[][]実践的護身研究その3〜襲われたときは護身グッズだ編〜

その1はコチラ、その2はコチラでございます。


正直に言ってしまえば、女性が男性に襲われたとき、どんなに頑張っても、勝てる可能性はゼロに近いでしょう。

ただし、状況によっては、逃げ出せる可能性はわずかながらあります。そして、逃れることが出来れば、あなたの勝ちなのです。

逃げ出すための状況をどうやって作るか。その可能性をあげるために世の中には護身のための多種多様なグッズが売り出されているのだと、私は思います。

じゃあ、その山ほどの護身グッズの中で、何を使うのがいいんだろうね、という話です。


私がおすすめするのは、小型の催涙スプレーです。そして、もう一つ何かを持ち歩きたいのであれば、防犯アラームか特殊警棒が良いのではないかと考えています。

私の知る各種護身グッズを簡単に紹介しながら、なぜそれらの品をおすすめするのか、理由を以下に記します。


みなさんは、護身用の様々な特殊ナイフのことをご存知ですか? 小さく、軽く、持ち歩きに便利で、普段はナイフ以外のものとして使うことの出来るナイフ。

たとえば、特殊樹脂製のヘアブラシナイフ。これは普段はヘアブラシとして使うことも可能ですが、いざというとき柄の部分を引き抜けば、小型のナイフになるというものです。樹脂製ですので、金属探知器にもひっかからず、飛行機内に持ち込むことも出来る筈です。

似たようなアイテムに、キーホルダーナイフ、ボールペンナイフなどがあります。いずれも、普段は別の道具として使い、必要なときは引き抜いて小型のナイフとして用いることができるものです。


私はこういった特殊ナイフのたぐいは、おすすめしません。

ナイフの扱いの心得がある方というのは、とても少ないと思うのですよ。しかもこういった特殊ナイフは、形状や大きさの特殊性からいって、扱いやすいものとは思えない。

また、いくら自分を襲ってきた相手とはいえ、他人に刃物を向けるという行為には、抵抗を覚える方が多いのではないでしょうか。

そう考えると、特殊ナイフは取り出しても使いこなせずに、相手に取り上げられてしまう可能性が高い。そうなったらどうなるか……考えただけでぞっとしますね。

暴漢に刃物を与えるのは、たいへん危険です。ナイフを使いこなせる自信がある方以外は、使用を避けるのが安全でしょう。


同様の理由で、スタンガンもおすすめしません。

スタンガンで相手を失神させるためには、首筋を狙う必要があります。

自分より身体が大きくて力の強い人間に突然襲われたときに、的確に首筋にスタンガンを押し当てるというのは、たいへんな難事です。しかもそのためには相手にかなり接近する必要があります。危険ですね。

スタンガンも特殊ナイフ同様に、使いこなせずに相手に取り上げられてしまう可能性が高い武器です。

取り上げられた後のスタンガンはおそらく、あなたに苦痛を与えるために使われることになるでしょう。最悪の事態です。

特殊ナイフ、スタンガン共に、取り上げられる可能性が高く、そうなった後はあなたを傷つける道具になってしまう……それゆえ、私はこの二つはおすすめしません。


ただし、スタンガンは、相手に向かって放電の火花を散らしてみせることで、高い威嚇効果を持つと言われています。護身のためには、威嚇というのも、確かに重要な要素です。使いこなすことができれば、強力な護身用具になります。

スタンガンにも様々なタイプがあり、私が注目しているのは携帯電話型のスタンガンなどもあります。

たとえば夜道を一人で歩いていて、不安になったとき、携帯電話型のスタンガンを取り出して電話をしているふりをするというのは、ひとつの手かもしれませんね。

何者かに襲われたとき、あなたの右手は、既に武器を握っているのですから。


特殊警棒は、ナイフやスタンガンに比べると、取り上げられたときの危険性が低いアイテムです。また、ナイフやスタンガンに比べると、断然リーチが長く、相手から距離をとることができるのが、大きなウリだと思います。

