-10

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4061963775教祖の文学・不良少年とキリスト―坂口安吾エッセイ選 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
坂口 安吾
講談社 1996-07

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たのしい、おいしい、酒


この日本酒の店はビルの三階なのだけれど、
一階の不動産屋の店主がやっている店。だからか良い酒がとても安い。幸せ。
豆酩(とうべい:豆腐のもろみ漬け)がある。
豆酩ものすごく好きなのでみんなに食べさせてみたら好評!


家飲み雑魚寝コース全員大人で。

批評雑誌『Review House Magazine』、『Vice Magazine』、昔の『BURST』/グローバリゼーションのなかの都市の若者


お八つがてら読んだ、本について少し。

■批評雑誌『Review House Magazine』


もう第三号が出ようとしている批評雑誌「Review House」


その創刊号をいまさら読みなおした。
nhhmbaseのインタビューと詩人佐藤雄一の記事を求めて。


色々他の記事も読んでいたら
ものすごおーーーーーーーーーく
校正したくなった。この箇所直したいとむらむらした。
アメリカの美術大学における韓国人留学生の増加について」の記事など特に。


そう思う雑誌ってあまりよくなさそう、だがしかし、青木淳悟って作家に対するインタビュー記事は面白かった。
青木淳悟に対して、インタビュアーはその作中の文章をとりだして「ここはメタ視点がでちゃってますよね」なんて聴き、
「あーそこ削ろうか迷ったんですよ」「ちゃんとチェックされてるなー」なんて返す青木淳悟
通常、いまある文芸誌でこんなこと聴かないだろうし、
通常、純文作家は(添削のような)こんな事聞かれるのいやがるだろう!
だがReview Houseでは可能。

Review House Magazine
http://www.reviewhousemag.com/magazine/
「ブロググビグビ」-Review House編集長 伊藤亜紗(いとう・あさ)
http://assaito.blogzine.jp/

■Vice Magazine


「いま一番たのしみにしてる雑誌」は、私はここ数年Vice Magazineで固定されているが。
最近のVice Magazineのweb、佐川君の記事つまらなかった、Vice口調が裏目か?いや、そうじゃない…

「WHO'S HUNGRY? カニバリスト佐川一政とのインタビュー」
INTERVIEW AND PHOTOS BY TOMOKAZU KOSUGA
http://www.viceland.com/jp/v5n6/htdocs/whos-hungry-502.php?country=jp


佐川君事件、「フランス人の級友の女性を射殺し食した」、その事細かな描写は一応の興味をそそるが、
それって「私が読んでたVice」の視点だったかな。
その描写は日本ローカルな(1980年代アングラ好きみたいな)雑誌にまかせておけばいいんじゃないか、と個人的には思う。


Viceが佐川君の存在を読み直した感じが全くしない…(もしあるとしたら口調)


この記事はViceの"Japan"の記事のようだが、Viceに期待してるだけに残念だった。
だがViceに書いて欲しいものとなると確かに難しい。(北米中心の)グローバリゼーションのなかの都市の若者のクール、かな。


たとえばわたしは昔のBURST好きだったけど、昔のBURSTで載っていた記事と、Vice Magazineで載っていて嬉しい記事は違う そんな感じ?大分違う?ハイプじゃない感じと連想して思い出したんだが。

            • -

viceで好きな記事適当に:
「FUCK BUTTONS - VICEオススメのカワイイ系A to Z」http://www.viceland.com/jp/v1n2/htdocs/fck.php
「Viceland - ENOUGH ALREADY!(スラングは終わった) 」http://www.viceland.com/jp/v3n10/htdocs/stoop.php
「Sittin’ on Top of the World!(生と死、そしてイッカクの尻尾:グリーンランドから)」http://www.viceland.com/jp/v4n2/htdocs/sit.php

混乱による慈愛


雑事を済ませるため休みをとった。


家にこもり郵送物を受け取り整理。家事洗濯掃除炊事を一挙に執り行い。
一段落、お八つに頂いたお菓子を食べ。
電話をとり画家から「○○(私の昼のテリトリー)の近くに来ているのだが食事でも」「すみません今日は一日在宅だったので」と言い。


夜にはまた書類の整理をして、銅版画を眺めていた。
顔を合わせたことの無い、しかし作品のファンであり、何度も手紙をやりとりしている画家の作品。
(その手紙はいつも文香が焚き染められている)
彼を思うといつもふしぎなきもちになる。彼の存在に触れるだけで私の人生は豊かになった。



そうして 風のつよい日 窓から西陽が射し マンションのうえのほうの狭い部屋
顔をあわせず敬愛する幾人かの事。
まるで自分がすでに死んだ人間かのように彼らを思ってた。


