Hatena::ブログ(Diary)

xenothの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-09-15

外へも向かう言葉

通じない言葉

趣味というのは極まってゆくと、何を話してるのかさっぱりわからなくなるので、閉じがちである。

TRPGも、もちろん、そうだ。


実のところ、これはTRPGに限った話じゃない。相撲ファン、野球ファン、サッカーファンとかの会話だって、すごい量のジャーゴンが流れていて、外部の人に全然通じないのは同じである。


閉じてしまった趣味は衰退するので、外へ向かう言葉は大変に重要だ。

では、どういう言葉が有効だろうか?

外へ向かわない言葉

http://www.scoopsrpg.com/contents/baba/baba_20000201.html

http://www.scoopsrpg.com/contents/baba/baba_20000417.html


馬場氏が書いた「外へ向かう言葉」。

ここでは馬場氏は、TRPGの価値のうち「ストーリーの創成、キャラクターの演技、感情移入、背景世界への参加感覚、他の参加者との協力や役割分担、そして困難を乗り越えたときの達成感」などは、コンピュータRPGや、ネットワークRPGに代替されうるので、それを説いても意味がない。TRPGを知らない人には説得力がない。

TRPGを知らない人に紹介できるTRPG独自の価値は「意志決定」ではないか、と、考察している。


思い切り戯画化するが「TRPGってどんなの? 何が面白いの?」「それは意志決定なんだよ! 意志決定というのはね(以下略)」という会話をしたら、ほんとにその人はTRPGに興味を持ってくれるんだろうか。俺は違う気がする。


そしてまた、「コンピュータRPGで代替されうる」からセールスポイントにならない、というのは、本当にそうなんだろうか?


例えばサッカーとバスケは、チームで連携し、ドリブルとパスでボールをゴールに運ぶという点では似たスポーツだ*1

サッカーの面白さとして、ドリブルの個人技、パスまわし連携の戦術性とかが語れるだろう。一方、「ドリブルやパスはバスケにもあって代替されうるから、サッカーの面白さを語る場合は、それ以外にすべき」とか比較する必要はあるだろうか。なんか違う気がするのだ。


コンピュータRPGが、TRPGの面白さと重なる部分は、もちろん、大きいと思う。

ただし、コンピュータRPGにおける「ストーリー創成の面白さ」は、TRPGにおける「ストーリー創成の面白さ」とは違うだろう。バスケとサッカーが違う以上に*2

外へ向かう言葉

自分が何かの趣味にはまった時のことを思い出してみよう。TRPGで無くてもなんでもいい。

その趣味の優越性に関する批評を読んで趣味を始めた、という人は少ないんじゃないかと思う。

「楽しそうな紹介を読んだから」そして「誰かがそれをやっていて、楽しそうだったから」というのが一番よくある理由ではなかろうか。


野茂選手がかっこよくて野球が好きになった人がいる。

よくあるTRPG論でTRPGを語るように野球を語った場合「野茂カッコイイ」は、滅多に理由としてでてこないだろう。

にも関わらず、野茂選手の活躍と生き様こそが、これ以上ないくらい雄弁な「外へ向かう言葉」じゃないだろうか。


私が思う「外へ向かう言葉」は、「TRPGが楽しそう」な姿を見せることだ。

コックが喜ぶのは、料理をおいしそうに食べることで、料理蘊蓄を語ることではない。

楽しそうな姿を見せるだけで全部が解決するわけじゃないが、少なくとも楽しそうな顔が見えないところに人は集まって来ない。

あなたは難しい顔で蘊蓄ばっかり語ってないだろうか?(いやおまえがそれを言うか、というのはさておき)

迫害について

例えば、「なに、お前、黒ミサみたいに、エルフとかドワーフとか、そんなくだらねぇごっこ遊びやってるの?」って心ない人に言われた時に、それに対して否定できないTRPGユーザーって、せっかくその人が好きだったTRPGってものが矮小なものに終わってしまう。果たしてこれはいいのか。

http://d.hatena.ne.jp/otaku_interview/20070305


例えばまぁ「サッカーなんてくだらねぇ。バスケのほうが絶対面白いじゃん」とかそんな風に絡んでくる人がいたとして、そこで「サッカーとバスケの類似点および独自性」について議論すべきか、というと、違うんじゃないかと思う。


それと同じように、「くだらねぇごっこ遊び〜」と言われて「ごっこ遊びではない! そもそもTRPGはルールがあって意志決定があって〜」とムキになって反論する姿を見ると、周りの人は「あぁ、痛いところを突かれたんだな」と思うだろう。そしてそれは正しい。


そういう時は「うん。TRPGやってるよ。面白いんだ」と、屈託無く素直に言えればいいな、と、思う。「そういえば前のセッションでは、こんなことがあってね」というのでもいい。

