ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ [DVD]

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ [DVD]

 「グランド・ブタペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン出世作。出演もしている大学以来の仲間のオーウェン・ウィルソンとアンダーソンの共同脚本。子供の頃は天才児といわれたが、今はそれぞれ問題を抱える3人兄弟(正確には兄弟と養子の女の子)。父親は出ていて、母親とは別居。その母親に新たな結婚相手が登場する一方、破産に瀕した父親は病気と偽って家に戻り、家族の絆を取り戻そうとするが...という物語。ちょっと奇想天外な物語をしら〜と語っていく。
 「グランド・ブタペスト・ホテル」でも、そうだったが、配役が豪華。父がジーン・ハックマン、母があジェリカ・ヒューストン、長男がベン・スティラーで、養女がグウィネス・パルトロー、次男がオーウェン・ウィルソンの弟のルーク・ウィルソンオーウェン・ウィルソンは隣家の住人。母親に求婚する男がダニー・グローヴァーで、養女の夫の精神科医ビル・マーレイウェス・アンダーソンの映画は初期の頃から、俳優が揃っていたのだなあ。
 この映画でも、ウェス・アンダーソンの眼差しは優しい。登場人物たちは欠点もあるが、憎めない。どうしようもないようでいて、それぞれ悩みを抱えている。この映画もコメディだが、甘いわけではない。ウェス・アンダーソンの映画はビタースウィートだが、マイルドといった印象がある。人生は厳しいけど、みんながみんなハッピーというわけではないけど、後味は悪くない。アンダーソン独特の不思議な作風で、そこがアンダーソンがカルト的な人気を持つ所以かもしれない。
 しかし、ジーン・ハックマンはいい味を出しているなあ。この映画でゴールデングローブ賞の主演男優賞をとったらしい。