バンガロールに来ちゃったの(実録亞細亞とキネマと旅鴉) このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

15-09-2007 (Sat) 湯ヶ島旅行第一日

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今週末は一泊二日で湯ヶ島(静岡県伊豆市)へ行く予定。本当は、アジア海洋映画祭(公式)で台湾映画『練習曲』が観たい。でもラインナップが発表されたときはすでに旅行が決まっていた。明日の夕方上映があるので、東京だったら早めに帰って行くのだが、なにしろ幕張である。どんなに観たい映画でも行く気が萎えるほど、幕張は遠い。しかしその前に、今日はフィルムセンターで大木実丹波哲郎を観る予定だったはず。いつのまにか旅行が入っていて少々解せないが、温泉なので嬉々として出かける。

湯ヶ島を選んだのは、少し前に観た『しろばんば』[C1962-40]に出てきたからだ。といっても「ロケ地めぐりしなきゃ」というわけではなく、「そういえば行ったことがないな」という軽いノリで決めた。時間がなくて全然準備ができなかったが、ロケ地めぐりのことは気にはなっていた。当日の今日になって『しろばんば』のDVD-Rを観ながら朝ごはんを食べていたら、やっぱり準備しておくべしということになり、やおらビデプリをはじめた。だから出発が10時になってしまった(id:jinqi:20070915#p1)のはみんなのために働いたからであって、決して私がノロマだからではない。

先日関東を直撃した台風では、特に被害もなくてほっとしたが、実は西湘バイパスが崩落するというたいへんな事態になっていた。下りは大磯西IC〜国府津ICが通行止め。そのせいか国道134号も西湘バイパスもすいすい行けたが、通行止め区間の国道1号がすごい渋滞で、一気に遅くなった。ふたたび西湘バイパスに戻り、真鶴道路→熱海ビーチライン→国道135号→県道80号→伊豆スカイライン。何度か渋滞したがそれほどでもなかった。お昼ごろに熱海を通り、ちょうど『黄色い風土』[C1961-36]を観たところなので「ちょいと寄りたいなあ」と思ったが、なんとなく通り過ぎてしまう。どうせつるやホテルももうないしね。

昼ごはんは、伊豆スカイライン沿いの峠の茶屋でそばとろを食べる。みんなが頼んでいるみそおでん(左写真)が気になって気になって、「味噌おでん、おいしそう」「みんな食べてるよ」としつこく言い続けて、J先生に「じゃあ頼めば」と言わせる。別に勝手に頼んでもいいのだが、いちおう民主主義的手続きを踏んでおく。おでんのこんにゃくもそばもコシがなかったが、こんにゃくは頼んで正解だったと思う。

天気予報は微妙だったが、湘南あたりで少し降ったあとはとってもいいお天気になった。伊豆スカイラインから県道59号を下って湯ヶ島まで、『銀幕演歌<ロック> 御意見無用』(asin:B00008BDMH)♪をかけて進む極道パンダ、不良番長パンダ、与太者パンダ。このCDは超お気に入りだが、ただの演歌だと思われるおそれがあるので、窓全開でかけるのは恥ずかしい。道がすいているのでいいことにするが、峠の茶屋に着いたらすかさず窓を閉めたりして、意外に小心者である。映画を観そびれた代わりに大木実の歌を聴いて満足、といいたいところだが、下手な歌が妙にアタマに残ってちょっと困る。義理が重たい渡世に生きてぇ♪

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15時すぎに、狩野川沿いの白壁荘(上右写真)(公式)に着く。さっそく『しろばんば』ロケ地めぐりを兼ねた散策に出発。湯道、天城神社(下左写真)、湯ケ島小学校、「上の家」(井上邸)、旧井上靖邸、西平神社などを回る。「井上靖生誕百年」だとかで、『しろばんば』ゆかりの地にはプレートがつけられていたりする。

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帰って大浴場(大荒神)へ行ったら夕食に遅刻。夕食は部屋ではなく、厨房に近い別の個室。少しずつ持ってきてくれるのではなく、最初にどーんとくる手抜き方式。「和牛はすぐに焼いてください」「鮎の塩焼きは冷めないうちに食べてください」「揚げそばは即刻食べてください」…という感じで慌しいことこのうえない。最初からあった前菜やお造りは、温かいものを平らげてから食べる羽目になり、そのころにはもう入らない。「当館自慢のわさびパスタと特選和牛石焼旬会席プラン」というもので、和牛石焼と鮎の塩焼き(右写真)はおいしかったが、食事の満足度はいまひとつ。

