APRIL IN PARIS

今まで取り上げた曲にも、もう一度挑戦してみようと思います。つまりテイク2。訳に納得いかないのが、いくつかあるんだよなあ(以前のはこちら)。


APRIL IN PARIS
1932(E.Y.Harburg / Vernon Duke) Valerie Joyce


April in Paris, chestnuts in blossom
Holiday tables under the trees


四月のパリにマロニエは花咲く
木々の許に並べられたテーブル
四月のパリよ、私の感じるもの
誰がこれを追体験できようか?


思いもしなかった、春の魔力よ
これまで私は向き合わずにきた
温かき抱擁に恋い焦がれながら
この心が歌うとは知らなかった


四月のパリよ、全てお前のせい
私は誰の許に駆け寄れば良い?
四月のパリよ、いったいお前は
この私に何をしたと言うのか?


おのれ、四月め。この私に魔力を掛けるとは良い度胸だ。結界によって貴様の攻撃は封じておいたはずなのに。ぬぬぬ。そもそもパリなど行ったことのない私に攻撃を仕掛けるとは。見事な遠距離攻撃。まずい。理性の限界だ。このままでは浮かれ出してしまう。ああ、・・・ハラヒレハラヒレホー♪
邦題『パリの四月』。1932年レヴュー『ウォーク・ア・リトル・ファスター』の挿入歌。1952年ドリス・デイ主演映画『エイプリル・イン・パリ』の主題歌になった(YouTube)。コーラスガールのドリス・デイは、間違って国際フェスティバルの招待状を受け取り、船に乗ってパリに向かう。その航海途中、国務省の役人ウィンスロップと遭遇。彼には婚約者がいたが、二人をくっつけようとするフランス人が現れて・・・という恋物語。作曲家のデュークはガーシュウィンのお弟子さんで、『ニューヨークの秋』など季節ものが得意。

「パリの四月」はバードの「ウィズ・ストリングス」が基本形。そういうわけで、フィル・ウッズがウィズ・ストリングスで再現しています。


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「パリの四月」はカウント・ベイシー楽団のアレンジでも有名ですが、そのリード・トランぺッター、サド・ジョーンズ。彼がコンボを組んでビ・バッパーとしての顔を見せています。なにしろドラムがマックス・ローチ。何が起こるんだろう、とワクワクさせる。1956年。


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starサントラを聴いているような・・・。

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不思議アルバム。ヘレン・メリルが唄を歌う、なんの変哲もないアルバムなんですが、これ、イタリアのテレビ番組なため、曲の初めに詩の内容をイタリア語に訳した朗読が付いています。全然なに言ってるか分かりません。そこが良い。この朗読が、夜の静けさを誘う美しい芸術になっています。


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starビル・エヴァンスの死後に発見されたピアノ・ソロ演奏です
star「Alone」よりこちらのソロをお薦めします
star「アローン」とは異なるソロ、、、でもやはり名盤です。

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エヴァンスの死後見つかった音源。しかも、スコット・ラファロが亡くなった後に音楽活動から心が離れてしまっていたエヴァンスが、もう一度ピアノに向かい始めたときの録音。そういう文脈が分かると、この「パリの四月」は「誰の許に駆け寄れば良い?」という哀しみの呟きに聞こえてきます。


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最後は気軽にバーニー・ケッセル。1953年アルト・サックスがバド・シャンクで、ドラムがシェリー・マン。ウェスト・コーストらしい明るさに包まれたアルバムです。「パリの四月」は穏やかな春の日差しを感じさせている。