実録 亞細亞とキネマと旅鴉 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

09-02-2012 (Thu) 自宅38日め

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[]『断絶(Two-Lane Blacktop)』(Monte Hellman)[C1971-26] 『断絶(Two-Lane Blacktop)』(Monte Hellman)[C1971-26]を含むブックマーク 『断絶(Two-Lane Blacktop)』(Monte Hellman)[C1971-26]のブックマークコメント

シアター・イメージフォーラムで、モンテ・ヘルマン監督の『断絶』を観る。1995年にリバイバル上映されていたのは憶えているが、観なかったのはたぶんレイトショーだったからだ。

断絶 [DVD]

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時々ストリートレースで賭け金を稼いでいる、55年型シェヴィに乗った二人組、ザ・ドライバーことジェイムズ・テイラーとザ・メカニックことデニスウィルソンポンティアックGTOにヒッチハイカーを代わる代わる乗せて走る中年男、GTOことウォーレン・オーツ適当な車に勝手に乗り込んでは旅を続ける女の子、ザ・ガールことローリー・バード。どこの誰なのか、どこから来てどこへ行くのかもわからない4人が、road to nowhereを行く究極のロードムービー

ザ・ガールが3人の男の間を行ったり来たりしながら、二台の車がお互いの車を賭けてワシントンD.C.まで長距離レースをする、というのがいちおうのお話だが、レースはしばしば中断され、本気でワシントンD.C.に向かおうとしているのかどうかすらわからない。4人はそれぞれ、挫折とか喪失感とかいったものを抱えているらしいが、それらは一切描かれない。時代的に学生運動とかヴェトナム戦争とかを連想したりもするが、具体的なことはぜんぜんわからない。GTOは二人組を「クルマが命というタイプ」と断言するけれど、そのようにも思われない。ふたりはぜんぜん笑わないし、『頭文字D THE MOVIE』[C2005-04]みたいなワクワク感も、主人公の成長もない。あるようなないようなストーリーの隙間を殺伐とした虚無的な空気が満たしていて、この雰囲気にとても惹かれる。

からといってただ殺伐としているわけではなく、随所におかしさが滲みでている。まず、GTOがヒッチハイカーたちに語る、毎回違うウソの身の上話。最初のほうは元ネタもわからないが、次第に「これはレースで勝って手に入れた車だ」などと言いだし、身の上話の創作過程垣間見えるのがおかしい。さらに、なぜか2回もあるトイレネタ。旅にトイレはつきものなので、トイレネタが出てくるだけでうれしいが、傍から見るとおもしろいけれど自分が遭遇したら恐怖、というネタなのがたまらない。

いっぽう観ていて辛かった点は、まず第一に、ジェイムズ・テイラーデニスウィルソンの顔が咄嗟に判断しづらかったこと。ひとりで出てくると、「どっち?どっち?」と思って焦った。ふたりの服が決して変わらないと確信してからは、まず服で判断してから顔を確認するようにしたので楽になった。第二に、会話の内容がクルマの話になると、ほとんど一言意味がわからなかったこと。

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28-01-2012 (Sat) 自宅26日め

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[]『下女(하녀)』(金綺泳)[C1960-52] 『下女(하녀)』(金綺泳)[C1960-52]を含むブックマーク 『下女(하녀)』(金綺泳)[C1960-52]のブックマークコメント

シネマヴェーラ渋谷で、金綺泳(キム・ギヨン)監督の『下女』を観る。上映権利切れによる日本最終上映で、4年ぶり二度め(前回の感想は、id:xiaogang:20081025#p4)。初めて観たときはすごく過剰な感じを受けたけれど、あらためて観ると、すごくきっちり端正に作られた名作という印象をもった。イロモノのようでいて、金振奎(キム・ジンギュ)、嚴鶯蘭(オム・エンナン)主演のスター映画でもある。

中流家庭が下女に破壊されそうになる話だが、別の見方をすれば、三人の女たちが一家の主人の音楽教師を奪い合う話ともいえる。金振奎演じる主人公の音楽教師は、前回は吉田輝雄だと思って観たが、今回はスクリーンが近かったこともあり、そう思いこむのに失敗した。しかし、性格や行動原理はまさしく輝雄様なので、やはり輝雄様と呼ぶことにする。彼を取り巻く三人の女性は、内職に没頭する妻・南田洋子(ある意味では新珠三千代)、彼に憧れてピアノを習いにおしかけてくる女工中村玉緒(嚴鶯蘭(オム・エンナン)が演じていて、もっと上玉)、だらしない下女の倍賞千恵子(あるいは倉科カナ)。輝雄様は、ピアノを教えるフリして中村玉緒とのスキンシップをはかるが、最も上玉で胸も大きい彼女の誘惑に対してはなんとか踏みとどまる。しかし、いつも夫にエロい流し目を送る南田洋子妊娠させつつ、貧相な倍賞千恵子の誘惑にも負けて彼女をも妊娠させる。実は全部輝雄様の妄想なのに、主婦エア恋愛などとは違って想像力がマゾヒスティック

倍賞千恵子はほとんど同情の余地なく悪いのだけど、実はいろいろ仕掛けている張本人は中村玉緒子役時代の安聖基(アン・ソンギ)演じる輝雄様の息子も、下女と対抗し得るほどにワルい。『女の中にいる他人[C1966-03]新珠三千代のように家庭を守ろうとする南田洋子もこわい。ワルいひと、こわいひとに囲まれて、オロオロと苦悩したあげく、倍賞千恵子階段で引き摺る輝雄様。やはりこの階段落ちシーンがいちばん好きだが、これは映画史に残る名シーンだと思う。ホンモノの輝雄様がこの役を演じる映画が観てみたい。ちなみに安聖基は、よく見たらちゃんとのちの安聖基の面影があった。

この映画キーワードは、雷鳴、ヴェランダネコイラズ、階段。どんな映画とも似ていないオリジナリティをもちながら、『ラ・パロマ[C1974-01]、『お早よう[C1959-06]、『風の中の雌鶏』[C1948-07]、『女の中にいる他人』など、いろいろな映画を思い出させるところもいい。そしてやっぱり、この映画からハウスメイド[C2010-62]を作ろうと思う心理がどうしてもわからない。全度妍(チョン・ドヨン)にエロいメイド服を着せたいという願望以外には。

yuzukiri815yuzukiri815 2012/02/07 12:08 いまさらですが、吉田さん中心の配役にウケました。倍賞千恵子はよく知らないのですが。たしかに、吉田輝雄のためにあるような役でしたね。

xiaogangxiaogang 2012/02/07 14:45 倍賞千恵子は、イメージは全然違うと思いますが、貧相な感じが似ていたので。でも日本版の配役を考えるんだったら、三原葉子とかにやってもらいたいですね。

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