Campaign_Otaku RSSフィード

2015-02-02

スーパーボール2015 人気CM TOP10

f:id:y_sequi:20150123162007j:image

Patriotsの劇的な逆転勝利で終わったSuperBowl2015。CMランキングの方はSuperBowlらしいエンタテインメント作品だけではなく、近年のストーリーテリングの傾向通り、SadvertisingやFemvertisingがランキングしている。早速、発表されたばかりの"USA Today Ad Meter"の結果を見てみよう。

1.Budweiser, “Lost Dog”

昨年空前の大ヒットを記録した"Puppy Love"の続編。今回はあの子犬が迷子になり、親友の馬が助けに行くというわかりやすい続編の作り方だ。

D

因みに昨年の"Puppy Love"。

D

2.Always, “Like a Girl”

昨夏、超絶ヒットを記録したヴァイラルビデオ“Like a Girl”を30秒に再編集してオンエア。大人の女性や少年に"女の子らしく走って""女の子らしく投げて""女の子らしく喧嘩して"と要求すると、みんな同じように振る舞う。次いで女の子に同じ質問を投げかけると、全く違う、ありのままの自分を表現する動きをする。

このビデオが問題にしているのは"女の子らしい"というステレオタイプに大人がはめようとするあまり、彼女たちは萎縮し、やがて自分らしさを失ってしまう...というポイント。Always(生理用品)は、そういった部分に疑問を投げかけている。

D

3. Fiat, “Blue Pill”

嫁の招きに応えるべく爺さんがバイアグラを飲もうとするが...。これぞSuperBowl CM。欧州車らしいムードもあって良いです。Fiatのランクインって初めてでは無いか?

D

4. Microsoft, “Braylon”

Microsoftのテクノロジーが生まれながらにして両足に障害を持つ子供を救うというSadvertising。Microsoftの上位ランク入りも珍しいです。SuperBowlにおける、こういった涙の物語への人気の傾斜は時代の変化を感じずにいられません。

D

5. Doritos, “Middle Seat”

トップ争い常連のDoritosが5位。勿論、この作品はユーザージェネレーテッド。自分の隣の席に人を座らせない奴は、当然報いを受ける。(Doritosという至福のスナックを子供に食べられてしまう)

D

6. Dodge, “Wisdom”

"目を開けて、時々黙るんだ""文句を言うな""二の足を踏むな"...結構説教臭い内容。語っているのは皆100才以上の老人で、その経験から語っている。そして、Dodge創業100年の歴史から多くを学んでいる。これが6位...。

D

7. Toyota, “My Bold Dad”

トヨタのTOP10もお初かも。父親の強さと優しさ...家族の価値を伝えるCM、最近多い。これまで散々個人主義を主張し、一家に一台から一人一台へと推進することで家族を崩壊させてきた自動車ブランドのこの手のメッセージには違和感感じずにはいられない。

D

8. Coca-Cola, “Make It Happy

ソーシャルブリング(虐め)が横行する中、あるサーバー管理者が、Coca-Colaをサーバーに零すと、ネットワークにCoca-Colaが流れ、みんなをハッピーにするというCoca-Colaらしい社会問題へのコミットをプッシュする物語。

D

9. Nissan, “With Dad”

レーサーとしてのキャリアか家族か...その狭間でもがく1人のレーサー。そして、後者を選択。

D

10. Doritos, “When Pigs Fly”

豚が空を飛べばDoritosあげるよ!...という男の言葉にのって、豚を飛ばせるキッド。今年のDoritosはランキング的に低調でした。CMのクオリティというより、時代の要請が変わったという感じです。

D

2015-01-23

SuperBowlのティザーでGIFデータをばらまく

f:id:y_sequi:20150123161736p:image

昨年のSuperBowlでメガヒットを記録したBudweiserのTVCM"Puppy Love"。心温まる子犬と馬の友情物語だ。ここ数年SuperBowlでは犬猫を中心とした動物をキャスティングし、好感度を獲得する傾向が強いが、これはその中で最も成功した作品と言える。YouTubeで既に5,500万回以上視聴されている。

