藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

競馬も事業。


馬券の売買を生業とした場合の「外れ馬券代は経費か否か」に画期的な判決が確定したというニュース。
競馬や宝くじは公営ギャンブルだが、株や債券の売買はギャンブルではないとされている。
少なくとも自治体が胴元になってショバ代を取る仕組みではない。
株の売買を生業としてそこで得た利益は申告分離課税されるが、競馬は違ったわけである。

それにしてもそもそも賭博行為が禁止の国においての「公営のギャンブル」の存在が必要悪的であるし、(競馬法とかガチガチに固められてはいるものの)そこら辺の議論は置いておいての「営利目的の継続的な行為」との認定は聞いていても屋上屋を重ねたような印象が拭えない。

では対象が何であれ「事業性」があれば営利行為であるから経費が認められるのかどうか、についてはこれからも色んな売買行為が対象になって判例が集積されていくのだろう。

それにしても掛け金から25%もが天引きされるシステムの中で29億を賭けて30億取り戻すという神業の持ち主にとっては外れ馬券代が課税されるかどうかは大問題だったわけで「事業性があるものには経費が認めらる」という判決は一歩新しい判断をしたと言えるだろう。
いつの時代も、その時代と共に出現する「新しい商流」について法律が後から見解を示すわけだが、先駆者はまず「馬券購入で勝つ」という一点に専心しているわけで、既存の因習には苦しめられるものである。
だからといって新しいものへの挑戦を諦めないべきで、"新しい挑戦は戦うこと"という意気込みでいたいものだと思う。

思えば事業って、既存のプレイヤーである製造者とか、購入者(マーケット)とか、そしてさらにはそれらに関連する法律と常に対峙する試みであるわけで、ことが新しく前例のないことであればあるほど抵抗も強いものだ。
大変だが成功の喜びもやりがいもまた大きいから止められないのじゃないだろうか。

「外れ馬券も経費」…1、2審判決が確定へ
外れ馬券の購入費が「経費」にあたるかどうかが争われた事件の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は10日、「経費にあたる」と判断し、検察側の上告を棄却する判決を言い渡した。
 所得税法違反に問われた元会社員の男性(41)を懲役2月、執行猶予2年(求刑・懲役1年)とする一方、課税額を大幅に少なく認定した1、2審判決が確定する。
 外れ馬券の購入費は収入から控除できるとの判断だが、競馬の予想ソフトで馬券を大量購入する男性の手法は特殊で、一般の競馬ファンには当てはまらない。
 国税庁はこれまで、馬券の払戻金は偶発的に生じた「一時所得」に分類し、当たり馬券の購入費しか経費として認めていなかった。
 同小法廷は、男性が予想ソフトに独自の分析を加え、中央競馬のほぼ全レースで毎週、馬券を自動購入していた点を重視。「長期間にわたり網羅的な購入で多額の利益を上げており、営利目的の継続的な行為だった」と指摘し、男性が得た払戻金は必要経費が幅広く認められる「雑所得」だと判断した。
 男性は3年間で約29億円近く馬券を購入し、30億円余の払戻金を得たが、申告していなかった。検察側は経費を約1億3000万円しか認めず、課税額は約5億7000万円だと主張したが、1、2審判決と同じ今回の判断に基づけば、課税額は約5200万円に減ることになる。
 判決で大谷剛彦裁判官は、「ソフトの開発で競馬にもビジネス性を持つ活動が現れており、公平性の観点から妥当な課税のための特例措置を設けることも必要だ」との意見を付けた。
2015年03月10日 22時01分 Copyright © The Yomiuri Shimbun