I’LL WALK ALONE

映画を見ました。これは、重いテーマをうまく描いてる。


I'LL WALK ALONE
1944(Sammy Cahn / Jule Styne) Harry James


I'll walk alone because, to tell you the truth, I'll be lonely
I don't mind being lonely
When my heart tells me you are lonely, too


僕は一人孤独に歩いていこう
僕のそばには誰もいない
でも、そんなこと気にしない
君もきっと独りぼっちだから


この道は僕が自分で選んだ道
僕には果たすべき夢がある
君が僕を抱きしめてくれた夜
二人で描いた夢を守るために


君が夜の祈りを捧げるたびに
僕はいつでも君の側に行ける
君が呼べば、僕には聞こえる
距離なんて関係ない
目を閉じれば僕はそこにいる


どうか、一人で歩いて欲しい
君のキスで僕を導いて欲しい
いつか君と歩ける日まで
僕は一人孤独に歩いていこう


離ればなれになった恋人同士。遠く離れて暮らしているけれど、寂しいわけではない。電話があるから? メールがあるから? いえいえ、祈りを捧げるから。星に向かって祈りを捧げるたび、二人の距離はゼロになる。僕があなたを思い、あなたは僕を思ってくれる。それなら、いつも側にいるのと同じこと。
1944年、映画『Follow the Boys』の曲。劇中でダイナ・ショアが歌っている。ユニバーサル・スタジオのスターたちが出演しショーを繰り広げる映画。戦地で戦う兵士のために慰問用として作成された。「いつか君と歩ける日まで」というのは、やはり「戦争が終わるその日まで」ということなんだろうな。1952年映画『わが心に歌えば(With a Song in My Heart)』でもスーザン・ヘイワードジェーン・フロマンが吹き替え)が歌っている。


ベスト・オブ・ダイナ・ショア
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star陰影に満ちた声

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ラジオのDJが名前を思い出せなくて、そのとき歌った唄が「ダイナ」だったので「ダイナさんでした」と言われてしまい、それが芸名になってしまったフランセス・ローズ・ショア。母親を若い頃に亡くし、働きながら大学を出たものの、やっぱり歌が歌いたい。ラジオ・ショーの仕事をもらい、戦地に故郷からの思いを届けたのでした(試聴はこちら)。


Charlie Parker at Storyville
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star1953年のボストンにおけるライブのブロードキャスト盤

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1953年は朝鮮戦争のころ。いつも戦争してる国ですね、アメリカは。薬物中毒で衰弱しつつも、演奏を始めるとバードのサックスはクリアになる。なるほどジャズとはこういうことか。サポートに若きレッド・ガーランドが入っています。


The Curtis Fuller Jazztet with Benny Golson
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starジャズテット黎明期の佳作

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1959年はベトナム戦争の前年。ジャズ・メッセンジャーズを脱退したベニー・ゴルソンが作ったジャズテット。だから「一人歩く」なのかな。とはいえ、この時期はトランペットが仲良しリー・モーガン。あまり気負わず、ゆるゆると歩き出すような演奏をしています。


Early Art
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ジャズテットのトランぺッターはアート・ファーマーでしょ?という向きにはこちら。冴え渡る朝日とともに歩き出す。西海岸から単身ニューヨークに乗り込んできた意気込みが「一人歩く」に詰め込まれています。孤高の演奏。


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star安っぽい戦争映画
star作られた英雄たち
star単にアメリカ万歳映画ではない

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ジェイムズ・ブラッドリー原作。クリント・イーストウッド監督。実話です。誤解で始まった一枚の写真。6人の兵士がアメリカ国旗を立てている写真です。「もうすぐ戦争に勝つ」。憶測で勝手な報道が流れます。「あれは別に最初の旗でもないし、あのあとも硫黄島では戦闘が続きました」。兵士の報告に誰も耳を傾けません。銅像が造られます。写真を絵にした国債が発行されます。ウソで塗り固められたパレード。生き残った兵士たちは「英雄」にされ、あまりのバカバカしさに吐いてしまいます。時折起こるフラッシュバック。仲間たちは何のためにあんな悲惨な死を積み重ねたのだろうか。お国のため? まさか。だから最初の船内シーンで「一人歩く」が流れます。命を賭けて戦うのは、同じ孤独を歩く「君」のため。