2011-12-28
<文科省調査>精神疾患休職の教諭 18年ぶり減
うつ病などの精神疾患で10年度に病気休職した公立学校の教員は前年度を51人下回る5407人で、18年ぶりに減少したことが22日、文部科学省の調査で分かった。文科省の担当者は「相談窓口の整備や復職支援が成果を上げているが、依然として高い水準だ」と分析。精神疾患者のほぼ半数が所属校に勤務してから2年未満で休職していたことも新たに判明し、文科省はメンタルヘルス対策を一段と充実させる方針だ。
調査は、全国の公立小中高校や特別支援学校の教員約92万人を対象に実施。年代別の精神疾患者は、50代以上の2154人(40%)が最多で、40代の1827人(34%)、30代の1064人(20%)、20代の362人(7%)と続いた。
今回初めて、休職した時の所属校の勤務年数を調べたところ、2年未満が2472人(46%)と半数近くを占めた。公立校の教員は5〜6年で異動するのが通例。異動で話し相手がいなくなるなど勤務環境の変化が精神状態の不調につながった可能性がある。
全体の病気休職者は33人増の8660人で過去最多を更新した。文科省の10年度調査では、教員の年齢構成は小中高校の各校種で50歳以上が3分の1を超えており、「教員の高齢化」が病気休職増加の要因とみられる。
一方、何らかの処分を受けた教員は3677人減の4304人(監督責任を除く)。09年度は兵庫県で学力検査の採点・集計ミスにより3626人の大量処分があり、今回は大幅に減少した。懲戒処分を受けたのは905人で、このうちわいせつ行為は前年度比14人増の152人。このほか交通事故349人、体罰131人など。君が代斉唱時の不起立など国旗掲揚・国歌斉唱に関する処分は21人だった。
2011-11-18
労働安全衛生法改正を断念 禁煙こだわり、厚労相誤算
厚生労働省は8日、事業者に全従業員を対象とした医師によるストレス検査の実施を義務づける労働安全衛生法改正案について、今国会への提出を見送る方針を固めた。改正案のもう一つの柱である受動喫煙防止策に与野党の愛煙家らが反発し審議入りのめどが立たなくなったため。嫌煙家で知られる小宮山洋子厚労相だが、今回ばかりは煙たがるたばこに足をすくわれた格好だ。
改正案は、労働行政に精通する小宮山氏が今国会への提出を強く求めていた。過剰なノルマや上司の叱責などが原因で鬱病となり、労災申請をする労働者は増加しており、これを防止しようと10月の政務三役会議で提出が決まった。
だが、改正案には、すべての事業所と工場に「全面禁煙」か、喫煙室以外での喫煙を禁止する「空間分煙」を義務づける受動喫煙防止策が小宮山氏の強い意向で盛り込まれた。厚労省は参院での先行審議を予定していたが、与野党から「受動喫煙部分を切り離さないと審議に応じない」との声が続出。12月9日の会期末まで1カ月しかないため、来年の通常国会までに仕切り直すことになった。
2011-11-11
労災に新基準 時間外労働、月160時間超
長時間労働など仕事が原因で精神疾患になった場合の労災認定について、厚生労働省の専門検討会は8日、認定につながる心理的負荷(ストレス)の具体的事例を示した評価表などを記載した報告書を公表した。報告書を基に認定基準を見直し、年内にも全国の労働局に通知、新たな基準による労災審査を始める。
精神疾患が原因の労災請求件数は、平成10年度に42件だったが、22年度には1181件にのぼり、近年大幅に増加。審査に平均約8・6カ月かかっており、審査期間を早める必要が出てきたことが基準見直しの背景にある。厚労省は見直しで審査を約6カ月に短縮できるとしている。
報告書では、精神疾患につながる具体的なストレス強度を「強」「中」「弱」の3段階に分類。それぞれ具体的事例を示し、「強」と判断された事例は、その事実だけで基本的に労災が認められることになった。「中」の事例についても、複数の事例が重なった場合などは総合的に判断し、労災認定される。
長時間労働は、これまで具体的な時間が示されていなかったが、今回は時間外労働時間で明示。1カ月で160時間以上▽3週間で120時間以上▽連続2カ月間で1カ月当たり120時間以上▽連続3カ月間で1カ月当たり100時間以上−などを「強」とした。
