iPad mini Retina は「買い」なのだろうか

発表前から気になっていたこと。



Retinaになっても同じ重さでいけるだろうか。事前のリークで「厚くなる。重くなる」と言われていて心配していましたが、微妙ですね。厚さが現行の7.2mmから7.5mmに、重さが308gから331gに。スペックは上がってますよ。CPUがA7にグレードアップしてiPad Airと同等。それでいながら駆動時間は10時間を確保。Airよりも技術的にすごいと思う。
ただ、厚さの7.5mmはiPad Airと同じなのです。たぶん、共通部品を使うことでコストを下げたんだろうと思う。「もっと薄くならないか」と言われれば、なったんじゃないか。でも値段的にもAirと変わらなくなるから差別化が難しい。そういう判断が入ってそうです。



ラインナップも妙ですね。iPad2を残している。昔の幅広いコネクタの機種を出す意味が分からない。Lightningコネクタに統一すべきところじゃないか。レガシーを引きずるとはAppleらしからぬ。かといって、iPad4を並べても、Airに流れて誰も買わないし。
「通常の使い方ならA5で十分。iOSのサポートもiPad2を含みます」。そう言っている感じがします。実はiPod touchも新型を出さなかった。これもA5チップです。



ちなみに、touchも新しく買うとiWork&iLifeアプリが無料で付いてきます。さりげないようでいて、今回の発表の中で一番これが怖かった。すでに予兆はあったけれど。


Appleのオフィスソフト iWork for iCloud は次世代の匂いがする
仕事の仕方が変わろうとしている。パソコンからiCloud.comにログインすると、iWorkが使えるようになっています。従来ソフトウェアとして販売されていたiWorkがWebアプリとなり、無料で使えま...
以前書いたようにAppleは「クラウド・オフィス」を狙っている。ソフトウェアやアプリにお金を払う時代が終わり「利用し続けるための環境」に出費する時代が来たのではないか。そもそも「携帯電話」がそうですよね。本体の値段はあってないようなもの。月額の使用料で費用を回収するモデル。これと同じことを「パソコン」に組み込むなら、今回のAppleの動きになりそうです。
Mavericksの無料化も、Appleが「OSXの会社」から脱却し「iCloudの会社」になるための露払い。Microsoftと見ている未来が違う。GoogleよりもGoogle的なモノ。ネットのインフラストラクチャをAppleが掌握する方向に進み出した。


<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性
作者: アントニオ・ネグリ, マイケル・ハート, 水嶋 一憲, 酒井 隆史, 浜 邦彦, 吉田 俊実
価格: ¥5,880



次は「iCloudから情報を引き出すデバイス」。「iWatch」が現実味を帯びてきました。そして、個人情報を一企業のデータベースに託すことの意味を考え直さないといけない。一瞬にして国境が消失し、巨大な「帝国」が出来上がる。Appleは「必然」を歩んでいる。



Official iPad Air Trailer
そういうわけで、ネグリ&ハート的にも「iPad mini Retina」は「待ち」。iCloudが収益モデルとして成功しそうなら、デバイスの値段を下げてきます。目先の利かない自治体が「業務のペーパーレス」を謳って大量に導入するでしょう。そうすれば業績が好転し、来年の6月には「iPad Air mini」が出てきます。指紋認証もそのときかな。


(追記)

アップル - iPad Air - ビデオ
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iPad Airのオフィシャル・ムービーに字幕が付きました。妥協がないのがよくわかる。