Sony CDP-XA5ESの話 (9) 蛇足

完成時の懸案点に着手した。対応したのは下記の項目。一番最後、DAC用5Vについて、3端子はやめてディスクリートで安定化する、というのは完成後に思いついたもの。

  • 絶対位相が反転してしまってるかもしれないので再確認する
  • LPFの470pFを100pFくらいにする
  • 出力カップリングCの種類と容量を試行錯誤する
  • DAC/アナログボード上の電源デカップリングC、Silmic 50V/47uFと220uF、MUSE 63V/100uFを、非音質品に替えてみる
  • DAC/アナログボードのグランドラインを強化してみる
  • DAC/アナログボードからバッファ子基板へのグランド線の配線を強化してみる
  • ヘッドホンのラインに5個も6個も入っているコイルを外してみる
  • NJM4556一発のヘッドホンアンプを強化してみる。AD825にする、LM6172にする、OPA627+BUF634あるいはOPA627+ディスクリートプッシュプルバッファにする、などなど
  • DAC/クロック用の5Vを7805から無帰還型のディスクリートにする

次の懸案点については今回は見送り。


●位相確認、LPF定数変更(+5V定電圧電源作成&電解C銘柄変更)
位相はやっぱりひっくり返ってしまってた。オリジナル状態のIV変換での位相反転、自分で回路図書くときには意識していたのだけど、実装のときにはスカッと忘れてしまっていたみたいだ。DACの2パラ出力の合成とLPFの部分は、基板パターン面にうぢゃっと実装してしまっていたので、子基板上に整理して部品面に出すことにした。


ちょうど子基板が来るべき場所は、クロックの上空。5Vの3端子レギュレータ(7805)のすぐそばだし、2パラ合成+LPFでは基板の余白が多すぎるので、同じ子基板に7805のリプレースする5Vの定電圧電源を組むことにした。


5V定電圧電源の回路図はこう↓

ツェナーダイオードはあまり手持ちにバリエーションがないので、LEDを組み合わせて定電圧源とします。出力に入っている4.7kΩは、起動直後に安定した負荷を与え、不用意な高電圧がDACなどにかからないようにするためのブリーダー抵抗。さっき気がついたので以下の写真では実装されていない。


定電圧電源テスト中。

ディップドマイカコンデンサの向こう、赤く光ってる四角いのが6.5Vを作っているLEDx4。DAC、CXD2562Qのデータシートは相変わらずみつからなくて、消費電力がわからない。もともとの状態では、TO220の7805がヒートシンクなしで7807や7907やコンデンサの間に埋まってたからせいぜい100mAかな。↑の写真では、実際よりも高い18Vの入力電圧を入れて、約40mAを流しながら放置してみたけど、制御トランジスタ、2SD414はすごく熱くなるわけではない。これで行けそうだ。この基板の余白に、DACからの出力を受ける抵抗とコンデンサが載ります。


オーディオ系基板上に実装。

青い2つのタンタルCの下に見える金色い線が7805が入ってた場所に接続されていて、5V定電圧電源用の入力電源、グランド、出力5V、の3本。2SD414には念のために7805に付けていたヒートシンクを付けた。子基板の足のあたりはCXA8042跡地でだれもいないので、しっかりネジ止めした。


DAC側から。

2パラ差動のDAC出力、片チャンネルあたり4本の線が子基板に入る。5V電源系の、レギュレータ直近のデカップリングであるMUSU 63V/100uFと、クロック直近のSilmic 50V/47uFが、子基板による高さ制限にひっかかる。それぞれ10V/220uFと25V/47uFのOS-CONに交換した。


●出力カップリングC
いま入っているのはBlackGateのカップリング用、BlackGate C 50V/47uF。特殊な小さめの6.8uFのフィルムCで気になったようなおかしな点もないので、このまましばらく使ってみようと思います。手元に、マルコンの昔のオイルコンデンサ、160V/10uFがちょうど2個あったので、後で気が向いたときにいつでも試せるように、匡体の中に仕込んでおくことにした↓


●バッファ子基板へのグランド線強化
バッファ子基板への電源のコネクタの予備端子に、太めの線でグランドを引っ張って対策。


●ヘッドホンアンプ
オリジナル状態のヘッドホンアンプの回路図はこう↓

山のようなコイルのせいか、引き回しすぎている配線のせいか、安いOPアンプのせいか、56Ωという高めの出力抵抗のせいか、出力のDCカットの電解Cのせいか、とにかくとにかく眠い音がする。眠くなる音ではなくて、いらいらして眠れない音。


まず、外せそうなものは外して、AKG K-501対策としてゲインを少し上げ(33k/15k -> 33k/6.8k)、出力抵抗を0.33Ωにしてみた。

一気に眠気が取れる。HD650やK-501では、さすがにちょっと荒っぽいかという気もするけど悪くない。MDR-Z900HDではキンキンとバランスがおかしい。人の声のサ行が微妙に尾を引いているので発振してそう。


少しマイルド方向に部品を戻し、発振対策(10Ω+1000pF)も入れてみた。

MDR-Z900HD、発振酷くなる。涙。K-501、HD650は素晴らしい。OPアンプのストックから、だれがどう使っても発振しない素人チェンジニアリングの味方、OPA2134を探して換えてみた。MDR-Z900HDの発振、見事に止まった。すごいぞOPA2134。K-501とHD650ではもともとのNJM4556の方がすばらしい。OPA2134は、どうしても音を整理して聴かせるようなところがあるように思う。


これは↑の回路図で、OPアンプがNJM4556のときの写真。

白い豆腐状は、福島双葉の0.33Ω。

パターン面側。

赤と緑、黄と紫、の線はDACの信号を子基板に持っていく線。


オーディオ基板のライン出力部から始まるヘッドホン信号の旅は、フロントパネルのボリュームに行ってからオーディオ基板のヘッドホンアンプ部に戻り、またボリュームのそばのヘッドホンジャックへ行く。電動ボリュームはとても便利だし格好いい。それを実現するための、もともと無理の多い信号の引き回しになっているのだから、まだノイズが多い気がするけれど、これ以上いじってもしょうがない気がしてきた。MDR-Z900HDは捨ててNJM4556に戻すか、SE5532などSonyでも発振しない石をのんびり探すか、そんなところかな。


今日の時点の、アナログ出力段回路図。


あとの大物は、電源基板の工事だけになったなー。