30-09-2007 (Sun) ハレンチな熱気でムンムン
■[映画]『宇宙からのメッセージ Message from Space』(深作欣二)[C1978-28]
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超寒い雨の中、朝から渋谷へ。11時からの二本立てに備えて、10時過ぎにセガフレードでパニーニの昼ごはんを食べる。今日は、シネマヴェーラ渋谷の「妄執、異形の人々II」(公式)特集で、『異常性愛記録 ハレンチ』が上映される。目当てはもちろんこれだが、併映は『徳川一族の崩壊』。知らない映画だが、監督は山下耕作だし、よろきんは1本くらいしか観たことがない(錦之助ならもちろん多数ある)ので楽しみだし、「東映トンデモ史観」ってどんなだろうとか、こちらも期待していた。
ところが、フィルムの状態が悪くて上映に耐えられないとかで、『宇宙からのメッセージ』に変更されたと知ったのは数日前。「監督が深作欣二だから観るか」と思ったが、そもそもどんな映画か知らないので、昨日少し検索してみた。なんだか愛好家の方もいらっしゃるようだが、「登場人物紹介」を見ただけで憂鬱度倍増。「観たくない…」「憂鬱ねえ」とつぶやく私。でもタンバが出ているので観ることにした。11時から上映されるのは、その『宇宙からのメッセージ』(映画生活/goo映画)。憂鬱でも観ようと思った理由はもうひとつあって、それは二本立ての2本めから入って座れなかったら困るから。しかし初回の入りは六分程度で、結果的には2本めから入ってもよかったことになる。
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肝心の映画については、ほとんど書くことはない。おそろしくつまらない。特撮だとかメカだとかには興味がないので、そちらに関しては論評しないが、でもそれを除くとあとは何にもない。宇宙船や宇宙戦争の時代の話なのに、リアべの実(いいえ、それは胡桃です)のお告げとかのアナクロなストーリーに、ローマ時代か中世かという衣装、宇宙人は時代劇の言葉づかいで、地球人は日本語吹き替え調の言葉づかい(吹き替えの人がいるので、真田広之もそれに合わせてそんな言葉づかいをさせられている)など、妙なところがいろいろ目につく。
そんな細かいことをいう前に、そもそもドラマになっていない。こういうのはだいたい青年の成長物語になっているものだけれど、ここに出てくる若者たちはたいして成長しない。熱い友情や、あっと驚く裏切りのドラマがあるわけでもない(とってつけたようなのならある)。ロマンスもないに等しい。そもそも魅力的な登場人物がいない。平和を尊ぶメッセージが込められているわけでもなく、逆に戦いを正当化するような台詞ばかり出てくる(そういった台詞が浮いて聞こえて、右翼のプロパガンダみたいだ)。「ドラマなんていらない、アクションで見せるんだ」という考え方もあるけれど、アクションスターを取り揃えているわりにアクションの見せ場というのもないに等しい。
例によって地球連邦評議会議長とかを演じる丹波哲郎の出番は二度ほど。地球人の役で、銀塗りでなくてよかったが、たいしてインパクトもない。銀塗りといえば成田三樹夫。「成田三樹夫を銀塗りにするなんて」と憤慨したが、しかしよく引き受けたな、こんな役(一生の不覚だろう)。千葉真一、真田広之、志穂美悦子が揃いぶみしているのをみて、「そういえばこのころは彼らが嫌いだったな」といったことを思い出す。外国人俳優の存在意義も不明で(宇宙人も含めてみんな日本語を話してるんだし)、それより日本のスターを出したほうが集客力があったと思う。
本当なら「▼▼」(後悔している)マークをつけたいところだが、深作全制覇、タンバ全制覇のためには観なければならない作品なので、観た意義はあった、ということにしておく。
『スターウォーズ』ブームのなかで、「日本の『スターウォーズ』」を目指して作られたものなのかと思って観ていた。ところが『映画監督 深作欣二』[B1013](asin:489830155X)によると、『スターウォーズ』公開までに大急ぎで作って公開したパクリ映画らしい。深作がこれの前後に作った映画が、『柳生一族の陰謀』と『赤穂城断絶』というのもちょっとびっくり(しかもこの3本を1年で撮っている)。『柳生一族の陰謀』は前から観たくて、実は昨日観ようと思ったのだが、探していたら『顔役』が目についたのでそっちを観てしまった。やはり観ておくんだったと後悔。『赤穂城断絶』も劇場では観ていないので詳細は憶えていないが、これはかなりよかったはず。『宇宙からのメッセージ』なんか作っちゃって、深作の栄光も地に堕ちてもうおしまい、というわけではなかったようだ。『柳生一族の陰謀』、『赤穂城断絶』とも、近いうちに観てみようと思う。
