MY SHIP

潮風に涼を取りたい、暑い春。

MY SHIP
1941(Ira Gershwin / Kurt Weill) Camerata Singers

My ship has sails that are made of silk
The decks are trimmed with gold

私の舟はシルクの帆に風を受け
甲板の縁が純金で飾られていて
船倉にジャムとスパイスを積む
それはまるで地上のパラダイス

私の舟は何百万もの真珠に輝き
船室にはそれぞれルビーが満ち
舟が海を渡るとともに、太陽も
サファイア色の空に昇っていく

そんな舟が現れるのを私は待つ
きっといつか、晴れた春の日に
でも真珠なんかでは意味がない
もしも積み忘れがあったならば

その日がいつかはどうでもいい
その夢が叶わなくても構わない
もしも、私を愛してくれる人を
その舟が載せてなかったならば

「私の夢は、鴨がネギを背負って来てくれること」。強欲な夢です。彼氏がオマケに付いてる宝船。そんなのアリですか？　宝石で飾り立てられています。おいしい食事とお菓子を載せてます。なんて即物的。女性の夢ってこんなに夢が無いものなのでしょうか。どうなんでしょう、フロイト先生？
1941年ミュージカル「レディ・イン・ザ・ダーク」の挿入歌。失敗ばかりのドジッ子雑誌記者ライザ・エリオットが精神分析を受け、自分の心の闇に迫る物語。「マイ・シップ」は、子どものころ口ずさんでいたのに、最後のほうを忘れた歌として出てくる。自分の心を見つめる中でライザは最終節を思い出し、歌い上げる中で劇は幕を閉じる。今は会えない愛する人。アメリカに亡命したばかりのクルト・ワイルにとっても、その舟が載せてくるのは、ドイツに残した妻ロッテだったかも知れない。

キャロル・スローンが歌うと、舟を待ちわびる物悲しい唄になる。

Voice That Is
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ボーカルはこれでしょう。1964年ハワード・コリンズのギターにジョニー・ハルトマン。渋過ぎて歌詞に合わない。ハルトマンさん、ジャム好きですか？　ルビーとか要ります？　このイメージのギャップを楽しむ作品なんじゃないかと。

MILES AHEAD
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1957年マイルス・ディヴィス。『クールの誕生』でコラボしたギル・エヴァンスとの再演。コロンビア移籍後で「船出」がテーマなのだと思う。個人的にはバックのオーケストラが邪魔に思えるほど，そのリリカルなトランペットが美しい。そして、亡くなる直前の『アット・モントルー』にも「マイ・シップ」。もし人生を海に喩えるなら、こちらは「帰港」だろうか。

星影のステラ~チック・コリア・ソロ・ピアノ
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チック・コリアのソロ・ピアノもハズせない。1994年自己レーベル「ストレッチ」を旗揚げすることになったコリアが、古巣のGRPレコードに残した作品。スタンダードばかりを集め、でもただのジャズにならない。きらめくピアノがスタイリッシュに出航する。

Nearness of You-the Ballad Book
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これは、どの演奏も好きですね。マイケル・ブレッカーの2000年アルバム。パット・メセニーやチャーリー・ヘイデンが参加し、最高のメンバーでムリな気負いが無い。バラードの美しさを追求している。