ふれるときこえ(初回限定盤)

ふれるときこえ(初回限定盤)

年末に買いっぱなしのままデータとして保管されていたことにふと気がついて再生してみたら、やわらかくて優しいのに時々ちりっとした痛みも伴う音楽が流れ込んできました。名嘉さんの声はなごやかで音もストリングスが聞いていたりしてなかなかポップなのですが、ただ優しいだけではないものも含まれていて、そのバランスがとても心地良かったです。またゲストボーカルとして参加している掟さんも渋くてナイスで、その掟さんを好きで呼んだ名嘉さんもまた素敵でした。過去の作品もデータになりっぱなしなので、ゆっくりと手繰っていきたいです。

ご機嫌な時にはあまりおすすめできない作品ではありますが、後味悪いもの好きとしては期待たっぷりで読みました。女の人の描く思春期の少年少女はねっとりとしていて、独特の味がにじみでているので切り離そうとしても当時の空気を思い出してしまいます。卒論の参考資料で読んでおくべきだったなあと思いながら、それぞれの世界に入り込んでいました。読むのがつらいと感じてしまう人もいるかもしれませんが、それはつまりそれだけ現実味があるということなのでしょうか。彼女たちの文章からにじみでる風景が痛々しくも、懐かしく感じられました。

ブラックムーン [DVD]

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あれ、こんなに若かったっけ、というのが見てまず思ったことでした。記憶の中の少女はもっと大人っぽいものだったはずなのに、久しぶりに見たら随分と女の子っぽいものでした。女ではなく少女、女の子。でも時間が経てば経つほどに色気が出てくるから不思議。
今回見ながらピンクのカーデに赤のスカートでわがままにわが道を行きながら思い込みが激しい少女にシュヴァンクマイエル版の『アリス』を思い出したのですが、見終わって解説を見てみたらルイ・マル版『アリス』のようなものだという表記があって、素直に納得してしまいました。シュヴァンクマイエルのアリスが成長したらあんな風になりそう、と見ながら思っていただけに嬉しくもありました。
予想通り途中でくらくらときてしまったのですが、夢と現実との境界線が曖昧になったまま見るのもまた良くて、作品自体にそういう面もあるので、まどろみながらの鑑賞でも話の筋を気にすることなく楽しめました。
時々無性に見たくなるので、やはり手元に置いておきたいなあ。