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股旅堂 matatabido.blog ~ 明治・大正・戦前から現代までの性風俗資料

2002-09-19 つげ作品の舞台を訪ねて

 前にも書いたように、今回の東北旅行の真の目的?とは、つげ義春作品の舞台を訪ねることであった。


 下北半島まで北上した後、日本海側へ出た私が、まず最初に行ったのが、「リアリズムの宿」の舞台になった青森鰺ヶ沢

 ここには、舞戸温泉という温泉銭湯風の一軒宿が並ぶ一角があり、おそらくそこが舞台となっているはずなのだが、駅周辺をいくら回っても、そのような場所など見当たらない。仕方なく、駅前で暇そうにしていた老人に聞いてみると、何と数年前に温泉は閉鎖されたと言うではないか・・・・


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 鉄道ファンに非常に人気の高い五能線沿いに秋田山形と南下した私が、次に行ったのは、「もっきり屋の少女」の舞台になった西会津街道の大内宿。

 前日、阿賀川の橋の下野宿した私が、早朝に訪れると、なるほど確かに「もっきり屋」そのままの藁葺き屋根集落だ。うれしくなって、その集落がすべて見渡せる神社の前に座って、いつの間にかウトウト眠ってしまった私だが、目が覚めると、目の前に現れたのは観光客の大群であった。


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 すっかり興醒めして、次に向かったのが、今回の旅のハイライト、「二岐渓谷」の舞台になった福島・天栄村の二岐温泉

 岩瀬湯本温泉のあたりから奥西部林道に入り、ダートを6kmほど走ると、「湯小屋旅館」の看板が現れた。

 階段を降りて、ようやく現れた宿は、20年経っても、つげ義春が「一番貧しそうな僕好みの宿」と言った姿、そのままであった。


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 今にも崩れ落ちて来そうなトタン屋根の玄関を開けようと思うが、壊れているのか、開かない。私が四苦八苦していると、ようやく中から、宿のオヤジが出て来た。こ、この顔は・・・・

 そう、そうなのだ。マニアックな話になるが、この湯小屋旅館・主人こそ、「枯野の宿」で、宿の壁に絵を描く旅館の息子、そして「会津釣り宿」で出てくる、酒好きの主人のモデルになった星卓司さんだったのだ。

 入浴料の500円を支払い、イワナヤマメが生息するほど美しい鶴沼川の渓流に面した露店風呂、実に年季の入った内風呂にすっかり満足した後、星さんに「枯野の宿」に出てくる壁画を消してしまって、見れないことを残念だと言うと、あっさりとこう答えてくれた。

 「ああ、つげさんのファンね。もうずいぶん、古くなってたからねえ。消したんだよ。」 なんてもったいないことを。つげファンにとっては宝物のようなのに。その代わりに、星さんの新作?「羽鳥湖ノ景」を見せていただいた。


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 さらに、星さんは私が着ていた「ねじ式Tシャツを指差し、こう言うのだ。「面白いTシャツだな。」「えっ?これは、つげさんの代表作ですよ。」「ああ、そうなの。」 この無関心さがいいところなのだろうが、また次に訪れる時まで、潰れないで欲しいものである。


 *参考文献「つげ義春を旅する」(ちくま文庫

2002-09-11 最果ての古本屋

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 東北から帰って来ました。

 計20日間。栃木福島宮城岩手青森北上し、本州最北端(下北半島)まで行き、帰りは日本海側へ出て、秋田山形、再び福島栃木と南下し、東北全県をバイクで回りました。しかし、疲れた。ユーラシア大陸を旅した時より、疲れたかもしれない。


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会津街道で見つけた、怪しい古本屋。残念ながら、早朝だったので閉まっていた。)


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 盛岡弘前間の津軽街道では、安比高原あたりで突然の大雨にパンツの中までびしょ濡れ。最初に泊めてもらった栃木の友人宅で聞いて、頭にこびり付いていた野坂昭如の「サメに食われた娘」を口ずさみながら、8月30日、ようやく下北半島の中心地・むつへ到着。

 むつへ着いて、まず最初にやったこと。それは、本州最北の古本屋を探すこと。

 「全国古本屋地図2000年版」(日本古書通信社)によると、むつにある古本屋は2軒。本州最北駅の大湊駅前にある十七夜書房、そしてその少し北にあるリサイクル・ブックセンター。さらに電話ボックスに置いてあるタウンページで調べると、あと3軒。あらかじめ知っていたブックマーケットのむつ店、そして太陽堂、川井書店。さっそく電話してみると、そのうちの2軒は連絡が付かなかった。


 まずブックマーケットへ行ってみた。ここはチェーン店であるから、他のブックマーケットとさほど変わらなかったが、気のせいか本の数が少ないか。通常100円均一であろう書籍群が200円均一というのは、山の上の水が高いように、場所柄仕方ないのか?

 次に太陽堂。ここはリサイクルショップであった。東北郊外新古書店全般に言えることなのだが、CDゲームはもちろんのこと、電化製品、古着家具ベビー用品などが店内に溢れ、古物のひとつとして古本を扱っているに過ぎないのだ。

 首都圏ブックオフなどでも、そのような店は多いが、東北では、その傾向がより顕著。本(あるいはレコードなども)というアイテムが他の古物と違って、特別な、ある意味フェティッシュな魅力さえ感じるという感覚は、一部のマニアだけであるということを、地方ではさらに思い知らされた。


 最後に、地図で確認すると、おそらく最も北に位置するであろう、リサイクル・ブックセンターに行ってみた。名前からして、太陽堂のようなリサイクルショップを連想したが、以外にもここは純粋?な古本屋であった。

 ほとんどがコミックではあったが、その小さな店内を見回しながら、こんな辺境の地で古本屋なんて、さぞかし苦労も多いだろう、そう思い、文庫本を1冊購入した。


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