先端はかなり素早くしなるように出来ていますので、女性の弱い力であっても、振り回せば相手にそれなりのダメージを与えることが出来ます。うまくいけば一撃で昏倒させることもできるとか。

また、刃物を持った相手の手を狙って、刃物をはたき落とすこともできます。ナイフやスタンガンにはできないことです。


ただ、こういった戦うための道具を持っていても、自分より明らかに腕力で勝る相手に勝つことは、難しいのではないでしょうか。というか、やはりまともに戦えばたぶん、負けますよ。

私は護身用具は戦うための道具というよりは、逃げ出すきっかけを作るための道具と考えた方が、現実的なのではないかと思っています。

特殊警棒がいかに強力な扱い易い道具であっても、決して過信しないでください。相手をひるませることができたら、逃げてください。

特殊警棒を振り回せば、相手を威嚇することができます。逃げるきっかけを作るためには、威嚇はたいへん有用です。


最近スタンガンに変わって注目されはじめている護身グッズにマイオトロンがあります。

これはFBIなどが鎮圧用に使用する道具で、相手の下腹部に二秒以上あてれば、確実に神経に作用して失神させることができるという、画期的な武器です。

スタンガンとは異なり、服の上から用いても効果があるというのが、大きなウリです。

スタンガンより扱いやすく効果を得やすい道具だと言えるのではないでしょうか。

ただ、マイオトロンはスタンガンと異なり、放電時に火花を散らして威嚇することが出来ません。威嚇効果が低いというのは、マイオトロンの大きなネックです。

また、マイオトロンにせよスタンガンにせよ、相手にそうとう接近しなければ使えないアイテムですので、その点を覚悟してください。


防犯アラームの良い点は、取り上げられたとしても、相手がそれを使ってあなたを傷つけることができないところです。

デメリットのないアイテムだと言えます。

ただし、防犯アラームは金銭目的の誘拐犯などが相手のときは高い効果をあげるが、性的な目的で襲ってくる人間に対する抑止力は低いと一般に言われています。

金銭目的の誘拐犯は、利益のために行動する冷静さがあるから、アラームの音が響けば、目撃者が現れることを恐れて逃げ出すが、性的な目的で襲ってくる人間は激情に駆られ、冷静さを欠いた状態であるため、アラームの音を意に介さない傾向があるそうです。

女性の持ち歩く護身グッズの中では、防犯アラームはたいへん人気が高いですね。

ですが、成人女性が夜道で襲われるとすれば、犯人の目的は金銭ではなく、性的なものである可能性の方が、はるかに高い。

それゆえに私は、防犯アラームを持ち歩くのは良いことだが、それだけでは防備として不十分であると考えています。できれば他の護身グッズと組み合わせて用いるのが良いでしょう。


また、アラームの種類によっては、音が小さくて、あまり役立たないときもあります。

私は以前、ピンを引き抜いて鳴らすタイプの防犯アラームを持ち歩いていて、よりによって学食のど真ん中で誤ってそのピンを抜いてしまったことがあるのですが、アラームの音があまりにも小さくて、周囲の人間が誰一人振り返らなかったのですよ。

「なにこれ意味あんのかよマジで」

と思いました。アラームを購入するときには、くれぐれも音量に注意をはらいましょう。


持ち歩くことによって生じるデメリットがなく、相手を傷つける可能性のある他の護身グッズに比べると使用に心理的抵抗が少ないというのが、防犯アラームの長所です。


私が女性の護身グッズとして、もっとも優れていると考えるのは、催涙スプレーで、おすすめする理由は以下の6点です。

  1. 扱いが簡単であり、腕力が弱い人間でも使用に問題がない。
  2. 取り上げられたとしても、相手がそれを使う可能性はゼロに近い。(女性にかけてしまうと、おそらく苦痛によってむやみやたらに相手が暴れるだけになるので、レイプが困難になってしまうし、そもそもガスのかかった相手に接近して襲えば、レイプ犯だってガスの影響を被ってしまう)
  3. 相手に深刻な身体的ダメージを与えることがない。そのため、使用に対する心理的抵抗が少ない。
  4. スタンガンやナイフ、マイオトロンなどと異なり、使用のために相手に接近する必要がないため、そのぶん安全。
  5. 効果がすぐに現れる。相手が簡単に無能力状態になるため、逃げやすい。
  6. 小型で携帯性にすぐれた商品が多いので便利。

