バンガロールに来ちゃったの(実録亞細亞とキネマと旅鴉) このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

30-07-2006 (Sun) 情緒的イリュージョン

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J先生との共通の夏休みは、週末を含めて三日しかない。そのうちの二日を利用して、下部温泉(山梨県南巨摩郡身延町)へ避暑に行くことにした。『有りがたうさん』(id:xiaogang:20051225#p1)の次は『簪』というわけだ。

清水宏監督のベスト3の一本であり、斎藤達雄および日守新一の最高傑作である『簪』。その舞台は、納村(笠智衆)から恵美(田中絹代)へのはがきに「下部滞在中は大変お世話になりました」とあるように、下部温泉である。川本三郎の『日本映画を歩く ロケ地を訪ねて』(ISBN:4533030661)によれば、ロケ地は別のところらしいが、下部温泉がどんなところなのか一度見てみたい。

朝の天気はくもり。少し晴れ間も出たものの、東名で雨が降り出す。晴れたのは山中湖を過ぎてから。本栖湖で昼ごはんを食べ、本栖みちのくねくねを楽しんで、2時半ごろ下部温泉へ着く。晴れていて暑く、けっこう避暑気分が味わえそうだ。

宿は古湯坊・源泉館(公式)。『簪』の原作、『四つの浴槽』を書いた井伏鱒二が好んだ宿らしい。かなり古いらしくて値段も比較的安く、J先生が「絶対ぼろい」と脅すので少し不安だったが、そうでもなかった。表から見た外観はぱっとしないが、本館内部はけっこう趣がある。団体などあまり来なさそうな小さい旅館なので、特に賑やかでも景気よくも派手でもなく、五月蝿くもない。

下部温泉は、下部川沿いに温泉旅館が並ぶ鄙びた温泉街。川幅も狭く、全体的にごちゃごちゃと小さくまとまっている。町をひとまわりしてみたが、『簪』に出てくるような広い河原や林のようなところはありそうになかった。旅館の規模も小さい。やはりロケ地は下部温泉ではなさそうだが、決して落胆してはいけない。

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源泉館の名物、かくし湯に入り、値段のわりに豪華な夕食を食べる。かくし湯は予想以上に冷たくて、ちょっとの間しか入っていられなかった。冷たさ自体が問題というよりは、冷たいとぼーっとできなくて、退屈さに耐えられないのだ。お湯の中に簪は落ちておらず、情緒は足の裏に突き刺さらなかった。女性専用の時間帯でも客はばあさんばかりで、情緒的な美人にもめぐり会わなかったが、決して悲観してはいけない。

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