有罪判決

玉虫色の判決でした。先送りですね。


著作権侵害がネット上にまんえんすること自体を積極的に企図したとまでは認められない
と、検察側の最大の主張そのものは退けられてはいるものの、

やり取りされているファイルのかなりの部分が著作権の対象となるものだったことを認識しながら、ホームページ上でウィニーを公開し、不特定多数の利用者が入手できるようにした、と指摘
しています。

仮に「有罪ありき」という前提があったとするならば、その上ではきわめて金子氏よりの判決ではあったかなというのが率直な感想です。

参考:

削除要求できるWinny

高木さんの記事については、ちょっと極端すぎるのではないかと考えています。
Winnyが目指そうとしていた管理能力は、squirtのようなものではなく、第一公開者の力が強い者ではないかと予想していました。Winny1の頃から、簡易電子署名としてトリップ機能がつけられていましたが、それを元に削除依頼の正当性を判断するようにするのが、Winny2の現在の枠組みの上に作るのであれば妥当ではないかと思います。また、ソースを探すのは後にしますが、WinnyBBSについても、(暗号学的にきわめて弱い者ではありましたが)トリップを基盤とした電子署名による管理機能が提示されていたかと思います。
この枠組みでは、キャッシュが削除依頼に「成り代わる」ことで拡散することができます。また、第三者により不当にDoSられることもありませんから、各ノードが削除依頼を受け入れるかどうかを判断する必要もなくなります。

これは私が勝手に予想していた一つの手法に過ぎないですが、Winnyとsquirtの間の着地点がある以上、「改良バージョンによって情報流出を止めることなどできるはずがない」と言い切るのは、すこし言い過ぎではないかと思いました。

補足

ただし、Winny2のトリップ系は電子署名と呼べるだけの強度を持っていないので、Winny2の改良で今ここにあるWinny2ネットワーク上の漏洩情報に対する対策は難しいでしょう。あくまであの当時から改良を続け、プロトコルやキャッシュ形式の変更も行った場合の話です。

さらに捕捉

すみませんすみません、どうも書き方が悪かったようで誤解を招いているようですが、あくまでこのエントリは、「利用者達の意図に反してたらい回しし続ける構造をどうにかすること」という論点のみに絞っています。少なくとも、この方式であれば、「自分で動かしているWinnyによって情報漏洩させてしまったケース」については、事後対処が実現します。*1

裁判の話と並べてしまったのが良くないですが、裁判はあくまで著作権侵害の話であり、第三者による管理性を必要としていますので、このエントリで言うところの管理能力とは全く別個のものです。それを実現したものが受け入れられるかどうか、という点については、高木さんの主張に同感です。

言い換えると、情報漏洩の防止という論点は、裁判やsquirtの話とはずれているのではないのか、という問題提示でした。

あわてて推敲不足のまま公開してしまうのは良くないですね、深く反省しています。

*1:もっとも、今後出てくるであろう、自力でWinnyや、特にShareのネットワークに直接接続して配布してしまうタイプのウイルスに対しては無力でしょう。