ただし、催涙スプレーにも欠点はあります。


催涙スプレーは、基本的に一度で使い切るものです。携帯に適した小型のものでしたら、相手に向かって数秒噴射したら、それで終わりです。時間の目安は、内容量の二分の一の秒数と言われています。60cc入りのスプレーならば、30秒です。

ちなみに、携帯に便利なキーホルダータイプのものだと、大体内容量は10cc前後だと思いましたので、使用時間はわずか5秒……

それで効果があれば問題ありませんが、もしもそのとき狙いがはずれて、効果が出なかったら……と考えると不安になりますね。


また、催涙スプレーには有効期限がありまして、一度買ったら永久に使える物ではありません。購入後一年経ったら、また新しい物を買いましょう。


それと、催涙スプレーは確かに相手を無能力化しますが、それは一時的なものです。相手が苦しみ始めたからといって勝った気にならないで、すみやかに逃げましょう。


他にも、使用されているガスの種類によって、異なるメリット、デメリットがあります。

まずCNガスの催涙スプレー。CNガスは気化が速いため、相手がガスを吸い込みやすく、気化したものが目に入っても効果がありますので、攻撃範囲が広く、たいへん扱いやすい。

ですが、CNガスは稀に効かない相手がいるのです。

薬物中毒者や泥酔者には、CNガスが効かない場合があると言われています。また、野生動物にもCNガスは効かない場合があります。


これに対してOCガスを用いた催涙スプレーは、CNガスと異なり、どんな相手にも効果を発揮し、動物相手に使うこともできます。

ただし、OCガスはCNガスと違って、相手の目などに直接かからないと効果が薄いと言われているため、落ち着いて狙いを定めることが必要となります。これはなかなか難しい。


ここで、それではOCガスが目に入らずに皮膚にかかっただけだとどうなるのか、という疑問が浮上してきますね。

OCガスは皮膚にかかった瞬間はちょっと熱く感じるだけですが、数秒後には焼け付くような激痛に襲われることになります。皮膚の上で小さな炎が燃えているみたいな感覚です。私はそれをよく知っています。なぜなら、自分自身の身体で実験したことがあるからです。(アホや)

頬に少しかけただけだったのですが、その後私は顔を洗う以外の行動は何もしたくない人間になってしまいました。マジ痛いよ、アレ。何回顔洗っても落ちなくて痛いしさー。結局私はあのとき、8回も顔洗いましたよ。

というわけで、OCガスタイプのスプレーが上手く相手の目に入らず、皮膚にかかっただけでも、効果がないわけではないと思いますよ。思い切って使え!


また現在は市場に、CNガスとOCガスを混合したタイプの催涙スプレーも多く出回っておりますので、不安を感じる方は、混合タイプのスプレーを使うのがよいのではないでしょうか。


護身グッズはひとつではなく、複数持ち歩いたほうが、安全は増すと思います。

たとえば、現れた暴漢にむかって催涙スプレーを吹きかけ、相手が苦痛で転げ回っているところに、キーホルダーに隠された特殊マイフで切りつけたり、特殊警棒で殴りかかったりすれば、相手を永久に無能力化することができるかもしれません。

