087 Bell-lloc 漆黒のコントラスト③

カタルーニャ北部の海岸線はCosta Bravaと呼ばれるリゾート地である。
普段Olotという山奥の街にいるため気づかないが、本来は「温暖なカタルーニャ」といったらこちらのイメージが強いだろうし、自分がもともと抱いていたイメージもそっちだった。

Bell-llocを観た後、近くの海岸線に立ち寄った。


海の公園におかれたオブジェもなかなか洒落ている。
この街の名前すら分からずじまいだったが、国境も近いためフランス人もまばらにいた。


公園から、気になる集落が見え、行ってみようと言うことになった。


船着き場があり、ボートがあり、数軒の家だけが並ぶ。
昔、絵本の物語に出てきたような、そんな風景だった。


ちょうど老人が一人出てきたので挨拶をした。
そしてしばらく話をした。
驚いたことに、その人はかつてBell-llocの建設技術者として働いていたそうだ。
この集落は夏の間だけの別荘で、隣接する別荘主たちとは旧知の仲とのこと。


ちなみに、海岸のこんなに近くに家を建てるのは、スペインでも現在違法のようだ。
これらの別荘はそういう法律になる前から建っていたので、特別に許されているのだという。


海の音で目覚め、気の向くままにボート遊びをし、夜は海沿いのハンモックでワインを飲みながら日が暮れるのを眺める。
そんな生活がそこにはあった。