食事のあとは、この宿の売りである露天風呂へ行く。私は巨木風呂、J先生は巨石風呂。露天といってもいちおう屋根がある。お風呂というのはだいたい床より低いところにあるが、巨木風呂は少し上った高いところにあって気持ちいい。お風呂のあとはいちおう読書。『しろばんば』の原作でも買ってくるんだったと今になって気づいたけれどもう遅い。持ってきたのは読みかけの『東京裁判への道(上)』[B1240-上]で、温泉宿でくつろぐにはなんともミスマッチ(でもおもしろい)。

[][]『しろばんば』[C1962-40]の湯ヶ島 『しろばんば』[C1962-40]の湯ヶ島を含むブックマーク 『しろばんば』[C1962-40]の湯ヶ島のブックマークコメント

『しろばんば』の舞台は、大正のはじめの湯ヶ島である。映画を観て不思議に思ったのは、「温泉町」という雰囲気が全く感じられないことだった。共同湯に行くシーンはあるものの、それは川の中にぽつんとある住民のための場所である。「湯ヶ島ってこんなところなの?」というのが、まず最初の素朴な感想だった。

実際に行ってみた湯ヶ島は、川に沿って温泉宿が並ぶ、典型的な温泉町である。温泉街を撮ると現代的なものが写ってしまい、大正に見えなくなってしまうからなのだろうか。それとも、観光業に従事していないふつうの人にとっては、いわゆる温泉街は自分たちの日常とは関係のない場所なのだろうか。それにしても…と思う。温泉街や町の様子が映らないのは仕方がないとしても、なんといったらいいか、かもしだす雰囲気が、映画と実物とで全然違う。映画は1962年だから40年以上は経っているわけだが、湯ヶ島自体はそれほど大きな変化もなさそうだし、温泉街のそばにも自然のままのところはたくさんある。

上のエントリーにも書いたように、今年は「井上靖生誕百年」らしく、湯ヶ島は「『しろばんば』文学散歩」の舞台と化している。小説に出てくる場所には立て札やナンバー入りプレートが付けられ、町のあちこちに文学散歩の地図が貼ってある(明後日は文学散歩のイベントがあるようだ)。原作は読んでいないので、気になるのは実際の場所よりもロケ地なのだが、映画に関しては全く無視されていてなんの言及もない。ひとつの仮説として、映画はほとんど湯ヶ島以外で撮られているのではないかということが考えられる。そう考えると無視されているのも納得がいく。

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とはいっても、いくつかの場所は湯ヶ島で撮られているようだ。まずは天城神社(左写真)と西平神社(右写真)。天城神社はお祭りか何かのシーンでちらっと出るところ、西平神社は赤ちゃんを連れたさき子(芦川いづみ)と洪作が歌を歌いながら散歩に行くところ。西平神社のほうは、鳥居の位置が怪しいし、建物も替わっているのでここという確信はない。

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それから湯ケ島小学校(左写真)(公式)。ここも建て替えられているので確認できない。ただ、高さや太さは明らかに異なるが、入り口の門柱のようなものが似ていて、以前のものに似せて作られたのではないかという気もする。

映画の主要な舞台は、主人公・洪作の住む家と、その本家である「上の家」だ。「上の家」は現存している(右写真)が、映画のロケ地とはかなり異なる。洪作の家はすでになく、「しろばんばの碑」のある公園になっていた。大正時代の町を再現するのを避けるためだと思われるが、映画のなかでは農村のイメージが強かった。ロケ地はもっと田舎だと思われるが、農村の旧家とは家の構えが違っていたのでそのあたりも不思議である。

せんきちせんきち 2007/09/20 15:48 こんにちわ。白壁荘、10年程前に1度泊まりましたが、とりあえず巨木風呂と巨石風呂のポイントは高いですね。あと、若女将さんがとってもいい人だった記憶があります。

xiaogangxiaogang 2007/09/20 19:27 せんきちさん、こんにちは。巨木風呂と巨石風呂、たしかによかったですが、「湯ヶ島とどういう関係があるの?」という気もします。

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