welchmanの日記

2008-10-03

犯していない罪で子供を裁かない

9月7日に、小学一年生の長男と連れ立って栃木まで町田ゼルビアの試合を見に行った時。

高速を走り、途中で昼食を食べようとSAに寄りました。

子供はお子様ランチ。私は焼きカレー。初めて食べた焼きカレーが意外と美味しかったのですがそれは置いといて、


注文を済ませて、水をちびちび飲みながら待っていると、店員さんが籠に入った山盛りのおもちゃを持ってきて「どれか一つどうぞ」って事になりました。

ファミレス等では良くある、お子様ランチを頼んだ子供へのサービスなのですが、今回はちょっと違いました。

いつもなら単価20円くらいの安いプラスチックのおもちゃばかりなのですが、なぜか籠からはみ出た大きな長い剣があったのです。


子供の目は輝き、剣に釘付け。

絶対にコイツは剣を選ぶよ。そりゃあ選ぶよね、これなら。お父さんが子供の時でもきっとそうだった。

むしろ今ここで剣以外を選んだら、「え? 何故そこでしょぼい立体球形パズルを選ぶの? 」ってなったら、そのほうが心配だ。お父さんは子供の成長に疑問を持っちゃう。


でも、そのおもちゃは危険です。

小学生になったとはいえ、まだ6歳です。

剣を持ったら、振り回したり、切りつけたり、刺したりしたくなります。

タイガージェットシンのように、柄で殴ったりしたくなるかもしれません。

刃渡りで30cm程度はあるので、本物だったら銃刀法違反で捕まります。

なにしろ、家にはまだ4歳の娘がいます。怪我をさせてしまったら、眼を突っついてしまったら、耳が切れてしまったら大事です。


危険を未然に防ぐなら、この剣は子供に渡さないほうがよさそうです。

でも、眼をキラキラさせている子供を見て、自分が子供だった頃を思い出しました。



30年くらい前。流行の空気銃が欲しかった頃。

伯母の家に母と行ったら、8歳ほど歳の離れた従兄弟達が何丁も空気銃を持っていて、みんなで雑誌を撃ったりして遊びました。

私があんまり羨ましがるので、従兄弟の竹おにいちゃんが「自分の持っている3つのうち1つをあげるよ」と言ってくれたのに、私の母の反対で貰えませんでした。

その理由は「危ないから」「危ない使い方をするから」「人に向けて撃つなと言っても、きっとお前は撃つから」


とても残念で悲しかったし、納得できなかった。

私はまだ、「人に向けて撃つな」という約束を破るどころか、その約束を母としていないのに「お前は約束をしたとしても破るから、この空気銃を渡す事はできない」と親に判断されたのです。

私は小学校低学年の子供にふさわしく、忘れ物をしたり、親のいいつけを守らずに5時になっても帰らずに友達とけいどろで遊んでいたり、タイルをはがして大きいミミズを探したりしていました。

約束を破った事を怒られるのは納得できましたし、申し訳ないと思いました。約束を破ってしまった自分を責めたりもしました。

でも、空気銃が危険な事を私は知っていましたし、人に向けて撃つと危ないからやってはいけないと知っていました。

竹おにいちゃんもそう言って、撃つ時以外は引き金から指を離し、決して銃口を人に向けないように言い、ふざけて人に向ける事は許しませんでした。私はそれに従い、決して破りませんでした。

でも、私の親は「私が人に向けて撃つ可能性とその場合の被害の大きさ」を考え、私に空気銃を渡さない判断をしたのです。



SAのレストランで、私は子供に「どれにする?」と聞き、子供は勿論「これにする」と剣を選び、抱くように持ちました。

私は「凄い剣だね! 大きいね! かっこいいね!」と笑い、子供も大喜び。

そこで私は子供に言い聞かせました。

でもこの剣は危ないよ。人に向けちゃだめだよ。これで何かを叩いたり、斬ったり、突いちゃだめだよ。

そうしないと約束できないと、この剣を渡す事は出来ない。

これは剣だから、本当にあぶない。眼を突っついてしまったら、もう眼が見えなくなってしまう。

そんな事をしてしまったら、この剣は取り上げなきゃいけないし、将来ちょっとでも危ないと思った物は君に渡せなくなってしまう。

だから、絶対にこれで危ない事をしちゃいけない。お父さんと君のために。わかった?



