藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自国の誇り。

中国で日本の、それも花王製の紙おむつが人気で、寡占化しているという。
輸出額はなんと、この十年で約百倍の110億円を超えているに増えているというから大ブームである。

原因は国内製への不信感と品質がネットで評判になったとのことだが、まあ日本メーカーの品質が人気に火をつけたということでもある。
そういえば米国の友人もパンパースよりも日本製、と話していたことをみると日本製品についてはかねてから口コミで評判はよかったようである。

この度はネットの風評が需要を煽りまくっているとのことだが、

これからはこうした
ネットの風評を
「煽る側」(の人や企業)
「煽られる側」(同上)
そして
「それを見る側」(一般ユーザー)
それぞれの見識が高くないと、思わぬ"行き過ぎ"に巻き込まれる危険に注意が必要である。

今でも既にマスコミの報道そのものが、いわゆる「劇場型」になっており、十分な情報の検証と思索なしに飛び交うことが多い。
ネットの上では昔から「炎上パニック」が起きやすいけれど、リアル世界の(重要な場面である)選挙とか法案とか、安全にかかわる情報とかについては、十分な「定点観測ができる仕組み」がネット上に必要になるのではないかと感じた。

おむつ情報がすでに軽い「リアル麻痺」を起こしていることは、ちょっとした恐怖である。

「メリーズが、ない」 中国へ転売される紙おむつ2013年12月15日18時42分
 【岩崎生之助、小山謙太郎】子供用の紙おむつが売り切れる事態が各地で起きている。特定のメーカーの特定の製品だけが飛ぶように売れる。いったい誰が、何のために買っていくのか。探ってみると、おむつは海を越え、高値で売られていた。
■ブローカー、留学生らから買い占め
 福岡市中心部の商店街。開店から間もないドラッグストアの店先に、軽トラックが止まった。助手席から出てきた女性が店に入り、紙おむつのパックを6個、抱えて出てきた。慣れた手つきで荷台に放り投げる。記者が運転席で待つ連れの男性に聞くと、「中国の親戚に送る」。女性が話をさえぎり、軽トラックは発進した。
 2人が買ったのは、花王の主力商品「メリーズ」のテープで着脱するタイプ。尿が漏れにくく肌ざわりがいいと人気が高い。「決まったルートで店を回って集めているようです」。ドラッグストアチェーンの担当者は困惑気味だ。
 ドラッグストアがひしめく東京・自由が丘。ここでもメリーズのテープタイプが品薄だ。ある店ではすべてのサイズで売り切れ。男性店員は「いつ入荷するかわからないし、入ってもまとめ買いされる」と語る。
 関東を拠点に1千店舗以上展開するチェーンでも5月ごろから品薄になり、一部店舗で購入制限を始めた。担当者は「買い占めているのは中国系の人。必要としているお客様に届かないので困る」と言う。
 都内の店でベビーカーを押して買い物をしていた20代の母親は「メリーズが手に入りにくくなったので、仕方なく他のものに変えた。使わないのに買い占める人がいると聞くと、むかっとします」。インターネットの育児サイトには、都市部の母親たちを中心に「メリーズがない」「中国人が買い占めるのを見た」などの書き込みが目立つ。
 おむつはどこに集められるのか。福岡県北部のアパートを拠点にしている買い占めブローカーが取材に応じた。室内には、山積みのおむつが、ざっと300パックはある。中国出身の貿易会社社長の男性(35)によると、買い取り価格は1パック(サイズにより54〜90枚入り)で1500円ほど。店頭より200円ほど高い。毎月、コンテナ6〜10個分のおむつを集めて上海に船で輸出する。月に60万〜100万円の利益になるという。
 男性がおむつの輸出を始めたのは4年前。当時の仕入れ先については口を閉ざす。今春から大阪や名古屋の同業のブローカーが福岡に進出して来て競争が激化し、十分に仕入れられなくなった。そこで、中国人留学生らが店頭で購入した商品を買い取り始めたという。「日本人が買えないのは申し訳ないが、中国のお客さんの要望がすごいから」と話す。
■ネットで評判、日本の倍近い値段
 中国南部の広東省広州市。子供用品店「貝比」では、日本製メリーズが1パック143元(約2500円)で売られていた。日本の店頭の2倍近い額だ。M、Lサイズは品切れ。店員は「並べる先から売れるので、問屋が持ってきた分だけ買っている」。大型スーパーでも、同じものが1パック180元(約3150円)で売られていた。一枚あたりの価格は、中国メーカーの紙おむつの約10倍だが、所得の高い層に人気がある。
 外資系企業に勤める2児の母親(37)は「中国メーカーのものは1回漏らすと替えなければいけないが、日本製メリーズは3回分は吸収するので便利。通気性もよくて赤ちゃんの肌がかぶれない」と話す。
 インターネット上の中国語の育児掲示板では、吸収性のほか、柔らかさや透湿性を評価する声が目立つ。花王以外もテープでおむつを装着する型の製品を出しているが、ネット上でメリーズの評判が拡散し、ブランド化しているようだ。
 子供用品店の仕入れ先は市内の「一徳路卸売市場」にある問屋だった。各問屋の卸売価格は、1パック130元(約2300円)前後。積み上げられたメリーズには、関東や関西で店舗展開するホームセンターなどの名前が書かれた購入済みシールが貼られたままだ。買い占め品とみられる。業者を経由し、税関を通して輸入したという。
■自国製に不信、出費惜しまず
 中国では2008年、有害物質メラミンの入った中国産粉ミルクで乳児が亡くなる事件が発生。国産品への不信が国民から噴き出し、香港などで粉ミルクを買い占める「運び屋」が問題化した。「一人っ子政策」と、経済成長による中間層の伸長で、子育てのためなら出費を惜しまない家庭が増えている。こうしたことが買い占めの背景にあるようだ。
 財務省の貿易統計によると、12年のおむつやナプキン類の中国への輸出額は、10年前の97倍の約119億円に急増した。
 おむつが日本で買い占められている状況について花王広報部は「すべての日本の店で品薄になっているわけではない」とコメント。十分な量は供給しているとの姿勢だ。正規代理店を通して日本製を中国に輸出するルートもあるというが、出荷量については「明らかにできない」としている。
 花王は今年から中国内陸部の工場で生産したメリーズの販売を始めたが、あくまで「日本で生産され、日本で売られている製品」に根強い人気がある。
 中国情勢に詳しい経営コンサルタントの和中清氏は「豊かになった中国人が質の高いモノをほしがるのは自然ななりゆきだ」と指摘。「日本企業はこうしたニーズを踏まえて戦略を練るべきなのに後手に回っている。買い占めなどマナーの問題には個別に対応していくしかない」と話す。