26-11-2005 (Sat) 東京フィルメックス第八日(参加4日目)
■[映画]『無窮動』
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今日の東京フィルメックス1本目は、寧瀛(ニン・イン)監督の新作、『無窮動』。非常に個性的な顔(最大限褒めています)のおばさんが、夫の浮気相手をつきとめるため、お友だちのおばさん三人を招いて年越しパーティを開く話。リッチな四合院を舞台に、おばさんたちのおしゃべりを中心に構成されている。
とにかくおばさんたちが強烈すぎる。顔が強烈なのは約一名だが、服装、喋り方、笑い方など、どれをとっても強烈。美しいはずの北京語が、これだけ強く汚く響く映画も珍しい。面白い会話があっても、こっちが笑う前におばさんたちのけたたましい笑い声が轟くため、「なんかおかしいんか、われ」とケリを入れたくなる。共感したり、にやりとさせられるところがあるのかなと思って観ていたが、そもそもいろんな面で彼女たちとの共通点が全く見いだせなかった。
あとになって考えてみれば、そういう私の鑑賞態度が間違っていた。この映画は、共通点などなく共感を感じるはずもないおばさんたちを、距離を置いて冷静に生態観察する、という態度で観るのが正しい。そうすればもっと楽しめる。キャメラが近いのに騙されてはいけない。ところで、喋り疲れたおばさんたちが見ていた、中国中央電視台(CCTV)の年越し番組が、超アナクロっぽくてすごく面白そうだった。
■[映画]『結果』
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お昼は適当にパリパリ餃子屋に入ったら、なかなか出てこなくてかなりあせる。でもちゃんと間に合った2本目は、章明(チャン・ミン)監督の新作、『結果』。今中国で一番の監督といえば疑いなく賈樟柯(ジャ・ジャンクー)だが、章明は賈樟柯に続く二番手のひとりだと思う。
広西壮族自治区(プログラムには広西省と書いてあるが違うよね)北海市を舞台に、李社長を探しに来た男が、やはり李社長を待つ妊娠中の女と出会う話。やってくる男を変えて、同じような話が二回繰り返される、変奏曲のような映画である。最初にやってくる男は黄光亮(トミー・ウォン)。次にやってくるのはちょいと范植偉(ファン・チィウェイ)っぽい若い男。最後まで現れない李社長も含め、男たちは次々と消えて、お腹の大きくなった女だけが残る。
構成も面白いが、緊迫感をたたえた画にすごくパワーがあって、ひとつひとつのショットが強く印象に残る。賑わっているのに寂れていて、美しいのに薄汚れているような、独特の空気もいい。観終わったとたん、強烈にまた観たくなる映画だ。章明は典型的な中国のおっさん的風貌なのに、どうしてこんな映画が撮れるんだろう。先日、この映画の鑑賞記念に、『沈む街』のDVDと『週末の出来事』のVCDを買ったが(どちらもスクリーンで鑑賞済み)、これもぜひDVDを手に入れたい(日本公開されればなおいいが)。
ところで、検査で妊娠がわかったとき、女医さんが‘要不要?’と聞いていた。簡単明瞭だ(ふつうの産婦人科ではなく、計画出産サービスというところだからかもしれないが)。芥川龍之介のように‘不要’を連発すれば、すぐにおろせる仕組みである(と思う)。
上映前に、章明監督、脚本家、出演者三人の舞台挨拶があり、上映後には監督と脚本家を迎えてQ&Aが行われた。舞台挨拶とQ&Aの採録はこちら。
■[映画]『女吸血鬼』
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3本目はフィルムセンターに移動して、中川信夫監督特集の『女吸血鬼』を観る。入りがよくないとは聞いていたが、開場直前に行って階段の椅子に座れてしまうのはあんまりではないか。変だと思ったら、入場料が800円。300円アップの理由はなんだろう。
一昨年の清水宏、昨年の内田吐夢の特集は、フィルメックス本体よりも力を入れて、未見の作品を全部観た。しかし、怪談に興味がないこともあり、今年の中川信夫にはあまり行く気がなかった。この映画を観ようと思ったのは、ほかでもない三原葉子が出ているからである。三原葉子が出ていてタイトルが『女吸血鬼』なら、三原葉子が女吸血鬼になり、若い子の血を吸いまくって大活躍、と誰もが思う。ところが、吸血鬼かどうかは明らかにされず、血を吸うシーンもない。スケスケネグリジェで家の中を徘徊するサーヴィス・ショットもあったが、全体に出番が少なくて残念だ。
主人公の吸血鬼は天知茂。この人の出る映画はあまり観たことがないが、ダンディな雰囲気を出すのにも、エロティックな雰囲気を出すのにも、どうも何かが欠けている気がする。三原葉子の娘が池内淳子。最初の登場が美しく着飾ったパーティシーンだったので、「池内淳子にも若いときがあったのね」と感慨深かったが、ふだん着になったとたん、やっぱりおばさんくさかった。島原の山を登るシーンは、アルゼンチンのウスアイアを思い出した。どことなく雰囲気が似ていた気がする。
天津飯店でいつものものを食べて帰る。