■[映画]『異常性愛記録 ハレンチ』(石井輝男)[C1969-26]
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2本めまでに40分以上時間があり、読書しているあいだにどんどん人が増えてほぼ満席に。外の寒さを忘れるほど熱気につつまれて始まった『異常性愛記録 ハレンチ』(映画生活/goo映画)。レイトショーやオールナイトでしか上映されていなかったので、待ちに待った上映だ。途中までDVD-Rで観て、そのまま中断していたが、やはりこれは大きいスクリーンで観るべき映画だろう。
映画は、変態+ストーカー+だめんずな男、深畑(若杉英二)との腐れ縁を断ち切れない女、典子(橘ますみ)が、さんざん酷い目にあわされた挙句、爽やかで紳士な男、吉岡(吉田輝雄)と幸せになる、というお話。だけど、吉田輝雄が橘ますみを地獄から助け出してあげる話でも、橘ますみが自力で地獄から抜け出す話でもなくて、観終わってみれば若杉英二がひとりで暴走して自滅する話なのだった。
「しあわせっ」、「愛してるんだよぉん」、「寂しいんだよぉ」が口癖で、時々二重人格的にふてぶてしくなる若杉英二の快演がこの映画のいちばんの見どころ。ヒロインの橘ますみがかわいくて、虐められ役が似合う顔なのもポイントが大きい。さらに、彼女を助けるのが、単にただ二枚目なだけの知らない俳優ではなく、れっきとした二枚目スター(だった)吉田輝雄というのもはずせない。橘ますみが前の男と切れられなくても、果ては性病に罹ろうとも、決して彼女を棄てないところにこれだけ説得力があるのは彼ならではである。『宇宙からのメッセージ』よりも、『秋刀魚の味』と二本立てで上映していただきたい映画である。
若杉英二に何かされるたびに、橘ますみの記憶ボタンのスイッチが入って、関連するできごとが回想されるのがおもしろかった。回想シーンを使うというのは安易な手法だけど、回数がかなり多い。想起されるシーンがいつのことかは正確にはわからないので、結果として時間構造が複雑になっている。舞台が京都で若杉英二が老舗の跡取りというのも、閉塞感を感じさせて物語のネチっこさにも合っているし、作品の格調を高めている…ような気がする。橘ますみ相手でなしに若杉英二のヘンタイぶりが延々と示されるあたりは、少ししつこくて飽きた。若杉英二が、変態ではあっても「結婚」や「一途さ」をエサにするただのずるい男なのも、結局ふつうの男に見えてしまってちょっと残念な気がする。
必見の快作であることは間違いないが、「それじゃあこの映画が好きか」と問われるとちょっと困る。「いつもそばに置いていつでも流しておきたいか」(これが私が映画を評価する基準なのだが)と問われるともっと困る。でもしばらくしたらまた観てみたくなるかもしれないし、どうせ次に京都へ行くときには観るだろう。
観終わって外に出ると、みなさんは橘ますみのパンツの柄などについて熱く語っていた。私たちはドゥ・マゴへ。昼ごはんが10時だったからおなかがすいていていいはずなのに、ぜんぜんすいていない。そんなにおなかいっぱいな映画だったのか。ホット・チョコレートをすすりながら、今日観た映画について熱く語った、わけではなく、脱力して呆然としていた。今の感想としては、ふつうの映画が観たい。
リネン
2007/10/01 22:35
こんにちは。昨日同じ11時からの回で見ておりました。『宇宙からのメッセージ』、拷問でした。『柳生一族の陰謀』は『宇宙からのメッセージ』と同じノリの作品だと思います(『柳生一族の陰謀』の方がかなりマシなのですが)。『柳生一族』の成田三樹夫は『宇宙からの』以上にすごいことになっております。
xiaogang
2007/10/03 00:01
リネンさん、こんにちは。こういう映画はふだん観ないので、拷問というよりお口あんぐりでした。ハリウッド超大作とかのほうがたぶん拷問です。『柳生一族の陰謀』、これだけきいたらもう観ないわけにはいかない。楽しみです。