先日、友人でご自分曰く「いわゆる勝ち組」の経営者と話していて気づいたことがある。
それは「即応力」とでもいうものだった。
中身は単純。
何か不具合や問題点があれば、それを「直ちに」全力で叩きつぶす。
という感じである。
まあだれでもそういうことは心得ているのかな、とも思うけど、とにかくその点が徹底している。
言い忘れたことがあると「すぐに連絡しよう」といい、携帯電話を手にしている。
交渉する余地がある、と気づけば間髪いれずに交渉を申し込む。
ミスがあった、と気づけば「即座に」謝罪する。さらに
費用なお金の投資には、その場で理屈を突き詰め、その場で判断を出してしまう。
できない理由、を発見するとなぜできないかも「その場」で追及し切ってしまう。
『お座なり』にしない。
決断の速度。
彼に聞く。
「決断を迫られる問題すべてに性格に判断が下せるのか?」と。
意外な答え。
「結論は時間を延ばし、熟考すればするほど深みが出てくる」と。
それならば「なぜ熟考しないのか」と聞く。
それは「時間の効果」だという。
熟考する当事者が「一対一」ならば、将棋の大戦のように持ち時間一杯まで頭脳戦で戦えば良い、と。
だが、日常の現実は「多対多」の泥仕合であるという。
その時に必要なものは「何よりも雲行きを案じ、見定めている」というリーダーシップである。
熟考は「大きな組織」には必ずしも奏功しない。
自分たちは往往にしてそれを忘れ、自分の世界の思考に耽ることがある。
自分が「一対一」の単騎勝負をしている立場なのか。
それとも自分は「数千を率いる塊の長として」巨体を引き摺って行く立場なのか。
その立場によって、「採択する戦略も一通りではない」ということを自分たちは知っておく必要がある。
リーダーの立場でも、TPOによって戦略が変わるものである。
常に「今の最善」を考える。
組織の変化に伴い、柔軟に戦略を宛(あて)がう柔らかさこそが、真のリーダーの力ではないだろうか。