2011-12-04
生き物の三題噺
「支え」「時計」「ゲーム」
丸い手で毛を掻きむしるが、脱ぎ方がわからない。等しい間隔で時計が音をたてる。周りには、内側から人が去り支えを失った熊たちがころがっている。さっきから体温が上がっていてうっすら眠くもあるのだ。こんなゲームは真っ平だと思ったまま、もうすぐ日付は変わってしまうだろう。
「爆竹」「菜の花」「ドーピング」
菜のはな畑に踏みいっていっせいに
はぜた視界はぬりつぶされてきいろ
爆竹だった
この手をすりぬけていったキミの髪の毛のひかりはドーピングによるものだったんだ
ね
網膜がひぃと悲鳴をあげてただの細胞にかえったこの日
股の間からながれた血が誕生を
祝ってくれてア、アありがとう
「一人」「景色」「擬人化」
風景画の授業のときたまたま鬼の隣に座ったら、「我々の記述が擬人化をもってしか表現されないのは遺憾である云々」と言い出したのでそれはあなた一人の考えかと尋ねてみると「一人という概念がそもそも人間の傲慢であって我々は自由意思で融合と分裂が可能なのだから個という認識からして云々」と説教されてた。鬼は酔うと饒舌になるというから、あの鬼もこっそり酒を飲んできていたのかもしれない。
「水」「ベランダ」「罪と罰」
恋人と別れた勢いで近所のホームセンターでクワズイモを買ったのが3年前、鑑賞用という役割にとどまらず良き話し相手として尊重しているとめきめき成長し、1DKのアパートの一室には窮屈そうなまでになった。しかたなくベランダに出したが、水をやるときには『罪と罰』を読み聞かせるのを忘れない。
