TRAVESSIA (Bridges)

自民党、大敗しましたね。年金の問題が大きかったんだろうけど、衆議院解散に突入かな。


TRAVESSIA (Bridges)
1967(Gene Lees / Milton Nascimento) Linda Tate


I have crossed a thousand bridges
In my search for something real
There were great suspension bridges
Made like spider webs of steel


リアルな何かを探し求めて
僕は千もの橋を渡ってきた
鉄の線を蜘蛛の巣みたいに
張ってある吊り橋もあった
小さな板切れの橋もあった
固い石で出来た橋もあった
僕はどこでもヨソモノで
いつでも一人っきりだった


明日につながる橋もある
過去につながる橋もある
続いて欲しくないような
哀しみで出来た橋もある
頭の上の空には虹という
輝く色で出来た橋もある
僕は祈る、どこか地上に
愛で出来た橋がある事を


川の向こう岸に誰かがいる
遠く離れたところだけれど
昔の僕のように何かを求め
その人は手を伸ばしている
僕は大声で彼に呼びかける
「その橋はきっとあるよ
 僕は見つけるつもりさ
 そうさ、必ず見つかる
 死ぬまで探し続ければ」


人々を繋ぐ橋さえあれば
何も言葉にしなくて良い
日を浴びて走っていけば
橋の上で会えるのだから
頭上の空には、虹という
輝きで出来た橋が架かる
それならどこかにきっと
愛で出来た橋もあるはず


もちろん「橋」というのは喩えです。「つながり」のこと。いろんな人を見てきたけれど、そばにいるだけで分かり合える「つながり」にはまだ出会えない。未来に希望を託す。過去のことを悔やむ。心を、そんな「つながり」に使っている人はたくさんいるのに。でも、難しくないはずさ。空に虹が架かるのと同じことだから(「明日への橋」て良いことみたいに見えるけど、肯定的に考えないことにしました。もしナシメントが肯定的に考えているなら「まだ愛の橋は見つからない」という歌にならないから。楽観しないが、諦めもしない)。
1967年、ブラジルのシンガーソングライター、ミルトン・ナシメントの曲。ブラジルは1964年から80年代半ばまで軍事政権下。つまり反戦フォークソング。人々が愛でつながる世界を夢見る。「僕のことを分かってくれる人がいない」というイジケ歌のようにも見えるけど、それは気にせずにおこう。サラ・ヴォーンが英語で取り上げアメリカでもヒットした。

ビョークが歌ってるのがあるんですね。ここによるとこれに入るはずだったらしい。でもこの曲が子どもの頃から好きだったビョークはアレンジに納得できず、アルバムから外したとのことです。


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MPBの代表選手ミルトン・ナシメントのブラジル語で(試聴はこちらで。ハンコックも参加の英語版はこちら)。マイルスやコルトレーンの影響を受け、それをブラジル音楽と融合。でも、内気な彼はなかなか曲を公けにしなかった。見かねた友人ドス・サントスが勝手にコンクールに応募。見事に準優勝作となったのがこの「トラヴェシア」でした。


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英語だと、このブルーノート版があります。ダイアン・リーヴズがギターをバックにしんみりと「橋を探して生きよう」と歌います。もし見つかれば、それまでの苦しみ全てを肯定できるだろうなあ。試聴はDianne Reeves - Bridges - Bridgesで。


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(追記)
ポルトガル語の歌詞のほうも調べてみました。時制とか分からないので適当ですけど。フェルナンド・ブラント(Fernando Brandt)の作詞。こちらのほうが厳しい現実を感じます。


Quando voce foi embora fez-se noite em meu viver
Forte eu sou mas nao tem jeito, hoje eu tenho que chorar


あのことがあんな風になってから、僕の人生は夜になった
力はあったけれど何もできず、ただ涙を流すしかなかった
自分の家が自分のものでなくなり、どこにも居場所がない
独りぼっちになっても抗えず、言葉を失ってしまっていた


路上には声が満ち溢れて、もう止めようが無くなっている
この道は岩で出来ていて、まるで悪い夢を見ているようだ
わずかに風が吹いたとしても、すぐにそれは止んでしまう
もう涙を流すのは沢山だ、人生を終わりにしてしまいたい


僕はただ生きているだけで、あなたのことも思い出さない
こんな死の生活は望んではいない、僕の人生を返してくれ
愛のある暮らしがムリだとしても、苦しみのない暮らしを
悪夢で終わらせない、この人生を僕の手で切り開いていく