D

そしてSuperBowl2015ではその続編"Lost Dog"が公開される予定で、そのティザーとしてGIFとJPEGデータが公開された。"Lost Dog"だけにいずれも物悲しさ全開だ。

f:id:y_sequi:20150123161908g:image

f:id:y_sequi:20150123161840g:image

f:id:y_sequi:20150123161809g:image

f:id:y_sequi:20150123162013j:image

f:id:y_sequi:20150123162009j:image

f:id:y_sequi:20150123162008j:image

f:id:y_sequi:20150123162007j:image

f:id:y_sequi:20150123162006j:image

SuperBowlスポンサーは1週間程度前から本編あるいは予告編をオンラインで公開し、SuperBowl当日までに一旦話題を作って、SuperBowlをきっかけに一気にマジョリティ層に広げていく戦略が定着しているが、そのためにGIFデータを公開するという作戦は、お初ではないか。"Lost Dog"だけに、迷子の犬を探すWebチラシ的イメージだろうか。本編楽しみです。

※追記:そして本編がリリースされた。

D

2015-01-05

言いづらいことが言えるビール

f:id:y_sequi:20150105220314j:image

商品のパッケージや包装紙にQR-codeをプリントし、専用Appでスキャン。プレゼントの相手に音声メッセージやビデオメッセージを登録し、受取人がQR-codeを通じてそのメッセージを受け取る。そんな時のメッセージって"Hi Mom! I love you so much! This is..."みたいなよくある愛情表現だったりするんだけど、Andes Beer(アルゼンチン)が推奨するメッセージは一味違う。

"It's easier to say it with an Andes"(Andes Beerがあれば、言いづらいことも言える)というタグラインを象徴するように "I only married you to get citizenship"(市民権を得るために君と結婚したんだ)とか"I've been stealing your wifi for a year"(この1年ずっとWiFiの電波無断で使ってました)など比較的破天荒なメッセージのために使って欲しいとのことだ。

D

オンエア中のTVCでも"母親が息子の親友と6年前から愛し合っている"ことを告白するというペタジーニ(元巨人・ヤクルト)みたいな話。

D

このAndes Beerは首尾一貫してこの破天荒なノリを継続しており、2010年にはBarでの男友達との時間を楽しむために、彼女や嫁に対して嘘のアリバイをつくるためのマシン"Teletransporter"を開発し、Cannes Lionsでグランプリを受賞した。

D

このApp、ユーザーに遊ばれることを狙っていると思うのですが、物語を語るのではなく、ユーザー自身に物語をつくってもらうというストーリーテリングの発展系の仕組みになっているのが、今っぽいです。

2014-08-18

広告賞以外の広告に与えられる賞...エミー賞

f:id:y_sequi:20140818154023j:image

週末に開催されたエミー賞で"Outstanding Commercial"が発表された。Cannes Lions, One Show, CLIO...etc 広告業界には色々と賞レースがあるけど、業界の事情や業界内だけのトレンドが反映された賞でもあり、一般的とは言えないだけに、TVCMに限定されているとはいえ、業界外のこういった賞の受賞こそ、価値が大きいのかも知れない。

この名誉ある賞を受賞したのは...

Misunderstood(Apple)

D

昨年のホリデイシーズン前に公開されたこのTVCMは僕も大好きな作品です。家族が続々と集まってきているというのに、いつもスマートフォンばかり触っている少年。家族は少々困った奴だなぁ、という感じ。でも、夜のパーティの時間にその理由がわかる。彼は、家族のクリスマスビデオをつくっていたのだ。まさにMisunderstood=勘違いだった訳だ。

スマートフォン中毒が世に蔓延し、飛交う批判に対するAppleの反撃だったかも知れません。あるいは、Appleはクリエーティブマインドのためにある!ってことかも。カンヌライオンズ2014でこの作品はシルバーだったので、溜飲を下げたことでしょう。

その他、ノミネート4作品です。

Hero's Welcome(Budweiser)

D

スーパーボール2014でオンエアされた帰還兵に敬意を表すCM。このテーマはBudの十八番ですが、いつ見てもうるっと来ます。国を守ってくれている人の存在の大きさを感じます。

Puppy Love(Budweiser)

D

同じくスーパーボール2014でオンエアされたTVCMで、No.1の呼び声が高かった馬と犬の友情物語を描いた作品。

Childlike Imagination(GE)

D

GEで働く母の娘が母の仕事について語る。GEが女性を積極的に雇用する多様性のある企業であることをアピール。

Possibilities(Nike)

D

二の足を踏んでいる奴等に"できるんだぜ!""踏み込もうぜ!"と背中を押す。

ノミネートが全部で5つ。内受賞作は1つ。賞の価値を維持する意味でも、カンヌライオンズもこのぐらいのボリュームが良いのではないか?

