25-11-2009 (Wed) 第10回東京フィルメックス第五日(参加四日め)
■[映画]『團栗と椎の實』(清水宏)[C1941-S]
![『團栗と椎の實』(清水宏)[C1941-S]のブックマークコメント 『團栗と椎の實』(清水宏)[C1941-S]のブックマークコメント](http://r.hatena.ne.jp/images/popup.gif)
今日も昼ごはんを食べてから出京。今日は東劇でのニッポン★モダン1930を1プログラムのみ。清水宏監督の『團栗と椎の實』と『花形選手』の2本立て。大山健二特集なので、J先生も午後半休を取って参戦。
1本めは短篇の『團栗と椎の實』。超レアな作品なので、当然これがメインだと思っていたが、どうやら添え物らしい。わたしにとっては今年のフィルメックスの目玉のひとつだ。
タイトルの『團栗と椎の實』というのは子供を木の実に例えたもので、東京から来たひ弱な主人公・秋雄(大塚紀男)が椎の実。田舎のたくましい子供たちが團栗。大山健二、若水絹子夫妻の養子になって田舎にやって来た秋雄は、細い橋を渡ったり木に登ったりする田舎の遊びについていけずにさんざんウジウジしていたが、木登りを克服したとたん、ガキ大将になってしまうというたわいもないお話。
田舎の子供たちの大将は爆弾小僧(横山準)。どう見ても爆弾小僧がいちばん東京の子供に見えるけれど、いちばん背が高い(おそらく年も上なのだろう)のでそんなに違和感はない。いつものわざとらしい大泣きも披露。最後の仲直りシーンがかわいらしくていい。
29分のうちのかなりの部分は、子供たちが学校から帰るところ、遊びに行くところなどの移動シーンで、もう観ているだけで幸せ。いい感じに橋が配置されたロケ地も美しく、このままずっと観ていたいと思わせる幸福感あふれる映画。いろんなところで『冬冬の夏休み(冬冬的假期)』[C1984-35]を彷彿させる映画でもある。
大山健二は上述のように養父役。わたしの定義では、大山健二は常に学生であり、寝るか食べるか以外しちゃいけないので、お父さん役は反則である。お忙しいお仕事がおありになるそのさなか、大山健二のためにわざわざ来たJ先生も、さぞがっかりしたことだろう。ちなみにこのお父さん、子供が学校から帰ってくるといつも家にいるが、地主で働かなくてもいいご身分なのか?(いいなあ)
■[映画]『花形選手』(清水宏)[C1937-14]
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続いて2本めは『花形選手』。佐野周二と笠智衆は陸上部のライバルでラブラブの仲。いっしょに行軍演習に出かけるが、宿泊先で佐野周二と門附の女・坪内美子がいちゃいちゃしていたため、嫉妬に狂った笠智衆は佐野周二を殴る。佐野周二はそれで目が覚め、ふたりはふたたびラブラブに、というお話……ではない、もちろん。
これを観るのは7年ぶり2回めで、前回も思ったけれどやはりわたしはこの映画が苦手である。まず第一に、この映画のクライマックス、佐野周二が坪内美子といっしょにいるところを見つかって隊長の大山健二に怒られ、笠智衆に殴られる、というシーンがイヤだ。佐野周二が黙って言われるがままになっているのは坪内美子をかばってのことだと思うが、笠智衆はいったいなぜ、しかも何の権利があって殴るのか。笠智衆:「俺がどうして殴ったか、わかってくれるね」。わかりません(司葉子の声で)。佐野周二:「ありがとう」。なんで? このシーンがどうにも後味が悪く、それを解消するには上述のように解釈するほかはない。
第二に、行軍演習で学生たちが歩くシーンがえんえんと続くにもかかわらず、どうもおもしろくないし、幸福感もない。それはなぜか。おそらく軍がらみだからだと思う。何か言われたのか自主規制なのか知らないが、あんまりおちゃらけてはいけないという感じで、ユーモアも中途半端でさえない。さらに、行軍は隊長を先頭に行われていて、その隊長が上述のように大山健二なのだ。前項にも書いたように、大山健二は寝るか食べるか以外しちゃいけないはずなのに、ずっとまじめくさった顔をしている隊長なのだ。おもしろいはずがない。
それに、若き笠智衆がキモチわるい(ごめんなさい)。日守新一や近衛敏明もさえないし、最後の陸上部姿はキモチわるい。また、「勝てばいい」というような、スポーツマンシップに則れば否定されるべきテーマも、戦争とからめてあるため、最後まで肯定される。
『團栗と椎の實』がいつまでも終わらないでほしいと思われたのと対照的に、この『花形選手』は64分しかないにもかかわらずものすごく長く感じられ、早く終わってほしいと思う映画だった。

