白豚饅頭日記

2018-09-10 新しい物語を楽しむために

[]機動戦士ガンダムNT(予習編)

なんか周りが散々騒いだ後に書くのは少し気が引けますが、ガンダム最新作について。

11月に公開が決まった『機動戦士ガンダムNTナラティブ)』。

D

D

物語は『機動戦士ガンダムUC

D

で描かれた「ラプラス事件」の直後を描く作品です。連邦軍の中でビスト財団を快く思わない勢力が開発したユニコーンガンダム3号機「フェネクス」を巡る物語。フェネクスが最初のテストでユニコーンガンダム2号機「バンシィ」と演習を行った際に暴走し、自らの母艦を沈めて行方をくらませたのはダイバーシティ東京の「ガンダムフロント東京」に設置されていた映像施設ドームGで公開された映像をご覧になった方はご存知だと思いますが、物語はその後に件のフェネクスを破壊もしくは奪取しようとする各勢力の暗闘を描いた内容になると思います。さて、そこで話題になっているのが主人公機の「ナラティブガンダム」。

このMS、作品HPでは「νガンダム以前のサイコフレーム試験機」と紹介されており、ファンの間では「νガンダムプロトタイプだとしたら、存在自体がおかしい。νガンダムは建造途中でサイコフレームを織り込んだのでプロトタイプなんて存在しない」と議論紛糾な機体となっておりますが

実はνガンダム以前にサイコフレームを搭載したガンダムは存在するんです

なんて書いたら「はぁ?!」って言われそうなんですが、往年の『ガンダム・センチネルファンでこの本

ガンダム・センチネル

ガンダム・センチネル

を読んでいた方なら「ははぁ、ついにこのネタを出してきたか」と感づくと思うんですよね。『ガンダム・センチネル』は企画段階から『ガンダムUC』や『ガンダムNT 』のメカニカルデザインを担当しているカトキハジメ氏が参加しており、この本では「アナハイムガンダム系譜」という記事の中で「μ(ミュー)ガンダム」という機体が文章でのみ紹介されています。この機体は「サイコフレーム試験機」と設定されており、νガンダム以前にアナハイムサイコフレームを試験していたことが伺われるんですが「サイコフレームネオジオンの技術でアナハイムはそれを受け取って製造しただけ」って思っている方が大半でしょう。

でも、そんな最新テクノロジーアナハイムがただ製造しただけって思います?

逆襲のシャア』以前のネオジオンの状況についてはこの本

でも描かれていますが、技術は確立できても、それを製造段階に移行できるだけの設備や資源は失われていると考えられます。事実、『逆襲のシャア』でネオジオン軍の主力機となるギラ・ドーガは全てアナハイム製の機体ですし『ジョニー・ライデンの帰還』の中では一部の精鋭部隊がバウを、数少ないベテランがシュツルム・ディアスを使っていますが、それ以外はもはや連邦軍相手では勝負にもならないガザ系の機体を使っていました。機体が特殊過ぎて整備の手間がかかる機体や、グリプス戦役直後にネオジオンに投降したティターンズ部隊から接収したマラサイハイザックを無理やり使っている状況で、生産設備はアクシズ連邦軍に押さえられた時点で喪失していると思われます。そんな目も当てられない状況の中では最新の技術を餌に大企業のスポンサードを得るのが短期的に戦力を立て直す最短ルートである事は「ひとつの手段」として有力で、たとえ連邦側に技術が漏れる(それをシャアは狙っていましたが)事になっても、サイコフレーム技術をアナハイムに提供、製造してもらう以外の方法はネオジオンには無かったのでしょう。と言う訳で、提供されたサイコフレームアナハイムにとっても未知の技術(概念は分かっているのと実際に使うのとは別)であり、いきなりνガンダムに使ったとは考えにくく、その前に技術検証的な機体にサイコフレームを搭載してテストを行ったと考えれば筋が通ります。ヤクト・ドーガサザビーアナハイムで建造されていますが、その立会いや監督には当然ネオジオン技術者がいる訳で、組み付けやテストなどはネオジオン側が主導で行っていたのではないでしょうか。アナハイムとしては、そういった制約のない状態での実装テストを行いたかったはずで、開発中の実験機に自社で製造したサイコフレームを搭載して(ネオジオンに察知されないように)テストを行っただろう事は想像にかたくなく、νガンダム以前にサイコフレームを試験した機体が無ければ、逆襲のシャア冒頭のシーン(νガンダムの急な材料変更にチェーンが食ってかかる場面)でのアナハイム側に技師の説明があまりにも明確で「逆におかしい」という事になります。

「いきなり取り付けて性能があがりました」なんてお気楽な話は、こと技術の世界ではあり得ません。

これだけ革新的な技術であるならば、アナハイムは独自にテストをしていたはずですし、そうでなければ「シャアの叛乱」のたった3年後(実際の「UC計画」が水面下でスタートしたのは「シャアの叛乱」終結直後と思われます)にフルサイコフレームMSを実働状態にはできるないでしょう。

そこまで考えると「ナラティブガンダムνガンダム以前にサイコフレームをテストした機体」というのは辻褄が合っています。「μ」と言うコードはアナハイムガンダムの中でのコードネームで、実際の命名が異なっているのは他のアナハイムガンダムでも行わていました。

γガンダム・・・リック・ディアス

δガンダム・・・百式

ηガンダム・・・レイピアI

Θガンダム・・・ZZガンダム

ιガンダム・・・S(スペリオルガンダム

κガンダム・・・Σガンダム

などですね。

設定のナラティブガンダム素体を見ても、フレーム以外はコクピットブロックを含めあり合わせのパーツで構成されており、フェネクス討伐にかなり慌てて設えた事が伺われます。既存の試作機にνガンダムユニコーンガンダムの予備パーツを組み合わせて無理やり仕立てた感が有り有りですから。基本的にナラティブガンダムは外部装備を装着してこそ、ようやくフェネクスに「対抗可能な可能性がある」程度の性能なのでしょう。そんな機体を有効に使う為にジェスタを3個小隊も併せて投入するのも、サイコフレームを使わずになんとかフェネクスを押さえこむには必要な戦力なのかもしれません。

まあ、ともかくも頭っから否定してかかるのではなく、他の資料も幅広く漁っておけば新しい作品もより楽しめるのではないでしょうか?と言う僕の考えですけど、あまりにも「正史オンリー」だと折角の新作も像が歪んで見えてしまう事もあるので、そこは「まあそんな事もあるだろうな」的に捉えて、柔軟に受け止めるのが作品を楽しめる方法だと思います。どうしても納得できないなら、幅広く資料を漁ってみる事。思わぬ所に色んなネタが転がっています。

ガンダムNT』では「サイコフレームの危険性」についても描かれるとの事。考えてみれば宇宙世紀100年以降、サイコフレームを使ったMS

は登場せず、擬似人格型AIやバイオコンピューターがサイコニュと連動するシステムの方が研究されるようになります。その「なぜ?」が解き明かされる(UCで何となくは描かれていましたが)事を楽しみに11月の公開を待ちましょう。

と言う訳で『ガンダムNT 』を観る前にここは押さえておこう的な予習講座を書いてみました。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/wrx-sti/20180910/1536582318