ケベック州のメープルシロップカルテル強盗事件

Photo by Liz Castro, CC license
同じ人によるメープルシロップ製造全工程の写真

Mental Floss で拾ってきたネタ。

カナダのケベック州は、世界のメープルシロップ生産の 70-75%を担っているそうなんだが、そこには「グローバル戦略メープルシロップ・リザーブ」なるものがあるそうな。16,000 本のドラム缶いっぱいにメープルシロップが備蓄されていて、世界のメープルシロップ需給変動を緩和し、価格操作を行うためのリザーブとして使われているんだって。ちなみにやっているのは政府ではなく、生産者のカルテル。いいのかよ、こういうカルテルして。

で、このカルテルは生産調整もやっていて、ケベックメープルシロップ生産者は、ここのお許しがないとメープルシロップを公式の卸売り市場で販売できないので、メープルシロップ闇市場というのがきわめて盛んなのだそうな。

2012年に、このグローバル戦略メープルシロップ・リザーブが強盗大規模窃盗にあって、いつのまにかドラム缶1000本分くらいが完全に空になっていたとのこと。総額1800万ドルほどで、カナダ史上最大の強盗窃盗事件の一つだったそうな。

(しかし、これが史上最大というのはカナダも平和だ、という気がしたんだが、気になってちょっと見てみると、日本だと少なくとも現金だと 6 億円が最高らしいので、その意味ではやっぱ大したものなのか)

結局、犯人は同じ倉庫の建物に場所を借りて、少しずつドラム缶の中身を吸い出しては闇市場で売っていったとのこと。30 人くらいが 2013 年に逮捕されて、三分の二くらいが戻ってきたらしいんだけど、これはつまりあまり大量にさばくと市場が急変して足が着くと思ってゆっくり処分していたということなんだろうか……

(もしそうなら、千本分もまとめてぬかずに、売る度に少しずつ抜けば、足がつかなかったんじゃないかと思うんだが……)


しかしすごいね。でもその一方で、ドラム缶 16,000 本ということは、300 万リットルくらい? そんなもので世界市場の価格操作ができるくらい、メープルシロップの流通量って限られているということなんだろうかね。この強盗事件のせいで、世界のメープルシロップ価格がどのくらい変動したか知りたいところ。日本の商社あたりが、昔銅でやってたみたいに本気で市場操作しようと思ったら簡単にできちゃうのかもしれない。ちなみに Sony がこの事件を映画にするつもりとのことだが、どんな代物になるのやら……

ちなみに、他にもこの手の変なカルテルや備蓄はあって、やっぱりすごいのは、中国の豚肉備蓄。その他、各種の食料関係の変な話はこちらを参照