23-09-2005 (Fri) 久しぶりのフィルムセンター
■[映画]『噂の娘』

10時10分くらいに行くと、まだ行列らしい行列はなく、拍子抜けするほど客が少ない。成瀬巳喜男特集も二巡目に入って人気が落ちたのかと心配になったが、始まる頃にはほぼ満席になった。
今日の最初のプログラムは、汐見洋特集、あるいは三島雅夫特集(J先生げきよろこび)。『噂の娘』は54分の中篇ながら、水上バスのシーンとか酒屋と床屋が向かい合っている感じとか、なかなかよい。汐見洋演じるおじいさんもいい味を出している。娘たちでは、梅園龍子がいい。柱かなにかにもたれて立っているところとか寝ころんでいるところとか、生々しい存在感がある。千葉早智子のほうは、あまりに理想的な良い子すぎて現実味がない。内容のなさそうな大川平八郎でなくとも、妹のほうを所望しそうだ。和解したり反省したりするシーンなしに終わるのもよい。
■[映画]『雪崩』

大佛次郎原作の文芸映画で、登場人物がいかにも小説からとったような観念的な台詞を早口で抑揚なくしゃべっていて、リアリティが全然ない(もしかしてそれによってブルジョアの空疎な心情や生活を表しているのかも)。「動物園」三島雅夫が一番人間味がある。原作がどのぐらいの分量なのか知らないが、長篇として撮ったほうがよかったんじゃないだろうか。紗をかけたモノローグ画面はたしかに妙で、モノローグの終了とともにカットされるところはまだしも、モノローグが終わって紗をぬく(?)ところが何ともいえずヘンだ。
■[映画]『三十三間堂通し矢物語』

併映の『勝利の日まで』がレアなためか、それとも遅い時間ほど人が来るのか、これは早々に行列ができ、さっさと満席になった。どれが混むのかいまいち予測できない。
まず田中絹代の顔がすごくヘン。おそらく眉のメイクのせい。それから大八郎を演じる市川扇升がヘン。嬉しいときも悩んでいるときも、いつもなんだかヒステリーみたいだ。まだ17歳とはいえ通し矢の記録を作るほどの人物なのだから、もう少し魅力的な男の子であってもいいのでは。ふつうこういう話は「少年が大人になる」ものになるはずだが、大八郎が成長したふうに見えないのは故意なのか。最初のほうは笑えるシーンも多くて楽しいのに、だんだん余裕がなくなってつまらなくなるのも残念。