法然院 春季 伽藍内特別公開


春秋と年2回おこなわれている京都法然院 伽藍内特別公開へ。
本堂中庭の三銘椿が見事だときいていたので。



まずは茅葺き屋根の山門をくぐる。



山門の階段下の通路両側には「白砂壇(びゃくさだん)」と呼ばれる白い盛り砂が置かれている。
砂壇は水を表していて、この間を通ることで身が清められる。



砂壇を過ぎると右手に講堂。



苔むした庭。こんなしっとりした緑に囲まれるのは久しぶり。



本堂南正面に置かれる地蔵菩薩像。
これは屋外で撮ったものだけれど、この菩薩像は本堂内部からも拝むことができる。
ちょうどこの菩薩像の姿がおさまるように扉が開かれていて、本堂内の薄暗がりから外光とともに目に入ってきた瞬間はなんともいえない美しさだった。
本堂の菩薩像の細工も素晴らしいのだけれど、明暗の差異を活かした見せ方に惹かれてしまう。


このあとは椿づくし。









再び山門をくぐり境内を出たあとに向かったのは法然院墓地。
本堂の説明をきいているときに、谷崎潤一郎の墓があると知ったので。

敷地内に踏み入ったときに、石塔の向こうにひとつ桜が見えているなあと思った。
手元の地図を頼りに目的の墓をたどってみると、そのしだれ桜の下にその場所があった。

墓碑銘は「寂」。もうひとつ「空」というのが隣に並んでいて、どちらかは谷崎夫人のもの。
どちらにしてもこの美意識に圧倒されてしまって、しばらく動くことができなかった。
生前の創作力や美的センスだけじゃなく、永眠される場所にまで妬けてしまうなんて。
著名人の墓参りって趣味ではないけれど、思わぬところで驚かされてしまった。
荷風の鴎外墓参りの日記や、野田宇太郎の墓地巡りの心境が少し分かったような気がした。

東京ハイカラ散歩 (ランティエ叢書)

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