クリスマス前の静かな一夜
ヒノキ「暇じゃ」
ゲンブ「アリナ様、何をおっしゃるのですか? お嬢さまには大切な使命が……」
ヒノキ「そう。わらわには大切な使命があるはずじゃった。本来なら、この年末にシンカリオンが最終決戦の時期に入り、今ごろは敵の本拠地である桜島にて、最大級の激戦があることが、この予言書『朱雀降臨暦』に記されておったのじゃ。が、どうやら予定されていた未来はタイムジャッカーか何かの原因で変化したらしい」
ゲンブ「シンカリオンが2年目も続くことになって、めでたいのはめでたいのですが、我としては同名キャラのゲンブが石化したままなのが残念でなりませぬ。ビャッコ共々、復活を希望するのみでござる」
ヒノキ「セイリュウは何とか死亡フラグを克服したようじゃが、スザクはまだ危険信号が灯っておるのう。しかし、問題はそんなことではない。本来なら、シンカリオン最終決戦の余波で、この擬似九州の地にもエネルギーの暴走が懸念されていたのじゃ。だからこそ、わらわは地脈の鎮静化などの目的で、このコンパーニュに待機していたのに、どうやら、その必要がなくなったらしい。わらわとしては何のために待機していたのか、目的意識を見失っておる次第じゃ」
ゲンブ「平和なのは、良きことではないですか。大丈夫、アリナ様の出番は必ず来ます。こういう予告編も公開されましたし」
ヒノキ「そう、これも予言映画の一つであろう。ラドンはわらわ、モスラはコナっちゃん、ゴジラはおそらくセイリュウ、もう一体のギドラは今だ見ぬ強敵ということで、このブログ世界とも連動しているかも、と『朱雀降臨暦』には書かれておる」
ゲンブ「かも? 何だか妙な記述の予言書ですな。その予言書には、ガメラやシーサーのことは書かれていませんか?」
ヒノキ「ああ、亀のことなら、イタリアのマフィアとの抗争劇において、重要な役割を果たす、たぶん、とあるぞ」
ゲンブ「たぶん……。その予言書、大丈夫なのでござろうか」
ヒノキ「さあのぅ。少なくとも、今年の年末に桜島で最終決戦が行われる、という予言は外れたというか、時期がズレ込んだようだし、100%の信を置くのもどうかと思われる。予知や予言といっても、数ある可能性の一つに過ぎんからの」
ゲンブ「ともあれ、今が平和な日常というのは、それはそれで良いことではござらぬか。せっかく羽を伸ばせるなら、こんな時にサブロー殿とゆっくり楽しんではいかがですか?」
ヒノキ「ダメなのじゃ。彼は、知人の年末コミケの手伝いを頼まれて、これから忙しくなる、と聞く。それに、シロがいれば、この時期ケーキを作ってくれように、コナっちゃんと一緒に屋久島へ旅立って、連絡がとれなくなっておるし。そもそも、新星どのも何かと忙しいようで、連絡一つ寄越さなくなった。今年の年末は、このまま、お主と二人で寂しく語り明かすことになりそうじゃのう」
ゲンブ「メガネンジャーの面々はどうなのですか? ドクター殿や弥生どのと連絡をとって、ラビットタンク改造計画の進捗を聞くというのは?」
ヒノキ「こっちから連絡をするのは、何だか急かすようで格好悪いじゃろう」
ゲンブ「そんな物でござるか」
謎の声「フフフ、日野木アリナ殿。何やら、時間を持て余している様子。わしが相談に乗って進ぜようか?」
ゲンブ「な、何やつ!? どうやって、この結界の張られたコンパーニュの塔に侵入してきた?」
謎の男「結界だと? フム、時空を操作する者には、そのようなものは役に立たん、と告げておこうか」
ヒノキ「こ奴、もしかしてタイムジャッカーの仲間か?」
謎の男「タイムジャッカー? あのような小物連中と一緒にするでないわ。わしは予言者……そうだな、仮にノヴァストラダマスとでも名乗るとするか。この世界の終わりを告げに来た」
ヒノキ「世界の終わりじゃと? まさか……」