まあ、そんなことすると過剰防衛とかになりそうで危ないし、反撃の可能性もあるから、逃げた方がいいかなとは思いますし、私ならとっとと逃げますけど。

とりあえず、どの護身用具も完璧なものではありませんから、あわせて使うことで欠点をカバーするというのは、賢いやり方だと思います。


ですが実際には、「そんないつ使うかわからなくて、もしかしたら一生使わないかもしれないものを、バッグの中にゴロゴロ入れておきたくない」と思うのが普通だと思います。

ですから、何か一つだけ持ち歩きたいのであれば、私は小型の催涙スプレーを持ち歩くことをオススメします。

キーホルダータイプのものを買って、キーホルダーとして使えばいいのです。そうすれば、「使わないのに邪魔だなあ」などと思わずに済みます。むしろ、毎日使うよ。キーホルダーとしてだけど。

というか、夜道を一人歩きする全ての女性は、どんなに洒落たキーホルダーよりも、催涙スプレーキーホルダーを使うべきなんじゃないかと、私は個人的に思っております。


私がキーホルダータイプの催涙スプレーの携帯をおすすめするのには、もう一つ理由があります。

玄関のドアを開けようとするとき、多くの人間の片方の手は鍵で、もう片方の手は荷物で塞がっていることが多いと思いますが、両手が塞がった状態というのは、襲撃者に対する反撃が難しく、たいへん危険。

ところが、キーホルダータイプの催涙スプレーの使用者にとって、鍵を持っている手というのは同時に、武器を持った手でもあるのです。

両手が塞がっている状態で襲われても、素早く鍵とキーホルダーを持ち直して、反撃にうつることができるのです。

これは大きな利点だといえるのではないでしょうか。


さて。

護身グッズをいくら大量にかばんの中に入れていても、いざというときすぐさま取り出すことができなければ、意味がありません。

少しでも不安を感じるときは、かばんの中を確かめて、護身グッズをすぐに取り出せる状態にしておきましょう。

夜道をひとりで歩くときなどは、催涙スプレーを利き手に握りしめた状態でいるくらいのほうが、安全だと思います。


ところで、大抵の方はスプレーを使うとき、人差し指でノズルを押しているかと思いますが、催涙スプレーを扱う際には、人差し指ではなく、親指を用いた方が、スプレーをがっちりと握り込むことができ、狙いも定まりやすいと言われています。

咄嗟の場合には親指でノズルを押し込めるように、スプレーの握り方を、身体に叩き込んでおきましょう。


最後に。

誰がどれほどの防備を固め、護身術を身につけ、安全を心がけた生活をしても、駄目なときは駄目だというのが、現実です。運が悪く、相手が悪ければ、そういうこともあるのです。

ですが、だからといって最初から諦めて戦うこと、逃げることを放棄すれば、本当ならば助かったかもしれない状況でも、被害に遭うことになってしまいます。

駄目なときは駄目なのが現実、けれどあなたの心構え、防備の状況によっては、駄目じゃないときもあるかもしれない、助かる確率を少しでも上げよう、というのが、「実践的護身研究」の目的です。


心というのは、刃物と同じです。研ぎ澄ませば、切れるようになるのです。

いざというとき、自分がどのように行動すべきか、きちんと心の中で準備しておけば、身体も動きます。覚悟を決めた人間は、そのぶん強い。

おのれの護身について真剣に考えること、通学・通勤ルートについて思いを巡らせる、いざというときは叫び声をあげ、相手に対する情けを捨てる気構えを持つこと、どのような護身グッズを購入するのか真剣に検討すること……いずれもあなたの心を研ぎ澄ませるための手段の一つなのです。

運が悪ければ駄目になるということは、言い換えれば、運が良ければ助かるということでもあるのです。

「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がありますね。心を研ぎ澄ませて頭を働かせ、用心を怠らず、最悪に備えれば、運を呼び込むことができるかもしれません。最悪から逃れることが、できるかもしれないのです。

そのための「実践的護身研究」です。

なんとしてでも、生き延びましょう。生き延びてください。それが私の願いです。

それでは、長々と続いてきた実践的護身研究もここで終了、最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。

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怠惰も極めればスタイルになると、信じて生きる所存です。好きな言葉は「棚からぼたもち」そして「濡れ手で粟」。