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京都きまぐれ手帖

2015-10-14

八瀬 赦免地踊

f:id:windship:20151014165049j:image:right朝のBSプレミアムで「八瀬童子」という5分間の番組を見た。その中で、祭礼に使われる吉祥文様や武者、花鳥などの切り絵が紹介され、あまりにも精緻で美しく感嘆した。また、それは、
東北宮城県塩竈の立派な神棚に見た神秘的で繊細なのに力強い伝承切り絵『切子』を連想させ、なおさら心惹かれることになった。
f:id:windship:20151014161723j:image:left八瀬は、京都洛北の里である。そこは、自宅から30分とかからない距離にある。幾度となく通っては訪ねてはいる場所なのに、その神社も祭りも知らない。祭礼は八瀬の秋元神社で行われ、その切り絵は、祭礼の夜、赦免地踊りに切子燈籠として使われるという。ああ!やはりその切り絵は、切子なのだ。祭りの夜は、この燈籠を頭上にいただき、人家の門口で儀式を経て、秋元神社への道を8基が連なって闇の田圃道を行くという。行列には、踊り歌が歌われその行列の主は、なんと、女装(女物の着物)した男子(文字通り中学生ぐらいの)なのだ。
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f:id:windship:20151014161725j:image:medium:rightあれやらこれやら、あまりにも興味をひかれて、この祭礼を調べてみたら、数日後に行われるということが分かった。なんという共時性?これまで、立ち寄ったことのないその神社に、通り過ぎていた仕事への道すがら、興味にプラスして清々しい秋晴れにも背中を押されて時間をとってよってみる。
f:id:windship:20151014161727j:image:medium:left両脇に田圃道を従えて、少し歩くと、神社の階段が見えてくる。八瀬天満宮の中に、秋元神社は祀られているのである。小さなその社は清々しい空気に満ちた清潔な場所であった。まるで遠足の下見に来たように思いながら、必ず、祭礼を訪問しようとあとにした。10時から神事。20時から赦免地踊りという記載がされていた。

f:id:windship:20151014161913j:image:left10時の少し前に行くと、夜の祭礼に使われるのか、舞台の掃除に余念がなく、これも、音頭の櫓に使われるのか形をなそうと組み立てが行われていた。芝居があるのか、素朴な味わいのある可愛らしい彩色の幕が舞台に見える。掃除をされている方に尋ねてみると、夜は、ここで踊りがあるのだという。ぜひ見てください、とも言ってくださる。そうでなくても、ワクワクする佇まいに一層期待が高まる。
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5分のTV番組に誘われて、ここまできた。精緻な切り絵とはまた違う世界との出会い。八瀬は京都市の立派な区の一つの中にある集落。営々と引き継がれてきたものがあることに、それに立ち会わせてもらっている不思議を感じながら儀式の始まりを待つともなく待った。f:id:windship:20151014161911j:image:left
f:id:windship:20151014161916j:image:medium神事は始まった。土地の者ではない人々は、少し離れた場所で、巫女さんよりも頭が高くならない場所で見ることを許された。それでも、充分に近く、見物人は少なく遮るものもなく拝見できた。出会った土地の方のお話しによると、8地区に分かれた地域の人々が、年ごとに順番に担当を担うのだそう。今でも、一年間精進潔斎をして、肉などを口にすることもないのです、といわれていた。
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f:id:windship:20151014161918j:image:medium:right神事はこの日だけでなく、一年を通してあるのだそう。当番の年あたると、大変なんです。値打ちはありますが、と、笑われた。緋の装束に身を包んだ若い女性が一人、湯気の上がる二つの釜の前に立ち、かわらけの塩、酒、米を湯に入れ、ご幣でかき混ぜる。柄杓を持ち、手を伸ばし天に向ってくるくると回り踊るような姿は何を象徴しているのだろう。。。笹の束もまた、湯の中に入れ、混ぜると掬い上げ、撒くようにかける。黙々と、粛々と執り行われていく。真っ白に湯気の舞い上がる様は、美しく気高く、また、原始的な力強さを感じる。


