バンガロールに来ちゃったの(実録亞細亞とキネマと旅鴉) このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

09-03-2008 (Sun) 演歌からゴスペルへ

[]『I'LL CALL YOU(得琉茶)』(林子聰)[C2005-52] 『I'LL CALL YOU(得琉茶)』(林子聰)[C2005-52]を含むブックマーク 『I'LL CALL YOU(得琉茶)』(林子聰)[C2005-52]のブックマークコメント

劉徳華(アンディ・ラウ)が関わったFOCUS: First Cutsプロジェクトで作られた6本の映画が、「アジア新星流」(公式)というタイトルで、シネマート六本木で公開されている。いずれも以前東京国際映画祭で上映されたものだが、そのときに観られなかった林子聰(ラム・ジーチョン)監督の『I'LL CALL YOU』観に行く。実は『LOVE STORY』も観ておらず、しかもシンガポール映画は必ず観る主義なのだが、スケジュールが合わず断念。東京国際での評判はすこぶる悪かったからまあいいか。

『I'LL CALL YOU』は、冒頭、女の子たちが男の品定めをしていて、不合格となった男たちが爆発(?)して消えていくのを観て、間違った選択をしてしまった感にとらわれる。その予感は的中した。わたしは、特殊効果やアニメを使った映画、ゲームっぽかったり漫画っぽかったりする映画、想像や心情などが可視化されたりするリアルでない映画が嫌いだ。この映画はまさしくそういう映画。観る前はてっきりソフィスティケイテッド・コメディなのかと思っていた。

あまりモテない男三人組の一人である主人公(方力申/アレックス・フォン)が、タレントのはしくれの女王様系女子(梁慧嘉/ビアン・リアン)に振り回されるというお話。原題の‘得琉茶’は、直訳すればたぶん「暇があったらお茶でも」という意味だが、実際の意味は英題にあるように「また連絡するよ」ということである。方力申は毎夜三人組で街に出て、飽きずに百威(バドワイザー)を飲んでいるのだが、梁慧嘉から連絡があると友人に‘得琉茶’と言ってはいそいそと出かけ、梁慧嘉には‘得琉茶’と言われてていよく追い払われる…といった内容。こういったタイトルのつけ方、使い方はうまいと思うのだが、日本語で「連絡するよ」といったストレートな表現になってしまうと、それがあまり効いてこない。

ゲスト出演の劉徳華はちょいと出すぎ。笑えたけれど、『マッスルモンク』を観ていないからイマイチか。王家衛(ウォン・カーウァイ)のパロディと思しき看守役も、ちょっと工夫が足りない。

劇中で歌われ、エンディング・テーマにもなっている香港製日本語演歌“死狗”が、観終わったあと頭から離れなくて困った。

[]『RAIN DOGS(太陽雨)』(何宇恆)[C2006-15] 『RAIN DOGS(太陽雨)』(何宇恆)[C2006-15]を含むブックマーク 『RAIN DOGS(太陽雨)』(何宇恆)[C2006-15]のブックマークコメント

次まで間があるのでいったん銀座に脱出。Meal MUJIで昼ごはんを食べたり(ワンパターン)、買い物をしたり、マキアートをすすったりしてからふたたびシネマート六本木。2本目の『RAIN DOGS』は東京国際映画祭で観た(id:xiaogang:20061026#p3)し、香港版DVDも持っている(id:xiaogang:20070615#p1)が、J先生に観させるためにまた観に来た。先週同様、あらかじめいいとわかっているものを観に行くのは楽しい。前の映画が少々アレでも、余裕をもっていられる。香港版のパンフレット(なぜ英語?)をもらえたのもうれしかった。

終盤の木洩れ日のシーンが美しいのは、もちろんそれ自体の魅力も大きいのだが、これがほとんど唯一の晴れのシーンだからということもあるのではないかと気づいた。多くのシーンで雨が降っていて、降っていなくても今にも降りだしそうな、雨を含んだ曇天。しかしだからといって陰気で重苦しいかというとそうでもない。この独特の空気感が熱帯だと思う。今回はまた、風も気になった。クアラルンプールのアパートの窓の向こうでわさわさと風にそよいでいる木々や、風にはためく色とりどりの布。ああ、マレーシアに行きたいなあ(結局これだ)。

そういうわけで、この映画の舞台・ロケ地はどこなのかが気になる。おじさんは国境で密輸をしているらしいので、タイ国境からそれほど離れていないだろう。主人公が、(少なくともその前のクアラルンプールに比べて)おじさんの家をわりと簡単に訪ねていることから、主人公の家とおじさんの家との間もそれほど遠くないと思われる。そうするとおじさんの家も主人公の家も北マレーシア。というところまで推測しても、どちらも小さな町だし、そう簡単にわかりそうにない。でも行ってみたい。

突然控えめに鳴り出すシンプルな音楽も印象的だが、主題歌的に使われれている『時には母のない子のように』もとてもよかった。観終わって、頭の中の歌はすっかり『時には母のない子のように』に変わったのでひと安心。この曲を入手せねば。

こんないい映画を観に来ている人が10人くらいしかいないなんてひどすぎる。何宇恆(ホー・ユーハン)監督は、間違いなく21世紀の映画界を担う重要な人なのに、シネフィルはいったい何をしているのか。

晩ごはんはもちろんとんき。3月1日から値上がりして、ビールも中びんになってしまったけれど、とりあえずとんかつの大きさは据置きのようだ。

ぐりぐり 2008/03/14 15:11 ごぶさたです。
この2本、2週間前に観たんですがどうしてもレビューを書く気になれず放置してました。
『I’LL CALL YOU』の方は私も失敗したなと思いましたね。ときどき映画が表現方法ではなく、映画という仕事=目的化した駄作ってありますけど、これなんかもろにそうじゃないですか?ラストも思いっきり尻キレだし。

『RAIN DOGS』は個人的には好きですが、もっと元気な時に観ればよかったですね(笑)。
ストーリーの背景、とくにマレーシアという国をよく知らない不勉強な私にはちとキツかったです。

xiaogangxiaogang 2008/03/16 05:27 ぐりさん、こんにちは。
『I’LL CALL YOU』のラストは、わたしはこの映画の中では比較的よかったと思いました。
『RAIN DOGS』は、繰り返しの鑑賞に堪える、観るたびに発見があるような映画だと思うので、ぜひ体調のいいときにまた観てほしいです(そういう機会があるといいのですが)。ストーリーは普遍的なものなので、背景知識があればあるなりに、なければないなりに楽しめるのではないかと思います。