16-11-2008 (Sun) ラピュタ満喫
■[映画]『江戸川乱歩の陰獣』(加藤泰)[C1977-14]
![『江戸川乱歩の陰獣』(加藤泰)[C1977-14]のブックマークコメント 『江戸川乱歩の陰獣』(加藤泰)[C1977-14]のブックマークコメント](http://r.hatena.ne.jp/images/popup.gif)
朝からラピュタ阿佐ヶ谷へ。モーニングショーの「昭和の銀幕に輝くヒロイン」は香山美子。彼女には特に興味がないが、今日からのプログラムは、再見したいと思い続けていた加藤泰監督『江戸川乱歩の陰獣』。これは行かねばならない。映画館で観るのは17年ぶりの三度め。録画のDVD-Rがうちにあると思い込んでいて、去年『呉清源 極みの棋譜』[C2006-42]が公開されるとき、「碁の映画といえばやっぱ『陰獣』だよね」と思って予習に観ようとしたら(予習にはならんって)、なくて愕然とした。一年かかって望みがかなうわけだが、なんとDVDも発売されるらしい。買うべきか当面買わなくてもいいか思案中。
- 出版社/メーカー: SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)
- 発売日: 2009/01/28
- メディア: DVD
- クリック: 86回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
タイトルから明らかなように、江戸川乱歩の『陰獣』の映画化である。加藤泰の映画のなかでは突出した作品ではないと思うが、時々観たくなるのでやはりそれなりの吸引力があるのだろう。多少つくりものっぽい感じも否めないが、戦前のレトロで陰鬱な空気がいいのだ。それはそのまま、乱歩の小説の空気感でもある。『君恋し』が使われているのもイメージにぴったり。
一方、この映画の何がいけないかといえば配役である。特に主役。あおい輝彦と香山美子。子供のころから大嫌いだったあおい輝彦。体格がよすぎる。暑苦しすぎる。正しい推理にたどり着きながらも香山美子に溺れてしまうのだが、相反する感情に苦悩するといった感じはぜんぜんなく、理屈っぽくて騒々しい。原作はどうだったか忘れたが、SMにももう少し溺れてほしい。もっとマシな人材がいなかったのか?
香山美子は別に嫌いではないが、特に好きでもないので、彼女がヒロインといわれてもときめかない。しかし実際のところ、彼女はかなりよくやっている。ほくろもエロいし、乳首も気前よく出し、SMシーンも熱演している。でもこの役は若尾文子にやってほしい。だって、寒川(あおい輝彦)が真面目くさって論理に走っている横で、静子(香山美子)は勝手に官能に走ってくねくねしているのだから。これは若尾ちゃんしかないでしょう。
去年から観たかったシーン、すなわち碁を打つ音が次第に鞭の音に変わっていくところは、何度観ても異色の名シーン。そこにいる人が、大友柳太朗、仲谷昇、野際陽子というのがまた怪しすぎる。『呉清源 極みの棋譜』と二本立てで上映したら粋だと思う。
■[食]山猫軒のランチ

久しぶりのラピュタ阿佐ヶ谷なので、昼ごはんは当然山猫軒(公式)である。J先生はMenu A、わたしはデザートに目が眩んでMenu B。プチデザートと、選択可能なふつうサイズのデザートとで600円の違いがあるのは、ちょいと差が大きすぎる気がする。
前菜は、わたしが戻りカツオ(左写真)で、J先生が生ハムとマンゴーとルッコラのサラダ。メインはふたりとも豚ロースの網焼き。わたしが選んだデザートは焼きりんご(右写真)。いつも同じようなものを食べているが、とてもおいしかった。
■[映画]『続花と龍 洞海湾の決斗』(山下耕作)[C1966-43]
![『続花と龍 洞海湾の決斗』(山下耕作)[C1966-43]のブックマークコメント 『続花と龍 洞海湾の決斗』(山下耕作)[C1966-43]のブックマークコメント](http://r.hatena.ne.jp/images/popup.gif)
豪華昼食のあとも、引き続きラピュタ阿佐ヶ谷。現在の特集は「山下耕作ノ世界」。うれしい特集だが、大好きな『博奕打ち いのち札』[C1971-19]も、再見したいのに東映チャンネルでもやってくれない『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』[C1975-11]もやらないのが不満だ。
今日観るのは『続花と龍 洞海湾の決斗』。その前の『花と龍』も観ていないのに今回の特集にはなく、「なぜ「続」だけ?」と思うが、まあしかたがない。最初にこれまでのあらすじが流れるが、かなり原作に忠実な印象。本編も、無理やり仁侠映画的な筋立てにまとめていたマキノ雅弘の『日本俠客伝 花と龍』[C1969-27]とは違い、かなり原作に忠実。金五郎とマンが若松に移り、石炭荷役を請け負う一家を構えるところから小頭の組合を作るところまで、話としてはまとまっている。しかし原作(『花と龍 (上)(下)』[B1279-上][B1279-下])を読んでしまったのも災いしてか、ダイジェスト版っぽい印象をぬぐえない。やっぱりマキノ版がいい。
主人公の玉井金五郎を演じるのは中村錦之助。なかなかがんばっているし、錦ちゃんの金五郎も悪くないのだが、どっち取るかって言やぁ、やっぱり健さんのほうだな。錦ちゃんは、女々しいクサい台詞をウジウジ呟いてるか、あるいはキメ台詞を叫んでいるか、いずれにしても一匹狼で、集団のリーダー的存在はいまひとつ似合わない気がする。
この映画の問題は、中村錦之助以外、ロクな俳優が出ていないということだ。敵役が佐藤慶なのはまあいいけれど、子分は知らないような人ばっかりだし、マンは佐久間良子だし、いちばんひどいのはお京。淡路恵子。「淡路恵子かよー」と叫びそうになったが、案の定、出番は少ない。吉田磯吉が月形龍之介なのはちょっと期待したが、これがまたぱっとしない。出てきただけで画面が引き締まるみたいな存在感を期待したのにぜんぜんそんなことはなく、説明的な台詞を早口でしゃべるのでがっかり。原作では、金五郎と吉田磯吉親分との関係や、お互いが抱いている感情はかなり複雑だが、映画での吉田磯吉はかなりいい人。『日本俠客伝 花と龍』もそうだった。原作が出た時点で、たしか子孫はカタギとのことだったと思うが、悪く描きにくい事情でもあるのだろうか。