それこそが一番雄弁な否定だ。


心ない人、悪意のある人とかじゃなくて、単に「TRPGって何? 面白いの?」と聞いてくる人には、きちんと答えられる言葉を持っていたほうがいいだろう。

ただ、そういう人は、普通、総論としての「TRPGとは何か?」を聞いてるわけではないことに、注意。

「このリプレイ読むと面白いよ。だいたいこんな感じ」とかが相手の求めてる答えの場合が多い。

「外」という人はいない

相手の求めてる答えといえば、誰かに何かを伝えたい時、大切なのは、相手の立場になって考えることである。この人に伝えるには、どうしたらいいか、と、考えることだ。


「外へ向けた言葉」に類する論法で、俺が一番危険と思うのは、その「外」って誰? ということだ。それは例えば家族なのか、学校の先生なのか、公民館を借りる時の受付の人なのか、同級生なのか。

知らない人にTRPGを紹介しようと思ったら、相手のことを考えるのが普通だろう。

マーケティング的にTRPG層を広げたいなら、どの層を狙うかの検討から入るだろう。


でも、なぜか、「外へ向けた言葉」であるはずなのに、相手を無視して、高尚なTRPG論、闇雲な理論武装が始まる場合がある。

結局、それは自分を納得させるための言葉であって、それ以外ではない。

「外」じゃなくて「内」へ向かう言葉だ。


一応書いておくと、吟味し、練り上げられた批評を外へ届かせることもできると思う。

ただ、最初から具体的な相手を想定せずに、単なる使命感で、外へつなげようとする場合は、要注意だ。

*1:xenothはサッカーにもバスケにもそんなに詳しくないんで、トンチンカンなことを言っていたらご寛恕願いたい

*2ゲームデザイナーは、TRPGを作る時に、コンピュータRPGに限らず既存の娯楽と競合してもいいように、TRPGの有利な点を考えてデザインするだろう。そういう風にTRPGの有利な点を考察するのは重要だ。ただ、それは「外へ向かう言葉」なのか、という話である

xenothxenoth 2008/09/16 07:09 ブクマコメントへレス
>acceleratorさん、Wintermuteさん
江川昭子やら「フィギュア萌え族」やら「10万人の宮崎」やらに対抗する言葉ですか。
江川昭子の番組に必要だったのは、それこそ「TRPGが楽しそうな姿」だったと思います。

それはおいといて、マスコミとかのバッシングに対抗するにはどうしたらいいか、というのは確かに。

ただマスコミバッシングへの対抗手段は、こりゃ喧嘩に対する反撃なので、泥試合、政治、パフォーマンスといったものをどうしても大きく含まざるを得ない。

「TRPGに知らない人にTRPGを伝える」ための言葉と、「vsマスコミバッシング」を一緒にするとエライことになります。
「外へ向かう言葉」というよりも「反撃する言葉」ですね。

xenothxenoth 2008/09/16 07:18 >k-takahashiさん
>多数の支持を既に得ているもの(スポーツ、芸能)、権威に裏付けられたもの(伝統文学)ならそれでも成り立つかもしれないが、サブカル系はまず否定されるところからはじまるところが違いかな。

そういう傾向が無いとは言いませんが「俺達は世間から否定されている!」みたいなスタンスで何かを語ると殺伐としてしまいます。
結果、別にサブカル系やTRPGを否定してない人も遠ざけてしまうことになりかねない。

対バッシングの「反撃する言葉」は場合によっては必要ですが、最初から喧嘩腰では人は寄ってこないと思うんですよ。

acceleratoraccelerator 2008/09/17 01:34 僕が江川昭子を持ち出したせいか、ブクマが物騒なことになっていますね。軽率でした。僕の意図としてももうちょっと穏便な例でもよかったのですが。親や家族にどう説明するのかとか。

このコメント欄まで含め、僕はxenothさんの意見に賛成です。読んだ直後は、「前の記事にも関わらず、また「批評ウザイ」的な記事だよ」と思ってしまったんですが、それは僕の偏見でよく読むとそうでもないですね。相手によって伝えるものを選ぶことが大切というお話ならよくわかります。

その上で相手によっては伝えるものは”素朴な楽しさ”じゃなくても良いですよね。TRPGにはそれなりに高尚さもありますし、そこを強調して伝えることもあるでしょう。テクニカルタームを使うことで逆に伝える対象をうまくしぼることもできると思いますし、要は使いようなのではないかと思います。

そのように多様な文脈や伝える内容を認めた上で、楽しさを伝えるのは最重要でしょうね。

江川昭子に関しては、いろいろ考えてみましたが、むしろあの場では何を言ってもダメなのかもしれませんね。出演している方は全力を尽くしていたと思います。マスコミ対策はそれはそれで必要というxenothさんの意見に賛成です。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

Connection: close