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W&R : Jazzと読書の日々 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006/08/19 BYE BYE BLACKBIRD このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

ダ・ヴィンチ・コードならぬ、マイルス・コードというのもあるかもしれない。


BYE BYE BLACKBIRD

1926 (Mort Dixon / Ray Henderson) Karen & Jay


Pack up all of my cares and woes

Here I go singing low

Bye bye blackbird


心配も悲哀もカバンに詰め込んでしまおう

僕はここから出て行く、小声で歌いながら

さようなら、黒い鳥よ


僕を待ってくれる人のいるところに行こう

砂糖は甘いし、きっとその人も素敵だろう

さようなら、黒い鳥よ


ここでは誰もわかってくれなかった

哀れな噂話ばかりを押しつけてきた


ベッドを用意し、灯りも点けていて欲しい

今夜遅くには着くから

黒い鳥よ、さようなら


幸せの「青い鳥」に対して、不幸せの「黒い鳥」。「僕はこれから彼女のもとに行って幸せになるんだ。だからもう、君とはお別れだね、黒い鳥」と、一見、不幸せにバイバイする曲なのですが、さて、そんな甘いラブソングなのだろうか。

1926年、最初にレコーディングしたのはジーン・オースティン。でも、コメディアンで映画俳優のエディ・カンターが歌いポピュラーになり(同年『Kid Boots』という映画に出演しているので、これと関連あるのだろうか)、1954年のカンターの伝記映画にも使われた。カーメン・マクレエやサミー・デイビス Jr.の名唱でも知られる。1999年度トニー賞で3部門を受賞したミュージカル「フォッシー」でも歌われた。だからラブソングではあるのだけど、「Blackbird」は「黒人」の隠喩でもあり、それを「不幸の権化」みたいに歌われるのはマイルスの好みではないはず(エディ・カンター自身、黒人芸人バート・ウイリアムズの息子役として黒人に扮するブラックフェースが持ちネタだった。差別的な意図はないと思われる)。


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starやはり名盤×2
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starう〜む!2枚目だけで単売して欲しい!

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1955年マイルスがコロンビアに移籍した第一作。新天地に旅立つから「Bye Bye Blackbird」だろうか? いや、このアルバムの選曲はもう少し深い意味がありそう。「'Round Midnight」はセロニアス・モンク、「Dear Old Stockholm」はスタン・ゲッツ。つまり、ジャズの先輩たちの持ち歌をアレンジし、仁義を切っている。だとすると「Bye Bye Blackbird」は「誰」なのだろう? 僕はこれは「黒い Bird」、つまりチャーリー・パーカー(バード)ではないかと睨んでいる。マイルスがジャズを始めたのはバードの誘いがあったから。1955年は3月にバードが死去している。その半年後の録音で「さようなら、バード」と「歌って」いるのではないだろうか。「待ってくれる人のいるところ」は「あの世」を指し、この曲は「天国に旅立つ歌」として意味付け直されていると思う。(なお、このアルバムはライブ盤も試聴できる2枚組です)


Bye Bye Blackbird
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starマイルスに捧ぐ8年ぶりのスタジオ録音
starマイルス風、それでいてキーストリオ独自の演奏

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そういう意味で、キースがマイルスへの追悼として「Bye Bye Blackbird」を取り上げたのは自然に思える。「この世界ではあなたを理解できる者はいなかった。願わくば、神の御許で安らかな眠りについてください」と。


D

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starベースの凄さと爽快感

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こちらは2003年レイ・ブラウン追悼演奏。大御所ニルス・ペデルセンと、ダイアナ・クラールのベースを担当しているクリスチャン・マクブライド。「バイ・バイ・ブラックバード」を演奏しているアルバムは見当たりませんが、この二人でベースだけの演奏という名人芸を魅せてくれています。


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ウッディー・ショウのトランペット。70年代の絶頂期にこんなスタンダードのライブをしています。アドリブ・ソロの快活さ、自由奔放さをお楽しみください。


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おおきーな山をひとまたぎ キングーコングがやってくる♪ 1930年代の時代背景ということで、ペギー・リーの「Bye Bye Blackbird」が挿入されています。しかし、不覚にも泣いてしまった。「男は黙ってドラミング」の美学があります。世界恐慌まっただ中。あらゆる「不幸せ」をこの大猿に投影しての、人間どもの憂さ晴らし。無理やり連れて来られたニューヨークで、コングはどんな最後の夢を見たのだろう。さようなら、キングコング。