f:id:windship:20151014161915j:image:medium:rightまさに、湯かけ(湯点て)神事(お湯式とも)とよばれるのだそう。釜のたぎる湯の中に束ねられた笹を入れ、大手を振って、湯がまかれる。氏子さんたちだけではなく、大勢の人に見てもらいたいと思う迫力と美しさであった。f:id:windship:20151014161724j:image:medium:left
f:id:windship:20151014161912j:image:mediumこうして祭りは朝の神事が終わり夜の切子燈籠、赦免地踊りへと続く。

f:id:windship:20151014161722j:image:left暗い闇の中、燈籠に灯された和蝋燭の灯りを頼りに行列が田圃道から、神社へと続く。切子燈籠は、顔が見えないようにかぶせられ、その脇や後ろには、かつて経験した成年男子がつき従い、切子燈籠を頭上に掲げた男子を励まし誘導する。
ゆっくりと休みながら、進んでいく。朝には静けさの中にあった風景も、この頃は、多くの見物人に囲まれ、男衆はお神酒をあおったらしく祭りらしい酒の香りもし時には、大声も聞こえ幻想の中に人間臭さも混じる好ましい光景が繰り広げられた。
燈籠の切り絵は、どう見ても、書かれた絵のようにしか見えない。武者の髪が1本1本逆立ち、猿の毛は流れが見える。
地租所役免除の特権を与えられた感謝に朝のお湯式、夜の奉納の踊りをしたのが始まりとか。
その後、舞台ではいくつかの踊りがあり、祭りの夜はしまわれる。
私は見なかったのだけれど、祭りの最後に、切子燈籠を今度は成年男子にかぶり手が変わり、神社の階段を疾走いくのだという。
静と動、ここの民俗芸能もまたそのエネルギーの爆発があるのか。。
次は、最後までこの場にいたいと思って帰路についた。

2015-09-16

 カフェ・モンタージュ Cafe Montage � 「展覧会の絵」

f:id:windship:20150909143229j:image:left念願がかなってカフェ・モンタージュの公演に初めて参加することができた。当日はかなり激しい雨にもかかわらず、大勢のお客様。通いなれた方もたくさんおられたけれど、自分のように慣れてないように見える方もちらほら。演目は「展覧会の絵」一曲、演奏は岸本雅美さん。40分ほどの公演。手の届くような距離という贅沢。素晴らしい演奏。
演奏が終わって、あたたかで貴重な高揚感がフロアに充満する。
何度ものアンコールにこたえて同じフロアの袖から岸本さんがあらわれてくださる。演者もまた満足感に満たされているようで、それにまた、客席もさらに満たされる。演奏前の調律はオーナー自らがなさっていた。そして、公演前のMCも。これは恒例の事のよう。終わると、ワインノンアルコールの両方を用意してくださるという飲み物のサービスもアナウンスされていたが、次回の楽しみに取っておくことにして帰宅。
一つ一つ、カフェモンタージュの楽しみの階段を上っていくようで
そのスピードはこちら側に任されているのが心地よい。

全く詳しくない自分にとっても十分に楽しめる刺激的で幸せな時間だった。こんな風に、生で演奏を味わえる機会を提供してくださる心意気といったものを感じることができた時間でもあった。
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カフェモンタージュ  
京都市中京区川柳馬場東入ル
075-744-1070

2015-07-20

 カフェ・モンタージュ  Cafe Montage 

f:id:windship:20150720203518j:image:left家具屋さんが点在する夷川通りに面したビルにこのカフェがある。通りから少し奥まったガラスのドアを押すと下のフロアに続く大きなコンクリートの階段に目を奪われる。その先には木の床に置かれたグランドピアノ、スペースに合わないほんの数席のテーブルがあるだけ。
カフェモンタージュはその名の通り「京都の街中の小さな劇場」なのです。
それも、すべてオーナーがプロデュースする公演であるという。