2014-07-28

広告業界に急増する「ストーリーテラー」という肩書き

f:id:y_sequi:20140724193503j:image

去年・今年とカンヌライオンズで語られまくった"ストーリーテリング"について興味深い記事が"Creative Review"に掲載されていた。

Stefan Sagmeister(Sagmeister & Walsh/パートナー)は最近、クリエーティブ界隈で自らを「ストーリーテラー」と名乗る流行を「糞だ」と激しく切り捨てている。それは"Camp festival in Calgary"(9/8-9)を主催するFITCのインタビューでのことであり、かなり挑発的な感じだ。※"Camp festival in Calgary"(テクノロジー、アート、デザインのイベント)のそのプロモーションとして大袈裟に言っているように思うが...結構茶番多いので)

このビデオがポストされたVimeoのコメント欄には、特に「小説家や脚本家のみがストーリーテラーだ」とのSagmeisterの発言に対する否定的コメントが書き込まれている。

f:id:y_sequi:20140728082843p:image

コメントの主張としては、ストーリーテリングはそんな狭い範囲のことではない、とのこと。一方、Sagmeisterの主張はストーリーテリングが広告・マーケティング業界が商売をしやすくするためにねつ造されたトレンドに過ぎないということだ。今年のカンヌライオンズの多くのセッションでストーリーテリングは語られていた。まるで驚くべき発見であるかのように。でも、これは昔からあったことで、言葉を変えただけなんだ、と。

恐らく業界リーダーの何人かはストーリーテリングというトレンドを求めている。Mainardo De Nardis (OMD)によると「ストーリーテリングはコンテンツをクリエーションし、様々なプラットフォームを通じて適正なユーザーに配信するキャパシティである。それは二年前に"インテグレーテッド"と呼んでいなかったか?」

そして、こう付け加えている。「ストーリーテリングなしでは私たちは30秒スポット提案の時代に戻ってしまう。それは、私たちがより良いエンゲージメントのために求めていることではない。」

D

カンヌライオンズで今年話題になったジャン・クロード・ヴァンダムの印象的な語りから始まるVolvo Truck"Epic Split"。これなんて、伝説のキャンペーン"Solvite"と同じじゃないか?

D

D

ストーリーテリングは過去の偉大なキャンペーンにとっても心臓部でもある。このVWの"Snow Plow"がストーリーを語っていないとしたら何だ?

D

BBHのLevi'sのキャンペーンなんて、製品固有の特徴をうまくストーリーに昇華させている。

D

今や私たちにはより長い尺でブランドやユーザー、コミュニティについて語ることができる。

※Stella Artois(ビアブランド)がウィンブルドンテニスを支える人や技術を紹介するビデオシリーズを展開。これは、決勝当日、優勝トロフィに勝者の名前を刻むためだけにポーランドから車と船で遠路はるばるやってくる職人の物語)

D

タブレットのような新しくパワフルなツールを使ってストーリーを語ることができる。

ストーリーテリングは広告業界にとって普遍的なものであるが、だからといって私たちはストーリーテラーではない。

冒頭のフィルムでSagmeisterは自分自身をストーリーテラーと名乗るクリエーターを"ローラーコースターデザイナー(自分たちを飾ることばかりする奴ら)"として揶揄している。広告業界はより複雑になるコミュニケーションの中で自分たちの役割を探している。データギークやアルゴリズムには提供できない自分たちのポジションをつくりたくて、ストーリーテラーに飛びついているだけだ...と語っている。

勿論、担当しているブランドや企業を力強いストーリーと共に語り、生活者の意識をポジティブにすることは相変わらず素晴らしい。しかし、私たちは今やたくさんのストーリーテリングの方法を知っているし、新たな発明的に語るのはおかしくないか?

(via Creative Review)

業界の流行語をつくり、権威を与え、エージェンシーやクリエーターに武器を授ける...というのはカンヌライオンズの役割だし、クリエーターが「ストーリーテラー」と呼びたい気持ちも分からないでもない。ファッション業界が流行の色や柄をつくって、生活者を巻き込んでいく手法とそう変わらないのではないかと思います。