野口武彦「幕末バトル・ロワイヤル」

幕末バトル・ロワイヤル (新潮新書)

幕末バトル・ロワイヤル (新潮新書)

 鹿島茂の「情念戦争」と同様、資料を駆使しつつ、下から見直した幕末風雲録。公式文書だけが歴史じゃない。書かれていないことがあるし、スキャンダルからのほうが本質が見えるようなときがあるといった感じ。フランス革命同様、女性が歴史の流れを左右する。大奥はそれなりに影響力のある世論なんだなあ。規制によって改革を実現しようとする水野忠邦は「革新官僚」の元祖だなあ。いまだに、この伝統は官僚に色濃く流れる気がする。一方、老中、阿部正弘は、サラブレッドでイケメンで、若くして政権を担当するが、優柔不断で・・・、これって安倍首相に似ているなあ。歴史って結局、現代を見てしまうんだな。