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たとえば7月だと、
ピアノ無伴奏ヴァイオリン四重奏などのスケジュールがHPに見られる。
スタートはほぼ20時から。
入場料金は2000円。
自分は、実は、当日には臨席したことがないのだけれど、リハーサルカフェという日には何度かうかがえた。いつもの注文で演奏家のリハーサル場面に同席できるという幸運。
ラフな服装の演奏家が、打ち合わせをしながら立ち止まりながら
一曲を仕上げていかれる。仕上がっていく。
それはそれは、面白い。かっこいい。
この体験、機会があればどなたにも味わってほしい!

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自分には知識がないのだけれど、
演奏者の顔ぶれを見て錚々たる方も少なくないということだ。
リハーサルのない時は、レコードが流れる。
Nowheremanのケーキがいただけることも、人気のようだ。
この日は、冷たいロシアン・ミントティーを頼んでみた。
たっぷりのシロップが添えられてやってきた。
いつか、公演の日にこのカフェに来るのを楽しみにしている。
それまで、贅沢な空間での非日常な時間を気楽にいただいておこう。
そして、行った日のことを書いたもの

カフェモンタージュ
京都市中京区川柳馬場東入ル
075-744-1070

ふや町映画タウン

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ふや町映画タウンはその名の通り、京都麩屋町二条下がるのビルの二階にある。
映画の何に関わる場所なのかというと、レンタルビデオ店、
紛れもなくVHSの作品だけをレンタルできるお店である。
恐らく日本で一番の品ぞろえを持って。
DVDやBlue-rayのレンタルはないし、レジの横に、メントスやスナック菓子、USBもない。
そもそも、レジはあっただろうか。。。

f:id:windship:20140115122840j:image:left固有のルールとマナー、料金体系のもと(詳細はHPでご確認を)、
オーナーの大森さんがたった一人で経営されている。
たった一人でと書いたのは
本来、一人ではできないことを一人でこなされている、
という意味合いがある。
f:id:windship:20140115122813j:image:right映画の好きな人はこの世にたくさんいるし、映画を愛する人もいるだろう。
映画を作る人も、語る人も、書く人も少なくない。
でも、映画を守る人となるとそう多くはいない。
大森さんは、その映画を守る人の一人だと思う。
それがどういうことなのかは、お店に身を運ばれればわかる。
と思う。
のだけれど。。。
f:id:windship:20140115122731j:imageとはいえ、大森さんという映画守が、誰も、近づけないように貴重なVHSを守っておられるお店ということでは、
当然のことながら決してない。
映画の面白さを知ってもらいたいという気持ちは誰よりもお持ちだ。
DVDになっていない作品もたくさんある。

大森さんの映画の詳しさは無論人後に落ちないが
ここを使うお客さんもまた、ひけをとらない。
ひょっとしたら、初めは緊張で足がすくむかもしれないが
(自分などは未だにそうだけれど)
ドアの前で、また今度、と思うかもしれないが
カウンターまで進んでほしい。
映画のミューズがきっと微笑んでくれるだろう。

2015-07-10

それから 雑器と喫茶/gallery

f:id:windship:20150710171356j:image:left初めてそのお店に入ったのは、去年の下御霊神社のお祭りの日。
広島の福山に住む友人と寺町界隈の老舗・名店をぶらぶらと気の向くままに訪ねていたら、路地の入口にこのサインがぶら下がっていた。

このサインがあらわすお店は、どうも、この路地の奥にあるらしい。

少し前にその存在に気づいていた私は、
友だちを誘って一歩踏み出してみた。
左側の木塀には『常本若菜展』と
小さくアナウンスされたポスターが貼られている。
展とあるからには、入っていいんだよね?



