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2010-05-31

私はこうやって進学先の研究室を決めました

なぜこの文章を書こうと思ったか

最近大学院入試の出願を控えて進路について迷ってる人をWebのいろんなところで見かける割に、Webでこういう問題について扱っているページをあまり見ないからです。

5月〜6月というのは翌年4月に大学院に進学したい人が志望先を決めるシーズンであり、昔自分も迷った経験があるので、こうして書くことでだれかの参考になればいいと思いました。

結論

私が実際に大学院に進学して4年ほど経ち、自分でいろいろ体験したり見聞きしたりした上での現段階での結論は、

進学先を選ぶにあたって、どこで最先端の研究をやっているかを知るには、自分が関心がある研究分野に実際に携わっている研究者に聞くのが一番いい

ということです。研究者は、自分が取り組んでいる研究分野の最近のトピックがどの研究コミュニティによって取り組まれてきたかを、大体は調査し把握しているはずだからです。

もし幸運にも自分の人脈の範囲にそのような話を聞ける人がいるなら、3人ぐらいに話を聞いてそれらの話を統合して進学先を決めるのが、結果的に正確な選択ができそうです。

私(id:y_yanbe)が2005年5月ごろに進学先の大学院を決めるにあたって実践した方法

しかし一般的な学部4年生の段階で上記のような話を聞ける人脈があるかというと、個々人の置かれている環境にもよりますが、多くの場合難しいのではないかと思います。少なくとも2005年当時の私には(リアルでもネットでも)そういう人脈はありませんでした。また、進学先の決定という、向こう2年なり5年の自分の環境を左右する決断において、人の話を鵜呑みにするのはリスクが大きいです。そこで私は、以下の方法で自分なりに調査を行った上で進学先を決めました。

0. そもそもなぜ大学院進学にあたって大学を移ろうと思ったか

私がやりたいと思っていた研究分野(Webマイニング)をとくに扱っている研究室が、学部の時に所属していた大学にも、実家から通える範囲にある別の大学にもなかったからです。

この段階で大学院からは実家を出て一人暮らしをすることが決まり、同時に、進学先の選択肢が日本全国の大学院の研究室に広がりました。つまり

日本全国の大学の研究室から、自分がやりたい研究に取り組むにあたってもっとも適した研究室を発見する

という、探索空間が広くてかつ評価関数自明でない問題に取り組むことになりました*1。そこで当時は、可能な限り探索範囲を広げてみるアプローチをとることにしました。

1. 関連する学会論文誌を読みあさる

まず自分がやりたいと思っている研究がいったい日本のどの大学のどの研究室で取り組まれているのかを知りたかったので、大学の付属図書館にこもって自分の研究に関係ありそうだった情報処理学会人工知能学会、電子情報通信学会の各論文誌の過去5年分にひととおり目を通しました。また一部の研究会等で発表された論文に関しては研究会のWebサイトなどで無償で公開されていたので、それらにも目を通しました。

学部4年の5月の段階ではこういった研究論文を読むには前提知識が足りません。そのため、当時は詳細まで読み込むには至りませんでした。しかし論文の著者や共著者を注意深く見ることで「この大学のこの研究コミュニティはこういう研究に取り組んでいる」みたいな業界地図的なものや、「この若手研究者はたぶんこの先生の弟子」みたいな人間関係がぼんやりと見えてきていました。

2. 研究コミュニティ単位で興味深かった研究論文の本数をカウントする

論文を読みあさるうちに、面白そうだと思った研究論文が10本〜20本ぐらいたまったので、それらが属する研究コミュニティごとに論文数をカウントしていきました。研究コミュニティの見分け方ですが、共著者の一番最後が共通ならおおむね研究コミュニティだろうと判定していました。この作業により、最終的には5〜6つほどの研究コミュニティが浮かび上がってきていました。

3. 発見した研究コミュニティについて、さらに詳しく調査・検討する

一見別々の研究コミュニティに見えても、注意深く見ると、元は1つの研究コミュニティだったのが弟子の方が独立して別な大学に研究室をもっていた、というケースがあることが分かりました。その場合、弟子の先生に師事するか、師匠の先生の方に師事するかは迷いどころです。

個人的には、以下の理由で、師匠の先生の研究室を選ぶのが安定プランな気がします。

  • 師匠の先生の方が大学院生の指導経験が豊富なことが多い
  • 弟子の先生の職位が助教の場合、平均で5年ぐらいで別な大学に異動になることが多いため、自分の入学時もしくは在学中に入れ違いになるリスクが比較的高い

一方で、弟子の先生の研究室に入ることで、新進気鋭の若手研究者の元で研究に取り組めるのも、人によっては大きな魅力だと思います。ただ、この辺は個々人の性格や研究室の方針、縁などによってケースバイケースだと思うので一概に言えなそうです。

その他気に留めておいた方が良さそうなこと
  • 博士課程に進学する可能性があるなら、指導教官になる先生の年齢が(退官年齢-6歳)以下の研究室を選んだ方が無難です
    • 定年退官時に、研究室内で卒業年数に満たない学生については配慮されることがほとんどのようですが、途中で大学の籍が変わったり、指導教官が途中で替わって研究室の研究方針が変わったりといった事態は出来れば避けたい
    • 退官年齢(要は定年)は60歳のところが多いですが、最近は退官年齢が65歳になる大学も増えてきているようなので、もし関係ありそうな場合は調べた方がいいです
  • 論文誌として閲覧可能な論文は、一番新しいものでも実際には1年ぐらい前に取り組まれていた研究の成果であり、かつ自分が入学する頃には2年前になっている、といったタイムラグがあります
    • なので、「こういう研究をやりたい」というよりは「この研究の先にある、より新しい問題に取り組みたい」というつもりでいた方が実際に研究室に配属されたあととのギャップが少ないです
4. 志望先の研究室が所属する専攻の大学院入試を受け、合格し、入学する

進学希望先が決まったらあとは入試に向けてがんばりましょう。研究室訪問や入試説明会への参加、過去の入試問題の取り寄せ、などやることはたくさんありますし、その辺の手続きついて詳しく扱っているリソースは書籍にしろWebページにしろいくつかあるのでそれらに譲ります。

*1:そもそも人生におけるたいていの問題はこういう問題ですが ;-)

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