藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

技術の役割

無料通話のアプリが大人気だという。
「完全無料」「アイテム課金」などの言葉が躍る。
一本100円以下のアプリたちが千万単位の数ダウンロードされ、数百億円を稼ぐという。

別に私の印象ことなどわざわざかかなくてもいいのだが、自分もIT業界のはしくれにいる身として、根本的な違和感を感じる。
自分はSNSは将来「知的指向性を持ったもの」しか残らないと思っている。
リアルマネートレード、などと聞くとどうしても即座に「何のためのITか」と思ってしまうのは、もう人間が古いのかもしれないなぁ、と思いつつもこれからのITの発展には懐疑的である。

思えば、ビジネス誌が特集するくらいセカンドライフとか、ミクシィなども話題になったがその後はご存知の通りである。
本記事にもあるが、若い世代の人たちには「共感」というキーワードがあるようで、現代の「人間関係の希薄感を埋める」
ツールという役割は、これからも無くなりはしないだろうが(50代でも"いいね!"が好きな人は結構いるし)、精神が成熟してくればそうした皮相的な刺激からは卒業して行くものだと思う。

残るのは「本物の共感」を得られる関係でしかなく、それは今に至るまで昔からあまり性質的には変わっていないものである。
一日が24時間しかない、というのは"人類最大の平等"だそうだが、その有限の時間を使って「何に熱中するか」ということを若い人は立ち止まって考えてみるべきだろう。
オッサンが酒を飲むのも同様だが(嘆)、ふと気付いてみればいちいちお互いの日常生活を知らせ合っても詮無いことに気づくのではないだろうか。