f:id:windship:20150710171418j:image:rightどうも、露地に出会うと、覗いてみたくなるし、
その奥に進んでみたくなる自分に
気づいていた私だけれど、
このシンプルな美しい店名のサインは、
近づきがたい孤高の人のようで
なかなかに勇気がいった。
それだからこそ、ポスターは、ありがたかったし、
友だちがいることはもっとありがたかった。
友だちもまた、
この佇まいに一瞬で心惹かれてくれたのだ。
「常本若菜」さんがどんなアーティストで
どんな作品を作られるかもまるでわからないままだったけれど
このポスターの中の作品は、
露地の奥に導いてくれるにはもってこいに魅力的だった。



f:id:windship:20150710210117j:image:smallその時貼られていたポスターの一部。ボール紙の断片や紙箱の切れ端にインクを塗り銅板プレスを使って刷り上げられているそう。

行ってみると、靴を脱いであがる日本家屋にはすでにたくさんのお客様でにぎわっていて、急な短い階段をあがって、ギャラリーは2階にあった。常本さんも在廊されていて気さくにお話ししてくださった。フライヤーの紹介にあったのだけど、「クールでキュート」そのものの方だった。
どうも、お店のオーナーはグラフィックデザイナーとしても活躍されている方で、若き才能(若きに限らなくもあるようだが)を育てる方でもあるらしい。
こうして、「それから」というお店にであった。

f:id:windship:20140714162149j:image:leftお店がギャラリーとなることは、
とてもまれであるらしいと、
その後知る。
あれから、もう一度下御霊さんの祭礼が
巡ってきたけれど、何度か、お訪ねしたけれど、
あれ以来、ギャラリーとして使われている日を知らない。
2階にはもう上がれないのだろうか?とふと思うけれど、
1階の6席ほどのテーブルについて、
美味しい珈琲と一緒に
あの時とは違う
静かな時間を過ごしていると
あのお祭りの日の出来事が
蜃気楼のようにも思えてくる。
などと思うのはもちろん私だけで
遠くから、この取材を断っておられる
露地の奥を訪ねて来る方は少なくないことを知る。

f:id:windship:20150812151303j:image:right
オーナーの好みがうかがえるアンティークも種々ある。
テーブルには、
新鮮な切り花が、緑がある。
季節をうつす彩がある。
土曜日曜には、
予約も難しい<聚洸>さんの
季節の生菓子がいただける。
縁側にある黒猫のオブジェは実は見逃せないし、
あちこちにある、大人の遊び心を教わるようなしかけを
見つけるのも楽しい。

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住所:京都市中京区常盤木町46-2

2015-07-03

月と六ペンス  


f:id:windship:20150703184459j:image:left
家ではない場所で本を読みたい時があります。
その時読みたい本と
美味しい珈琲があるところ。
静かすぎるのも少し違う。
音が全くないのも違う。
暗すぎても嫌だと思う。
一人ぼっちではないほうがいいかな。
本を読むことに集中できて、気が向けばほかのこともできる方がうれしい。
そんなところは、あるようでなかなか出会えない。
その貴重な場所が「月と六ペンス」というお店。
ここはカウンターだけ。
カウンターには本がキッチリぎっしりと並んでいる。


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おまけにここには、食べ物もある。
それも、シンプルでおいしい。
自分が好んで頼むのはトーストのセット。
バタートーストとチーズトーストが選べる。
レタスのしかれたポテトサラダの上にチリコンカンがのっている。
これも、うれしい。
運ばれて来たら、つい、本がそっちのけになってしまう。

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たまには、違うものを、と、
ラタトゥユのサンドイッチを頼んでみる。
丁寧に作られた食べ物は、
自分がとても大切にされた気持ちがして
うれしい。
並んだ本の背表紙を見ていると、
つい手に取りたくなってしまうものがたくさんある。
読むつもりじゃなくても夢中になる時も。
オーナーは本好きの方のよう。
こんなお店があれば、通うのに、と思って作られたに違いない。
そんな風に確信してしまう。

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そうそう「ご自由にお取りください」という言葉が添えられて
素敵なブックカバーが置かれている。
帰る度にいただきたくなるのだ。


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【Tel】 090-9058-8976
【Open】 12:00〜20:00
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