藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

継続する力。

特定秘密保護法案が可決され、いよいよ報道も頻繁になってきた。
といっても、どうも朝日が力を入れ、読売などは沈黙している風に見えるのは気のせいだろうか。

刑事法の松宮教授は「共謀罪の復活」を憂う。
特定秘密保護法共謀罪治安維持法、などとくれば戦時中の再来になりかねず、事実今の政権は「七十年前のそれに似ている」という識者の指摘も多い。

大きく見れば、地球の環境問題もあって「無制限の経済繁栄」が金科玉条ではなくなり、そのせいで「次は自分たちの番なのに」という(いわゆる)新興国の不満が溜まり、中国近隣諸国や中東が保護主義へと傾きつつある、という感じがする。

相手が「力を以て」近づいてきた時に、「より強い力」で対抗することは、怪我をすることが多い。
交戦時には気が済んでも、その後に「どちらも被害者である」というような例は枚挙にいとまがないではないか。

新興国保護主義色に対して、アメリカやEUも自分たちを「ブロック化」して対応する先にはあまりいい未来図がなく全体の解決には向かわないと強く思う。

日本もそうした「先進国色」に染まるのではなく、"世界一安全な国"としてポリシーを世に示してもらいたいものである。
政府だけをみていると、そんなこととても無理、とも思うけれど、政治家には一人一人見ると立派な人物も多い。

今の我われの「経験の蓄積」を以てすれば、そうした新しい意思表明は決して難しいことではないと思うのである。

秘密の次は共謀か 「個人より国、再び」 政権に不信感

市民の自由を制限しかねないと批判を受け、廃案になった「共謀罪」の導入を安倍政権が検討していることが明らかになった。与党が数の力で強引に特定秘密保護法を成立させたばかり。来年の通常国会への提出は見送られそうだが、政権の手法に不信感が広がる。▼3面参照

 「圧勝した政党が本気で自分たちの思い通りにやろうとしている」。映画監督の想田和弘さんは、恐怖を感じた。

 秘密法の審議の過程で、自民党石破茂・幹事長がブログで市民のデモとテロ行為を同一視したことが引っかかっている。

 「共謀罪も運用次第で政府に反対する人たちを取り締まるものになりかねない。言いたいことや本音が言えない社会になってしまうのではないか」と心配する。

 想田さんは「私たちは、今の政権が民主主義のプロセスを無視するということを認識しなくてはならない」と指摘。「自分たちの権利が危ないと感じたら、政権の支持率に影響を与えるぐらい市民の側が反対の声を上げ続けるしかない」と訴えた。

 東京地検公安部などで11年間検事を務めた落合洋司弁護士(東京弁護士会)は「共謀罪があればテロや組織犯罪が防げるものではない」と考えている。共謀罪がある米国でも、2001年の同時多発テロを防げなかったからだ。怖いのは拡大解釈につながる可能性だという。

 「公安捜査は、犯罪が起きる前に色々なことを調べるのが基本。明確な定義で歯止めをかけないと、思想、信条など内心の自由にまで捜査権限が拡大し、基本的人権を侵害しかねない」と指摘する。

 唐突に共謀罪導入の話が浮上したことについても、「国あっての個人という考えが自民党政権にはあるのだろう。治安ばかりに目が向き、人権がなおざりになっていないか。政府には慎重な議論を望みたい」と注文をつけた。

 政権内では、対象をテロ関連に限定することも検討されている。

 立命館大学法科大学院研究科長の松宮孝明教授(刑事法)は「人々を脅して自分の要求をのませることがテロ活動なら、いたずらでインターネットに爆破予告することもテロになる。拡大解釈が可能で、犯罪にはすべて適用されかねない」と警戒する。

 重大犯罪の場合、犯行に至る前に適用できる規定が今もある。例えば、殺人罪なら、殺人行為の準備をすれば殺人予備罪が適用される。松宮教授は「共謀罪を創設しなくても、現行法で対応可能だ」と話す。

 (黒田壮吉、竹田真志夫)

 ◆キーワード

 <特定秘密保護法共謀罪> 秘密法25条では、特定秘密を漏らしたり得たりする際に「共謀し、教唆し、または扇動した者は5年以下の懲役に処する」と規定している。

 日本弁護士連合会は一般的な「共謀罪」を先取りする内容だと批判する。日弁連秘密保全法制対策本部の太田健義弁護士によると、欲しい情報が「特定秘密かもしれない」という程度の認識で話し合っても、「未必の故意」の共謀があったとして処罰されかねないという。

 秘密法制定直後の共謀罪導入の動きについて、太田弁護士は、「共謀罪の対象が際限なく拡大され、どんどん他の罪に広がれば日本は監視社会になる」と警鐘を鳴らす。