バンガロールに来ちゃったの(実録亞細亞とキネマと旅鴉) このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

29-07-2007 (Sun) 上田旅行第一日

[]鎌倉→上田→別所温泉 鎌倉→上田→別所温泉を含むブックマーク 鎌倉→上田→別所温泉のブックマークコメント

J先生の職場は明日お休み。私も有給休暇を取り、一泊二日で四ヶ月ぶりの温泉へ行くことにした。行き先は、『父ありき』[C1942-01](asin:B00009XLL9)の舞台のひとつである上田。泊まるのは、昔何かで見てよさげなところだと思った記憶がある別所温泉。

上田市のサイト(公式)には[信州上田ロケ地ガイド]なるものがあり、その中に[上田市等でロケされた映画作品一覧]というありがたいページ(LINK)がある。これによると、『一人息子』[C1936-01]や『けんかえれじい』[C1966-09]、先日観た『次郎物語[C1955-25]なども上田附近で撮られているらしい。気になるのは、この一覧に『父ありき』がないことだ。

朝7時すぎに参議院選挙の投票を済ませ、7時半ごろ出発。鎌倉街道、環状2号線、保土ヶ谷バイパス、八王子バイパスを通って八王子ICから中央道に入る。ずっと順調だったのに、大月で分岐したあと事故渋滞にはまり、ぬけるのに1時間かかった。これで午前中に上田到着という計画は崩れ去り、諏訪湖SAで簡単に昼ごはんを済ませる。岡谷ICで下りて、『コスモス街道』を歌いながら(ウソ)中山道を走り、国道152号へ入って14時ごろ上田到着。晴れていてすごく暑い。

上田城の駐車場に車を置き、まずは上田城へ。リストにないことやガイドブックの写真から予想していたとおり、上田城には『父ありき』に出てくるような高い石垣はない。戦後にあちこち再建されていることを考慮しても、どうもここではないようだ。代わりに『次郎物語』と『けんかえれじい』には上田城が出てくる。『父ありき』だけを目当てに来ていたら空しく帰るところだったが、いろいろ準備しておいてよかった。

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お城のあとは、石井鶴三美術館(1915年竣工)、長野県上田高等学校、常田館(写真)(1908年竣工)、笠原工業、日本基督教団上田新参町教会(古橋柳太郎設計、1935年竣工)、旧北国街道(写真)、小縣上田教育会館(山浦政設計、1938年竣工)などを急ぎ足で回り(外観だけ)、『一人息子』、『次郎物語』、『けんかえれじい』のロケ地探し(詳細は次項以降を参照)と近代建築チェックをする。旧北国街道をはじめとして、ところどころ古い街並みが残っていて、白壁の家が印象的な街である。時間がなくて最低限のところしか行けなかったが、ロケ地も探せばもっと見つかりそうだし、今度は時間をかけてじっくり歩きたい。

(近代建築については、[近代建築散策:長野県](LINK)を参照させていただきました。ありがとうございます。)

17時半ごろにお城の前を出発して、18時前に別所温泉に到着。町を見る余裕もなく、宿泊予定の花屋(公式)へ直行。19時からの夕食の前に、急いで大理石風呂に入る。せっかくの大理石や装飾を楽しむ余裕はなかった。夕食は、品数も多く悪くなかったが、特別「これは」というものもなかった。夕食後は、女性タイムに間に合うよう、またも急いで展望風呂に入る。サイトには「大きなガラス張りの窓からは、緑豊かな木々を望むことが出来ます。開放感あふれる造りが魅力です。」と書いてあるが、19時から21時45分までの女性タイムにはそんなもんは見えまへん。とにかく慌ただしい一日だったが、最後は選挙速報番組を見てぐうたら過ごしてしまった。

[][]『次郎物語[C1955-25]の「町」・上田 『次郎物語』[C1955-25]の「町」・上田を含むブックマーク 『次郎物語』[C1955-25]の「町」・上田のブックマークコメント

