今年の10冊

今年も選んでみました。2016年12月〜2017年11月に出た本です。

名前のない生きづらさ (シリーズ それぞれの居場所1)

名前のない生きづらさ (シリーズ それぞれの居場所1)

22歳が見た、聞いた、考えた「被災者ニーズ」と「居住の権利」

22歳が見た、聞いた、考えた「被災者ニーズ」と「居住の権利」

性暴力と修復的司法 (RJ叢書10)

性暴力と修復的司法 (RJ叢書10)

存在肯定の倫理I ニヒリズムからの問い

存在肯定の倫理I ニヒリズムからの問い

健太さんはなぜ死んだか―警官たちの「正義」と障害者の命

健太さんはなぜ死んだか―警官たちの「正義」と障害者の命

「病いの経験」を聞き取る[新版]――ハンセン病者のライフヒストリー

「病いの経験」を聞き取る[新版]――ハンセン病者のライフヒストリー

ヒロのちつじょ

ヒロのちつじょ

「共倒れ」社会を超えて――生の無条件の肯定へ!

 本書は、現代社会において起きてしまっている「共倒れ」という現象について、とくに障害者とかかわる人たちの現場を想定しつつ、そうならないようにするための倫理学的分析を行ったものである。障害者問題を犠牲の問題として捉え直すことで、解決に向けた考え方を提供する。

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「生の無条件の肯定」に関する哲学的考察 : 障害者の生に即して

本論文は、障害者が社会において生きるということについて哲学的に考察することを目的とする。すなわち、障害者が生きるということに対して、主に思想の側面から光を当てようとする試みなのである。現代社会の中で、障害者の生を十全に肯定するためには、「彼らの生は<無条件に>肯定されなければならない」と主張することが必要となる。なぜなら、彼らの生は、ただ単に能力が低いからというだけでなく、それをも含むさまざまな理由によってその生を否定されてもいるのが現実だからである。それらすべての否定的な眼差しに抗する理論の構築は、障害者の生はもとより、社会的に不利な立場に捨て置かれ、その存在を否定された者たちの生を肯定するためにも重要である。

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