このほか、急に仕事量が変化して労働時間が増加、1カ月に100時間以上の時間外労働となり、その後も業務に多大な労力を費やしたケースも「強」。1カ月で80時間以上の時間外労働や、2週間以上の連続勤務などは「中」とした。
業務上のストレスは「悲惨な事故や災害を体験、目撃した」「重大な仕事上のミスをし責任を感じた」「達成困難なノルマを課せられた」「転勤した」「業務に関連し違法行為を強要された」など具体的な事例を示し、ストレス強度を設定した。これまで「対人関係トラブル」の一つだったセクハラは独立し、強姦(ごうかん)やわいせつ行為に加え、胸や腰などへの継続的な身体接触などもストレスは「強」とされた。
新人教員の病気退職増 10年前の20倍…精神疾患9割
全国の公立学校に勤務する1年目の新人教員のうち、病気を理由に依願退職した人数が平成22年度は101人にのぼり、10年前の20倍に増加したことが8日、文部科学省が公表した調査結果で分かった。このうち9割は精神疾患を理由としていた。夢をかなえて希望の職に就いても上司や保護者との関係、子供の指導に悩んで心を痛めて教壇を去っていく教員の姿が浮き彫りとなった。
地方公務員は民間企業の試用期間にあたる条件付き採用期間を6カ月間設けているが、教員の場合は1年間と長く、文科省はこの間の教員を対象に調査した。調査結果によると、22年度に全国の公立学校に採用された教員は2万5743人。全採用数の1・1%に当たる288人が、1年以内に依願退職していた。12年度の依願退職者数は33人で、10年で8・7倍に増加したことになる。
このうち病気を理由に退職した人数は12年度の5人から年々増加し、19年度の103人をピークに高止まりしている状態。病気のうち精神疾患については21年度から調査を開始。21年度は86人中83人、22年度は101人中91人で、病気退職者の大半は精神を患ったものだった。
団塊世代の大量退職に伴う採用増で10年前に比べ、全採用数が2倍以上となっていることを考慮しても多く、文科省の担当者は「仕事の量や保護者対応などイメージとのギャップがあるのだろう。職場での人間関係の希薄さも背景にある」と分析している。
2011-11-02
過労自殺で労災認定=キリングループの男性社員―東京
キリングループの東京キリンビバレッジサービスの男性社員=当時(23)=が、過重労働が原因で精神疾患を発症して自殺したとして、労災を認定されたことが31日、分かった。品川労働基準監督署が5日付で労災保険の給付を決定した。
男性側の代理人弁護士によると、男性は2005年に同社に入社。車で東京都内の自動販売機を回り、飲料水を補充する仕事をしていたが、10年4月、品川区内の営業所から飛び降り自殺した。
同年3月に異動した同営業所では、担当エリアが以前より広く、商品の入れ替え時期だったこともあり、自殺直前の2週間は毎日15時間前後勤務、十分な睡眠時間が取れなかったという。
男性側は、それ以前も、時間外労働が恒常的に月60〜90時間に上っていたのに、残業代は月千数百円しか支払われていなかったとしている。
2011-10-26
職場のメンタルヘルス対策義務化=臨時国会で法改正へ―厚労省
小宮山洋子厚生労働相は24日、事業者に対し医師などによる従業員のメンタルヘルス(心の健康)チェックを義務付ける労働安全衛生法の改正案要綱を労働政策審議会に諮問した。労政審は同日の安全衛生分科会でこれを了承し、原案通り答申。改正案は今臨時国会に提出され、来年秋にも施行される見込みだ。
厚労省は「東日本大震災を契機にメンタルヘルスが不調に陥る人の増加が懸念され、予防対策を充実させる必要がある」としている。
仕事上のストレスが原因でうつ病などになる人が増えていることから、改正案は全従業員の精神状態の把握を事業者に義務化。検査結果は医師や保健師から従業員へ直接通知し、本人の同意を得ずに事業者に提供することを禁じる。
従業員は希望すれば医師の面接指導を受けられる。事業者は面接指導を申し出た従業員に対し不利益な扱いをしてはならず、医師の意見を聞いた上で、必要であれば勤務時間の短縮や職場の配置転換などの改善策を取ることを求められる。