清水宏の『次郎物語』で、次郎の家は田舎の旧家である。途中、父親(竜崎一郎)が借金の連帯保証人になったことから没落し、町に出て酒屋を始める。この「町」というのがどこなのかは映画の中では語られないが、どうやら上田のようだ(原作には舞台設定が書かれているのかもしれないが、原作は知らないのでここでは気にしない)。

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今日わかったのは二箇所。ひとつめは上田城跡(左写真)。母親の実家に預けられて小学校を卒業した次郎は、中学校へ入ると同時に実家へ戻る。上田城跡が出てくるのは、実家へ戻ってからの最初のショットで、中学生たちの通学風景を捉えたもの。アングルはかなり異なるが、左手に見えるのが西櫓、右側に見えるのが南櫓である。

もうひとつは、旧北国街道の緑橋あたり(右写真)。ここが出てくるのは、次郎(市毛勝之)が先生の家へ夕食に呼ばれて行くシーン。義理の母(父の後妻)・木暮実千代が長男の恭一に売り物の日本酒を渡し、次郎にもたせるように言う。そこで恭一が次郎を追いかけ、酒を渡すところである。次郎の家である酒屋は、このすぐ近くにあるようだ。橋の手前側の家は建て替えられているが、橋の向こう側の風景は、今もあまり変わっていない。

[][]『けんかえれじい』[C1966-09]会津若松 『けんかえれじい』[C1966-09]の会津若松を含むブックマーク 『けんかえれじい』[C1966-09]の会津若松のブックマークコメント

『けんかえれじい』(asin:B00006YXRY)の舞台は、前半が岡山で、後半が会津若松。上田とは何の関係もない。しかし上田ロケだという。はたして岡山か、会津若松か、と悩んだが、どうやら全部上田らしい。映画を観ていると、ちゃんと別々の街に見える。しかしそう思って見ると、なるほど岡山の竹林と会津若松の竹林は同じところに違いない。

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今日確認できたのは会津若松ばかり。まずは、岡山で問題を起こして会津若松にやってきた高橋英樹が、先回りして来ていたおとうさんと話すところ。これは上田城跡の西櫓附近(左写真)。それから高橋英樹が通う喜多方中学の門。これは長野県上田高等学校の門(右写真)で、もともと上田藩主屋敷の薬医門(1790年再建)だということである。

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最後に、高橋英樹が学校帰りに歩いているシーンでちらっと出てくる教会。これは、日本基督教団上田新参町教会(写真)である。この教会が岡山の教会を思い出させるせいか、この教会をきっかけに、高橋英樹は下宿の娘・浅野順子と歩いた桜並木や、彼女と通った教会などを回想していた。

[][]『一人息子』[C1936-01]の製糸工場 『一人息子』[C1936-01]の製糸工場を含むブックマーク 『一人息子』[C1936-01]の製糸工場のブックマークコメント

小津安二郎の『一人息子』(asin:B00009XLL9)で、母・飯田蝶子が働いている信州の製糸工場は、現・笠原工業(公式)で撮影されたようだ。笠原工業は、現在は発砲プラスチックだのコンデンサーだのを作っているらしいが、かつては製糸工場で、今も繭倉の建物が残っている(常田館も笠原工業の製糸工場時代の建物である)。映画のラストシーン、バケツを下げて出てきた飯田蝶子が沈んだ様子で座り込むとき、その背後に見えている建物は繭倉ではないかと思われる。

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日曜なのに門は少し開いていて、人の気配がある。最近の、セキュリティにギスギスした会社とは違うゆるい雰囲気だが、門柱にはしっかり「縦覧謝絶」とあり、さすがに中へは入れない。向こうに見える繭倉らしき建物が、果たして映画に出てくるものかどうかはわからないが、当時の雰囲気はなんとなく残っており、とりあえずよしとしたいと思う。

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