あれから一ヶ月ほど経ちましたが、子供は約束を守り続けてくれています。

危険を未然に防いでいないなんて判っていますし、明日にもこの判断を後悔するような事が起こってしまうかもしれません。

どうすれば正しかったのか、今でも判りません。

でも、私にはこうする事しかできませんでした。




追記 2008.10.5

好意的な反響が大きくてびっくりしています。実は、

「剣を『叩いたり、斬ったり、突いちゃだめ』なんて条件を付けて子供に渡しても、当の子供は全然楽しくないだろ? どうやって遊べってんだ?」とか

「お前の子供の友達が遊びに来て、剣でお前の子供の目を突いて潰しても、まだそうやって偉そうな顔してられるんのか?」

くらいは軽く煽られると思っていました。

ほげほげ 2008/10/05 12:44 あなたの責任ある選択に敬意を表します。子供はそのことを永遠に忘れないでしょう。

kyonkyon 2008/10/05 17:46 すばらしい

upuupu 2008/10/05 19:18 子供のころに感じた理不尽さ
それを忘れずに,自分はやらないようにする
それっていいですよね

なまえなまえ 2008/10/05 21:48 健康的でキモい

酋長酋長 2008/10/05 23:24 共感。全てを人のせいにする情けない大人にしないために必要ですね。

febriergoe0febriergoe0 2008/10/06 00:02 はじめまして。すばらしいご決断ですね!!

私は、少し厳しめの家に育ちました。
小学生のある日、友達が『エアガンを買いに行くんだ』と目を輝かせて、エアガンのかっこよさを語ってきました。
私もエアガンが欲しくなり、親に言ってみようかと思いました。
しかし、誕生日や特別な日以外では、スーパーでのおもちゃつきお菓子さえも買ってもらえない家庭だったので子供ながらに無理に決まってる!そう思ってました。3000円ほどもするものをなんでもない日に買ってもらえるはずがない。

しかし頼んでみると、絶対に人に向かって撃たない事、動物などの生き物に向かっても撃たない事、とにかくよく考えて危ないことは一切しないなどを条件にお金をくれたのです。

その時はエアガンが買える嬉しさと、なぜお金をくれたのか理由がわかず不思議な気持ちとが混在した不思議な感覚でした。
子供ながらにものすごく考え、何でお金をくれたのか、自分を信じてくれた親を悲しませまいと、自分のなかで何かが芽生えた感覚を思い出しました。

子供には言葉を超えて、ちゃんと感覚が伝わっているもんです。

仕事人仕事人 2008/10/06 10:40 さらりと言った「お父さんと君のために」の一言が超カコイイです!

U40U40 2008/10/07 21:21 (・∀・)イイ!!

なまえなまえ 2008/10/09 11:25 養老タケシあたりの本とか読み過ぎな感があるな

noritamanoritama 2008/10/10 21:10 息子ができたらそんな育て方をしたいです

kakekake 2008/10/20 21:34 ヒヨっ子の教員志望者として、そして一人の被扶養者として
その教育のやり方はとても参考になります。
自分も将来あなたのようなステキなパパさんになりたいです。

吉田真美子吉田真美子 2008/10/22 16:26 ケースバイケースですけどね。
同じ約束をしても、本物のナイフは渡しませんもの。
結局これは「裁く/裁かない」の二元論ではなく、状況によっては容認したりしなかったりする、シームレスなモノのどこで線引きするのかという、つまるところ気分に左右されやすい相対的な問題だったりします。

なので、それほど気張る必要もないのだと思います。

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