東野圭吾 白夜行

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あらすじ

桐原亮司という少年が居た。1973年の話だ。
ある日少年の父親桐原洋介が廃墟のビルで死体となって発見される。桐原洋介は質屋を営んでおり、事件当日には長期預金を解約し、百万円を銀行からおろしていることが判明していた。
一見単純な事件のようだったが、捜査線にあがってくるのはうどん屋に勤めている西本文子ぐらいなもので、彼女にはきちんとアリバイがあった。となると彼女に共犯が居るのではないかと警察は考え、近辺を洗った。浮かび上がったのは寺崎忠夫、化粧品や洗剤などを卸売りしている男だ。彼に事情を聞くと西本文子とつきあっているのを認め、事件当日にアリバイがあったことを話した。だが、そのアリバイに不審を抱いて月が変わった頃寺崎は死んだ。自動車事故で死んだのだが、車内には桐原洋介の物と思われるダンヒルのライターが転がっていたそうだ。こうして事件は被疑者死亡で振り出しに戻った。
一年後、桐原洋介、寺崎忠夫と関係を持っていたと思われる西本文子はガス中毒で死亡する。娘一人を残して・・・。彼女は父方の叔母に引き取られ、唐沢雪穂となる。
桐原亮司と唐沢雪穂の二人を基点に物語は細く長く続いていく。

感想

東野圭吾七冊目の本かな。しかしまぁ、微妙な話です。技巧的には優れているようなんですが、読み手側からするとひどくまだるっこしく、話に興味はほとんど持てませんでした。途中から明らかに犯人はわかっているものの、誰もそのアクションをとれないまま、話は進んでいくので欲求不満な状態がダラダラと長く続くのです。それに入れ替わり立ち替わり人がワラワラと出現し、視点がコロコロ変わるので読み辛く感じました。感情移入という点においては失敗だったんじゃないかなぁ。
内容的にはジグソーパズルのピースを一つ一つ当てはめていく作業に近いです。本質的な主人公二人については彼らの口からはほとんど何も語られませんしね。これがイライラの元なのかもしれません。それに、文章としてはそれほど優れていない点も読んでいて楽しめなかった原因なんではないでしょうかね。
これが楽しめる人ってどんな人なんでしょうか?キャラクターに魅力は無いように感じます。全てを偽って白夜の中を突き進む二人に共感を覚えることはほとんど無いと思いますし、事件を解き明かそうと奔走する人々もあがけばあがくほど泥沼なだけですし、爽快感は0。おまけにピカレスクとしてもポリシーを感じにくく、ただサバイバルするという事だけではどうなんでしょうねぇ。なぜアマゾンの評価が高いのか理解できません。驚きという事についてはほとんど本書内には確認できませんでしたから。スケールの大きさというよりほとんど無駄にダラダラ長いというだけの様な気がします。
期待はずれですな、35点。

蛇足:『幻夜』が『白夜行』の続編だそうですが・・・読まない方がいいかなぁ。

参考リンク

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