これからのデジタル活用は、そうした時間配分のポリシー次第で毒にも薬にもなる。
「刺激物」にそのまま中毒してしまわないように注意が必要だ。

急成長のLINE、スマホ向けゲームでも存在感
ゲームジャーナリスト 新 清士2012/11/28 7:00ニュースソース日本経済新聞 電子版
 スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向け無料通話・メッセンジャーアプリ「LINE」の攻勢がとまらない。世界で7800万人、国内で3200万人ものユーザーを獲得するなか、LINEを運営するNHN Japan(東京・渋谷)が、ゲームを含めたスマホ向けのエンターテインメントプラットフォームとしてどういう戦略を進めていくのかがはっきり姿を現してきた。
LINEは若者を中心に急速に普及している(公式ページ)
 同社は今月19日にゲームサービス「LINE GAME」を開始し、パズルゲーム「LINE POP」やカードバトルゲーム「LINE 勇者コレクター」といったスマホ専用の5タイトルをリリース。年内に10タイトルを予定しているという。21日にはアバターコミュニティサービス「LINE Play」もプレオープン。2000種類以上のファッション・インテリアアイテムを販売できる体制を整えた。
 同社はパソコン向けオンラインゲームに関してポータルサイトハンゲーム」を運営して優位性を築きながら、フィーチャーフォン中心に急成長したソーシャルゲーム市場のブームに乗り損ねていた。しかし、スマホへの切り替えが進むタイミングに、一気に市場の状況を変えようと狙っている。
■海外売り上げの大半は日本
 ソーシャルゲームでは後発の同社は、スマホをターゲットに「マジモン」といったネイティブアプリのカードバトルゲームを展開し、アップル「AppStore」のランキング上位に食い込むことに成功した。同社のアプリは1500万ダウンロードを果たしているが、人気要因として他のソーシャルゲームプラットフォームと違い、ゲーム開始時に様々な個人情報を登録する必要がないという簡便さがあった。
 ソーシャルゲームのプラットフォームの重要な優位性の一つは、自社のゲームへとユーザーを連れてくる導線をつくれること。しかし、NHN Japanは自社単独での展開では、この導線をつくる点で弱く、多数の高品質なゲームをリリースすることはできなかった。そのためプラットフォームとしての発展にも限界があった。ところが、LINEの成功によって一気に情勢が変わった。強力な導線を持つことができるようになったからだ。
 韓国資本のNHNにとってNHN Japanの存在は大きい。NHNの2012年7〜9月期の売上高は5955億ウォン(451億円)で、ここ3四半期は横ばいに近い状態が続いている。基本的には韓国国内は検索エンジン「NEVER」の広告収益が支えている。そして、全売上高に占める海外比率は19%で、その大半が日本だ。
 12年4〜6月期をみると、横ばいが続くオンラインゲーム事業(42億円)、その他の事業(16億円)に対し、LINEの広告収入によりウェブサービス事業は1〜3月期の14億円から21億円に伸び、新規収益源の開拓に結びついている。今後ゲーム事業が軌道に乗り始めると収益がさらに伸びる可能性がある。
■埋もれたゲームを取り込み最適化
 同社がゲームを展開するうえで興味深いアプローチがある。例えば、既存のソーシャルゲーム企業との開発だけではなく、すでにスマホアプリとしてよく知られ、大きく成功しているタワーディフェンス型ゲーム「カートゥーンウォーズ」を「LINEカートゥーンウォーズ」という名称でLINEのサービスに統合し、リリースしたことだ。
「LINE カートゥーンウォーズ」の画像(NHN Japanのプレスリリースより)
 もともとこのゲームはiPhone版が85円で販売されていたが、これを無料にして完全にアイテム課金のモデルだけにした。また、LINEを通じてフレンドを呼んだり、このゲーム内でのレベルアップに必要な要素をプレゼントする機能など、ソーシャル性を持ったプラットフォームとしての要素が付加されている。すでにAppStoreやGooglePlayといったスマホ市場で販売されているゲームを自社プラットフォームに組み込んでいく戦略は、これまでになかった動きだ。
 スマホ向けゲームは3万本以上も出回っており、完成度が高いのに競争が激しいため埋もれているタイトルは数多くある。一方で、ダウンロードされるゲームのランキングは定番もので固定する傾向が強まっている。アップルもグーグルも、新しくて面白いゲームを求めるユーザーのニーズを必ずしもランキングに反映しきれていない。そこで、埋もれているスマホタイトルを、完成度の高さを保証する形でLINEが絞り込んでプロデュースすることができれば、全く違ったゲームが脚光を浴びることになるだろう。
■有利な立場から後塵を拝する立場へ
 NHNは無料提供している大富豪やリバーシ花札といった単純なゲームでユーザーに遊んでもらう一方、収益を上げる目的の一つとして、アバターの販売サービスを積極的に展開している。ユーザーは自分の仮想部屋を持ち、そこに家具などの調度品を並べ、自分自身も服装も着飾る。女性を中心に、何万円もかけて自分のアバターを豪華にすることに熱中するユーザーが現れるようになった。
ハンゲームアバターコミュニティサービスのページ
 ただ、アバターサービスは技術レベルが極端に高いわけではなかったため多数の追従者を生んだ。ディー・エヌ・エーが06年にフィーチャーフォン向けにスタートした「モバゲータウン(現Mobage)」も、アバターサービスが初期の重要な収益源となった。
 パソコン分野でも、09年にサービスが始まったサイバーエージェントの「アメーバピグ」が芸能人やブログサービスなどと連動させたプロモーションで10〜20代の人気を獲得し、ハンゲームのユーザーを奪った。アメーバピグが登場したころには、ハンゲームアバターは時代とずれた印象に変わり始めていたからだ。
 アメーバピグの売上高は10年7〜9月の2億3000万円が12年1〜3月には21億円に伸びている。ただ、女性ユーザー中心で、ハンゲームと同様に中心の年齢層が若いこともあり、ユーザーが熱中しやすい対戦もののソーシャルゲームほど大きな売り上げを稼ぐまでには至っていない。パソコン向け中心だったこともユーザーを限定する要因になった。サイバーエージェントスマホ対応へと切り替えを急いでいる。
 一般に、ウェブコミュニティーサービスは「3年の周期で人気が大きく変化する」というパターンがある。これはキャラクターやオモチャなどで当てはまる現象だ。中学生は高校生になり、高校生は大学生に、大学生は社会人にと、立場が変化することで好みが変わるからだ。この3年の壁を乗り越えられるかは、それぞれのサービスがどれくらい長期にわたって人気を得られるかを決める重要な要因になる。
 3年も展開しているとアバター向けの装飾品の種類が増えたり、ミニゲーム要素が増えたりと、サービス内容は多様になっていくが、逆にそのゲームに深くコミットし続けているユーザーとそうでないユーザーとの格差も広がる。初めてゲームに参加するユーザーにとっては、積み重なっているサービスの歴史はむしろ参加するうえではハードルに変わってしまう。
 NHNにとって、フィーチャーフォンからスマホへの切り替え期である現在は、自分たちが持っていたゲームポータルサイトアバターコミュニティーサービスのノウハウを生かして再度、主導権を獲得できるタイミングといえるだろう。
■ハード切り替え期に新しいユーザー獲得
「LINE Play」はアバターやマイルームを装飾してコミュニケーションを楽しめる(NHN Japanのプレスリリースより)