それは一種の混乱による慈愛かもしれなかったが。
あのような気持ちで 実際その時を迎えられるなら。


次の朝、電車のなかジュディ・シルを聴きながら
その曲はデモ録音で、
もうこの世にいない彼女の笑い声が録られていて。
彼女の死の気配は確かにあった。


B000BKJH4Yハート・フード
ジュディ・シル
Pヴァインレコード 2005-12-02

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「お八つに、頂いた可愛らしいお菓子」は、金沢本屋あうん堂“本を開いた形”クッキー
「本を開いた形の落雁が食べたいなぁ」って話していたのを覚えてくれていたみたい。

二月の記憶


02XX 雪見都バス遊覧 お菓子のスノウボウル

知人が入院したり。ガン。30代。心配した。
入院後のようすをみて、知人はひとにたくさん愛されているんだなあと再確認した。
高い良い香りの歯磨き粉とかKUSUMI TEAのティーバッグの差し入れ…
去年一年でずいぶんKUSUMI TEAよく見るようになったよなぁ。


雪が降り交通手段変更。
都バスなんてもんに乗る。
「あ」と思ってTIESで焼き菓子を買う。お土産用と雪見用。
雪見遊覧、焼き菓子のスノウボウルとともに。バス、嫌いなんだけど。楽しんでみた。

02XX テアトル新宿クールアニメセレクション

少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録編」上映に行く……つもりが初日立ち見券まで売り切れ。
読みが甘かった。「じゃあ千葉までいってマーク・ロスコ中村明日美子みるか!あと溶鉱炉解体中だったな!」
と思ったが荒川区団地の山とクレーンを撮って帰ってきた。写真は寝かせてある。

0217 安吾

安吾ミュージアムのサイトヒドすぎる。折角安吾忌のつもりで見に行ったのだが。あんなもんだよな、死んだ近代の作家のミュージアムなんて、日本じゃ。陳腐、陳腐、陳腐‥


それにしても安吾は「書き出し」の名手だなあと、忌日は再読するのみで過ごす。

「雪国生れの人々は気候のために故郷を呪ひがちであつた いつもいつも灰色の空。」


「匂いって何だろう? 私は近頃人の話をきいていても、言葉を鼻で嗅ぐようになった。
 ああ、そんな匂いかと思う。それだけなのだ」


「私はいつも神様の国へ行かうとしながら地獄の門を潜つてしまふ人間だ」

02XX

私の中のあるセオリー。またそれを思い出すシーンに出くわす。
はいはい女性はたいへんだ、「幸せそうで居ないと文句を言われるかばかにされ、幸せそうにしていると妬まれる」というセオリー。男性にもそういう事はあるが、特に顕著な例ならば、リア充って言葉は女性にあまり侮蔑的に言われにくいと思っているのだが。


出くわしたがきびすをかえす。帰れた。

それから新国立美術館でのアーティストファイル2009にも齋藤芽生さんは選ばれています。
展示はどちらも六本木と乃木坂なので一緒に回ろうかな。
齋藤芽生が画を描いている、『たくさんのふしぎ 2009年3月号 吸血鬼のおはなし』
こちらはもう書店で出回っているところが少なく、上記乃木坂ギャラリーで購入できるそう。サイン付き。

B001Q45CX4月刊 たくさんのふしぎ 2009年 03月号 [雑誌]
福音館書店 2009-02-02

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文は八百板洋子さん。ルーマニアの逸話ほか新たな吸血鬼像を描いた読み応えある文章と、人物表現にあらたな境地を築いた齋藤芽生の挿絵により、これまでにない絵本の世界が展開されています。(700円税込み)当社サイトでもサイン本を展開の予定です。
http://artnewsgau.exblog.jp/10289624/


まだ手に入れてないのだが、ルーマニアの吸血鬼の話って気になる。しかも齋藤芽生の画。


しっかし、今日の時点でこの本のamazonユーズド価格、定価の三倍になってるなあ…一ヶ月前の刊行なのにヒドい。
ギャラリーのサイトで通販してるサイン付きは、今でも定価+送料なのにね。

齋藤芽生さんの個展始まった!“OUT OF THE FILE”&“ARTIST FILE”

齋藤芽生さんの個展始まった!すばらしく幸せ!
行く。いつかそのためだけに軽井沢まで行き、セゾン美術館で観たあの画に、再会しに。

4309409237暗い旅 (河出文庫)
倉橋 由美子
河出書房新社 2008-09-04

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MEO SAITO ”OUT OF THE FILE” 
齋藤芽生「遊隠地/百花一言絶句」展示


2009/3/3-4/18
国立新美術館で3月4日(水)から開催されるアーティストファイル展に関連して開催。
上記展示には出品しない「遊隠地」や「百花一言絶句」などを展覧します。
新美術館の展示は濃密な齋藤芽生の世界が展開されます。
http://artnewsgau.exblog.jp/10303038/