ティム・オブライエン「本当の戦争の話をしよう」
- 作者: ティム・オブライエン,Tim O'Brien,村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/02/01
- メディア: 文庫
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読んでいて、ジョージ・オーウェルの「カタロニア讃歌」を思い出してしまった。オーウェルの本はルポだが、文章の端々に自分が見てきたスペイン戦争の真実を誠実に語ろうとするオーウェルの痛々しいまでの公正さに対する思いがある。オブライエンの本も、自分が経験したベトナムという存在を、風の音、空気の感触まで伝えようとする強烈な意思があり、それは成功している。反戦と言えば、反戦だけど、戦争の中での感覚まで、ごまかそうとしない。オーウェルが「面白いことに、安全な距離から砲兵隊の砲撃を眺めていると、たとえ的に自分の夕食や戦友の何人かがふくまれていようと、うまく命中するよう砲手に期待してしまう」*1と告白するように、オブライエンも曳光弾の美しさを語る。本当の戦争と人間について語ろうとする小説なんだなあ。
*1:ジョージ・オーウェル著、都築忠七訳「カタロニア讃歌」岩波文庫
ベルンハルト・シュリンク「朗読者」
- 作者: ベルンハルトシュリンク,Bernhard Schlink,松永美穂
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/04/01
- メディア: 単行本
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【参考】
・「愛を読むひと」の公式サイト
http://www.aiyomu.com/