 筆者自身、サービスが始まったばかりの「LINE Play」に参加してみたが、やはり世代交代をはっきり感じた。多くのユーザーにとってはアバターコミュニティーサービスへの参加は初めての体験なのだ。
 まずサービスを起動してチャットルームに入った瞬間に戸惑う。大半のチャットルームは5人までの人数制限になっている。ボタン一つでルームに入ることができるし、逆にボタン一つでチャットルームから離れることもできてしまう。そのため、多くの人が様子見で入ってきてはすぐに離れていく。
 たまに4〜5人になって人数が安定する期間があり、「こんにちは」といった挨拶のあと、お約束の質問が出る。「何歳ですか?」。これに対し、「高2」「14」といった回答が大半で驚かされた。このことは、LINEが中高生の間で爆発的な人気を獲得していることを実感させる体験だった。
 サービス開始が21日ということもあり、「いつから始めました?」という質問に対して連休中は「今日が初めて」という人が目立った。このサービスはそもそもスマホを所有していなければ参加できないという偏りはあるのでサンプルとして正確とはいえないが、若年層にも速いペースでスマホが浸透していることがはっきり感じられた。「LINEをどれくらい使っているか」と何度か聞いたところ、「無料通話より普通にチャットツールとして使っている」と答えるユーザーも結構いた。
 チャットルームでの話題はとびとびになり、ほとんど成立しない。部活やアニメなど特定の話になることもあるが、アニメ一つとってみても幅が広すぎて話題がかみ合わない。少年ジャンプの「銀魂」や「スケットダンス」といったメジャーな作品が話題になり、どのキャラが好きという話になるだけ。年齢層が低いせいか、掘り下げた話までは発展しない。アニメの作品論をぶちまけた男子が出た瞬間、チャットルームががらんどうになったこともある。参加者が求めているのは自分の好きなものへの共感であって、それ以上を求めてはいないのだろう。
LINE Playの「ショップ」では約2,000種類以上のファッション・インテリアアイテムなどを販売(NHN Japanのプレスリリースより)
 ただ、ソーシャルゲーム的な要素が、緩やかなコミュニケーションサービスへと発展していきそうなことも実感した。アイテム課金方式で「ジェム」という仮想通貨を購入しなければ、新しい服を買ったりすることはできない。ゲームスタート時のアバターもそれなりにかわいいのだが、ちょっとおしゃれをしようと思うと課金が必要になる。
 課金をしないで遊びたいユーザーは、フレンド20人にジェムを送れる「ハート」や、フレンドになった人が持つ仮想の部屋に行って「水やり」や「掃除」を手伝うといった、単純なソーシャルゲームの機能を通じてジェムをためることができる。
 iPhoneの通知機能を利用すると、ハートや自分向けの発言、部屋に自分が来た記録を残せるスタンプ帳などが送られてきたことが知らされる。LINEでも同様だが、スマホならではの特性がうまく組み込まれている。コミュニケーションをしている相手が誰だかはっきりしないのに、何となく気になるのだ。もちろん、リアルな友人と一緒に遊ぶこともできる。これらの機能は今後様々なゲームにも拡張されていくのだろう。
 LINEの認証さえしていれば、それぞれのゲームは個別のアプリとして独立した存在になる。一方で、LINEやLINE Playを組み合わせ、個別のアプリとして幅広いポータル機能をカバーし、ユーザー間の緩やかなリンクを組み立てようとする狙いもみえる。スマホ時代のゲームプラットフォームのあり方として、NHNは有利な地位と的確な戦略を見いだしつつあるようようだ。
新清士(しん・きよし)
 1970年生まれ。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲーム会社で営業、企画職を経験後、ゲーム産業を中心としたジャーナリストに。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)副代表、立命館大学映像学部非常勤講師、日本デジタルゲーム学会(digrajapan)理事なども務める。グリーが設置した外部有識者が議論する「利用環境の向上に関するアドバイザリーボード」にもメンバーとして参加している。