川原ワールド

甲子園の空に笑え! (白泉社文庫)

甲子園の空に笑え! (白泉社文庫)

空の食欲魔人 (白泉社文庫)

空の食欲魔人 (白泉社文庫)

独特のインテリジェンスなセリフまわしと予想のつかない展開のストーリー、なぜだか心がふっと温かくなってじんわり来てしまう。絵はシリアスよりギャグぽいコマが多いけど、シリアスなちょっと照れ臭いシーンをあえてそういう風に表現しているところが川原さんぽくて好き。出てくるキャラもどこか冷めててマイペースで世間からちょっとずれてるところがとても愛おしくて好き。はまっちゃうんですよね。特に空の食欲魔人とカレーの王子様は好きな作品。前にラジオでウッチャンが初めて読んだ少女マンガで、おそらくカレーの王子様の説明をしていて、「ああ、タイトルとか忘れたんだけどー、おれ、すごい泣いちゃったんだよね」と聞いて、ウッチャンあれで泣いたの!?さすが!それ、川原泉だよって一人でラジオの前でテンション上がってました。ウッチャンってすごいよね。あの人面白いし、魅力的。

なんでやねん

動物のお医者さん (第7巻) (白泉社文庫)

動物のお医者さん (第7巻) (白泉社文庫)

何でミケは関西弁やねん。川原さんの漫画が好きなら佐々木倫子さんの漫画も好きなはず。その逆もしかり。これはやっぱり代表作ですね。ちょっと獣医に憧れたものです。それにしてもこの漫画のブームでハスキー犬が飼いきれなくて路頭にまようニュースを見て、こんないい漫画に影響されたはずの人間がなんて愚かなんだと腹だたしく思ったものです。
とにもかくにも濃いキャラ満載。おしゃれなファッションも楽しめて、淡々と繰り広げられる緻密に構成されたストーリーに息をのんだり、ほのぼのしたり。この作者は凄いな〜と思ったものです。妙に止まった感じの動きのない絵と、トーンを使わない影の付け方もとても好き。

本も面白いけど

合葬 (ちくま文庫)

合葬 (ちくま文庫)

杉浦さんのは本も面白いけれどマンガもとてもお勧めです。さすがお江戸研究家。江戸の庶民の生活がとてもリアルに描かれていて彼女でしか描けないストーリーと浮世絵っぽい絵が魅力的。全体に粋なエッセンスがちりばめられていて。
江戸好きにはたまりません。
これはその中でもシリアスな話。上野戦争の話だったかな。上野戦争自体これで知りました。死という観念が今よりもっと身近で隣合わせだった時代。だからこそ、日々をその日暮らしじゃないけれどなんとかなるさと生きていたのかもしれない。一日がとても濃いものだったように思えるのです。彼女の作品を見ると。
いろいろなものにフィルターがかかってしまっている現代と比べると空気が人々の表情が、景色がこうクリアに浮かんでいたような時代に思えるのです。
でも、粋ってむずかしい。それこそ命がけでしゃれこんでます。