GONE WITH THE MEDICINE

2010-02-02

良い本である可能性の高い本の選別方法・改

どうもりんこです。


以前似たようなエントリを書いた記憶があるのですが,改ということで。

  • 章の始めに,その章の構成が要約されて書かれている。
  • 章の最後に,その章のまとめが要約されている。
  • 章の最後に,確認事項,チェック問題など,その章で書かれていたことを想起できるような仕組みが用意されている。

これに当てはまり,かつ,その内容もすばらしく,日本語もわかりやすく書かれている本は,

結城浩さんの本しか思いつきません。

これは当方の読書量の少なさのせいかもしれませんが,

何冊読もうとも,すばらしい本に出会える割合は変わらないという仮定が

正しいとすると,すばらしい著者に出会える確率はかわらんのかも。


さらに結城さんについて言います。

具体的には,デザインパターンの本を読んだんですが,この人は

本を売ってお金をもらうということを真剣にとらえているんだろうなぁと,

ワタシは感じます。

「金をもらう イコール 信用をもらう」だとワタシは考えているので,

結城さんはその信用の重さを知っているように思われます。

さらに,言い方が悪いですが,本を売って読んでもらうと読者の時間を奪うということにもなるので,

その時間を極力有意義な時間にすることを考えて本を書いているのではないかとも感じます。

つまり,読む側の人間のことを真剣に考えて本をかいているなぁと感じます。


大学時代に読んだ数学書なんかで,ある定理の証明をみると,「自明」と

書かれていて,何回どついたろかと思ったことか。

もちろん当方が阿呆というのもあるのでしょう。

しかし,その「自明」は書いている人間から見てのものであり,

読んでいる人間から見たものではないと思います。

これについてはワタシの中にもいくつか異なった意見があるのですが,

初めて数学書を手にとって読んだ人に対して,「自明」を提示すると,

その人のやる気は萎えてしまい,

その人の好奇心を刈り取ってしまうのではないかと思うのです。

なぜなら,わかれば楽しい,わかるから楽しい,から。

自明というと,「こんなことわかっていて当たり前だよ。」,「こんなこと知っていて当たり前ですよ」,

「こんなこと知らないなんて阿呆なの?」,

「こんなのが理解できないのは頭がわるいんじゃね?向いてないよおまえ」

と言っているように感じてしまうのは,ワタシがひねくれているからでしょうか。


かといって,全部こと細かに説明していってはきりがないというのも事実だと思います。

読者にほどよい思考を要求してから解説するというのがいいかなぁと。

なので,陳腐な結論ですが,バランスが重要かと思うのです。

しかし,学習書,自習書に限定すれば,著者にとって自明だからといって,

自明とするのは,百害あって一利なしなのではないかと思うのです。

だって,本の評判が悪くなり売れなくなる。から。

これは自業自得だからいいとしても,学習者の学習しようとする意欲を

そいでしまうことになるから,というのが大きな問題。


ま,「ほどよい」とか「バランスが重要」というのは当たり前だし,

抽象的だし,さらには人によって変わってくるので難しいのはわかります。


最初に書いた条件については,読む側でどうとでもなりますが,

その方法などを知らなかったり,その発想自体がなかったりすると,

どにもならん。

また,それらの条件を満たすためには,著者に負担がかかるだけだと思います。

しかし,ここで読者のことを考えていれば,それらの,負担がかかるだけの作業を

読者のために行うと思うわけで。


換言すると,本を書いているときに何が著者の動悸になっているか? ということかなと。

ただ金を儲けたいだけなのか?

ブームに乗っているだけなのか?

読者にわかってもらって,向上してもらうことを望むのか?

何のモチベーションもなく,機械的にやっているだけなのか?

色々あると思います。さらに,どれでやっても金を儲けることにはつながります。

しかし,根底になにがあるか? というのが重要かと思うわけです。

そして,結城さんの本からは,読者のことを考えて書いている,ということが,

ワタシに伝わってきたので,こうした駄文を書いてみました。


余談かもしれませんが,洋書(訳書ではないです)には最初に書いた条件を満たす本の割合が,

多いように感じられます。ま,これは日本人が読むくらいの洋書は有名で名著であることが

多いからかもしれませんね。


余談:

読者のターゲットとか,本のジャンル,などなどあいまいなまま書いたので,

内容がぶれぶれですね。

というかささっと書いて結城さんにありがとうを言うだけのつもりだったけど,

ついついまた,偉くもないのに偉そうな立場からキーボードを打鍵してしまいました。

へへへ。

hyukihyuki 2010/02/03 09:21 おほめいただき、恐縮です。
期待に応えるようがんばります!

ところで『英文解釈教室』は私も大好きな本です。なんだかうれしいです。

jewel_boxjewel_box 2010/02/03 09:32 おはよう!

結城さんの本は前職であるシステムエンジニアの時、デザインパターンの本を読みました。

今は可愛いイラストやデザイン性がこった本が多いなか「ずいぶんシンプルな本だな」と思ったのを覚えています。

仕事をしていた時は結局それを最後まで咀嚼して生かすことができなかったのがちょっと心残りです。

この日記を読んでその時のほろ苦い気持ちを思い出しました(^^;

wd0wd0 2010/02/03 17:17 こんにちは。準数学者と名乗るか半数学者と名乗るか検討中の大学教員です。

数学の教科書の「自明」とか「明らか」とかは、「書き下すと長くなるので、書きたくない」という意味だと理解するとよいでしょう。証明で特に難しい技は使わないのだけちゃんと書くと長くなりそうなときに、「明らか」と書きます。本当に明らかで簡潔に書けるなら書き下したほうが楽なのでそうします。そうしていないのは書き下したくない理由があるからで、たいていの場合は、長くなるのが嫌という理由です。

うちの学生には、ちゃんとそのあたりの事情を教えています。

ちなみに、この辺の事情は、英語でも仏語でも独語でも同様です。

whitypigwhitypig 2010/02/04 00:20 hyuki さん,コメントありがとうございます。
ご本人からコメントをいただけるなんて,感激です。あと,書き忘れてのでここで。感動をありがとうございました。応援しています。

> ところで『英文解釈教室』は私も大好きな
> 本です。なんだかうれしいです。
おぉ!! ワタシもうれしいです。

であであ。

whitypigwhitypig 2010/02/04 00:23 jewel_box さん。
おはよ〜。

> この日記を読んでその時のほろ苦い気持ち
> を思い出しました(^^;
む,ごめんよ〜。でもいい本だったので,我慢できなかったんです。内容は活かせなくても,jewel_box さんの中に,この本の構成とか文章とかおいしい点が蓄積されているので,大丈夫!

whitypigwhitypig 2010/02/04 00:33 wd0 さん。
こんにちは。コメントありがとうございます。
ワタシはなんちゃって数学科学生だったのですが,教授からそういった話を聞いたことがなかったです。なので,wd0 さんのご意見は貴重ですね。確かに,明らかとか書いて,学生に対して,他の似たような本を図書館で探したりすることを要求することで,答えのない問題への取り組み方を学ばせるというのもありだとは思います。しかし,それは教師側が生徒に対してその意図を明言してはじめて成立するのではないかと思います。

あと,省略することで,一種のフィルターとして作用させるという見方もできますが,学部くらいまでだったら,学生を切り捨てるのではなく,すくって助けるのがよい教育なのかなぁと思います。すくいかたにもよるけど。

なので wd0 さんに教えてもらえる学生がちょっとうらやましかったり(^^

英語などでもこのへんの事情は同じなのですね。貴重なコメントありがとうございました!

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/whitypig/20100202/1265139533