以前ゲストを呼んでインタビューするという授業があって、その内の一人に劇団ひとりがいました。メモを見ると昨年の6月26日とあって、「大人のコンソメ」を知る前だったので彼自身の存在をちゃんと認識したのはその時が初めてでした。今思えばどうしてその後すぐにライブに行かなかったのだろうと悔やむのですが、手元にあった汚らしい文字を捨ててしまうのはもったいないと思って、多少意味不明ではありますが箇条書きのものを書き写すことにしました。


・妄想をネタにするのが好き。
・これからネタつくるぞってやらないとできない。
・(おそらくキャラの作り方について)言葉の使い方。Dをデー、カメラをキャメラと言う。
・でかいところ行くと顔が見えない。表情を見てもらいたい。舞台自体を大きくしたいわけじゃない。それだったらビデオとかで見てもらいたい。(ライブの会場について)
・高一の春元気が出るテレビ、高校生お笑い甲子園に応募してあたった。それでテレビに出た。関東大会に出たらそこに太田プロの事務所の人がいて、じゃあ来なよと言われて事務所に入った。それから二人でスープレックスとして漫才をやってた。二年ぐらいうけなかった。でも電車の中でつくったことが受けて1位になった。→じゃれあうようなことを言っていて、等身大の自分が出てきた。→これからは内輪ネタで行こうと思い、中学校の時の先輩の真似などをしていた。→相方に逃げられた。
イッセー尾形が好きだった。
・一人になって、yahooの掲示板で芸名を募集したら、一位がカツカレーでそれにしようと思ったのに、事務所からNGが出た。動物園一人なども考え、結果、劇団ひとりとなった。

・幼少期アラスカにいた。父親がパイロット。アラブカレッジにいた。(お父さんの話の中で出てきたと思われる)UFOを見たと言うとパイロットを首になる。
・文化の違いが役に立った。
・勉強が無茶苦茶おくれていた、算数がものごく簡単だった。なのでいつも優等生。でも日本に戻ってきたら、勉強に全然ついていけなくて、だからお笑いやっているのかもしれない。
・女子便所を男子便所みたいにしたことがあった。(昔やった悪戯について)
・小学校はみんなのひょうきんもので、中学はずっと放送部員だった。理由は人気もあるし楽だから。

完売劇場という番組に出演している。
・(ネタについて)知らないけれど知っているようなものをつくっている。やっていることは学校の先生の真似をしているのと同じ。先生……子供とからんでいくうちにそういうキャラになっていくのかも。
・お笑いってグローバル?ナショナル?→英語に訳しても伝わるようなネタ。日本人が今だけわかるようなネタと言われたくない。だからと言って別に実際に英語にしたいわけでもない。
・ギャグとコメディーなら、コメディーの方が好き。
・キライなタイプのお笑い、は別にない。ただアドリブ風に見える漫才は見ててはずかしい。
・ネタ切れのような恐怖はない。
・売れてないからまず上を見なきゃ。
・テレビ出てキャーキャー言われてみたい。なのでテレビ出た次の日は同じ衣装で歩いたりする。

・(ネタについて?)自分だけ良いんじゃなくて、お客さんに楽しんでもらわないと。
・笑い→安心感とコミュニケーション という文化も出てきた。本能的に笑うんじゃない文化も出てきてる。普段の笑いとライブの笑いとは違う。ライブの笑いはわざわざ笑いを見に行っている。
・(おそらく時代についての話の流れで)変わらないのなら昔のネタでも笑えるはず。
・老人が転んで笑わないのは、自分の方が上だとわかっているから。でも社長が転んで笑うのは、こういう面があるのだと思ったりしたから。
・もともとは脚本家希望。高校の時にシナリオスクールに通っていた。台本の書き方はそこで教わった。
・人を観察する時、ネタを探そうとするとない。普段の生活で入ってくるものじゃないと笑いにしにくい。一瞬見ただけではあまり入ってこないし、その人がどんな人なのかわからない。多少距離が近くならないとネタにならない。
・(ネタについて弱者に対するかなしみがあるのではないかと言われて)ダメ人間と言われている人が好き。格好悪い人が格好良く見える。ずっと二軍のまま消えていくような人が好き。敗れざる者たち。

・家族はそんなに仲良かったわけではない。父親が今定年近い。だから家族みんなでロンドンに行った。それで仲良くなった。仲良くなりすぎた。
・(最近良かったものについて?)シカゴ良かった。ムーラン・ルージュがすごく好き。ミュージカル好き。ストーリーはどうでも良い。プロモをずっと見てみたい。

・笑いを通して伝えたいことって別にあるわけじゃない。目的はない。
・昔より今の客の方が厳しい。


たった一年も前なのに、ずいぶんと状況が変わっていそうな気がしました。おそらく今はテレビ出てキャーキャー言われているのではないでしょうか。インタビューする前にライブのビデオで三ネタぐらい見せてもらって、実際にウォン・チューレンのネタをやってもらいました。名前ぐらいしか知らなかったのですが、生で見て圧倒されてしまいました。インタビューの内容はテレビや雑誌でも後々見たり読んだりして、よく聞かれることなのだとわかりましたが、相方の借金について詳しく話してくれたり、笑いに対する姿勢、特に「ずっと二軍のまま消えていくような人が好き」という言葉を聞いた時に共感してしまったので、それを彼自身の口から発しているところを聞けて良かったと思っています。それにしても私は後になって事の重大さに気付くことが多いようです。